中学生の子をもつ保護者の皆様へ

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叱っても大丈夫・中学生の叱り方
日本アンガーマネジメント協会 アンガーマネジメントコンサルタント🄬 水野 由紀子 氏

 中学生の子どもを持つ保護者のみなさま。子どものために叱っているのにわかってもらえなくてイライラすることありませんか?叱り過ぎると子どもに嫌われるのではないかと心配になることはありませんか?
叱り方にはコツがあります。効果的な叱り方で、親も子もハッピーになりましょう。
*コツその1 機嫌で叱らず基準で叱る
 機嫌で叱るのというのは、親の機嫌が悪い時には小さい事でも厳しく叱り、親の機嫌が良い時には悪い態度を許してしまうことです。すると子どもは親が叱ったときに、どうして叱られたのか、どう直せばいいかよりも「今日の親は機嫌が悪いな、チッ。」と思うようになります。これでは子どもに伝えたいことが伝わりません。機嫌ではなく「基準」を明確にして、機嫌に左右されずに子どもを叱ることが大切です。
*コツその2 叱りたいことは「リクエスト」で伝える
 叱る時に、親は子どもに対して何らかの要求があります。それを具体的にわかりやすく短い言葉で「リクエスト」として伝えます。例えば「食器を下げてください」「ゲーム終了時間です」「勉強の時間だよ」等。「あとでやるよ」と言われたら「何時にやるの?」とさらに具体的に本人が決めるように促してください。中学生は親をうるさがる年ごろですから、できるだけ「業務連絡」だと思って冷静に毅然とした態度で伝えるのがコツです。親は子どもが心配なので「そんなにゲームばっかりしてテスト前なのに勉強しなくていいの?それで将来大丈夫だと思っているの?」など言いたくなりますよね。でもそれを感情的に言ってしまうと子どもは親が何を言いたいのかがわかりにくくなり、反発したくなります。「テスト前だよ。勉強しよう。がんばれ」程度にしておきましょう。
*コツその3 行動を叱る、人格や性格を否定しない
 「リクエスト」で要求するのは行動の変化です。人格を否定するような言葉、例えば「だらしない」「うそつき」「信用できない」等は使わないようにしましょう。
叱り方は練習すれば上手になります。お試しくださいね。

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「赤毛のアン」は友だち
朗読家 見澤 淑恵 氏

 ある小学校の校長先生に,お昼の校内放送で「赤毛のアン」の生放送での朗読を依頼された。子どもの頃から何度も読み返した本だから即答で引き受けてしまったが、1年生から6年生が聞いている校内放送で、低学年にも内容が伝わるようにしつつ、主人公アンが語る魅力的な情景描写はそのまま伝えたいなど考えると意外と大変な仕事となった。しかし、その作業を進めていくと、私が様々な年代で読んだ時の記憶が蘇ってきた。アンの見るもの経験することに感動して夢中になったこと、コンプレックスに悩んでいた小中高生時代には、コンプレックスをエネルギーに変えて逞しく成長するアンにどれだけ勇気をもらったことか。
 大人になってからも、「赤毛のアン」の良さについて書かれている書を読み、読み返す機会がある。脳科学者の茂木健一郎氏は、「赤毛のアン」には、人と人が出会うことの大切さ、人間の変わっていく可能性が描かれている、と言っている。確かに成長しているのはアンだけではない。育ての親である50歳を超えていた2人の大人マシュウとマリラも、アンと出会ったことで思いもよらぬ変化を遂げている。
 さて、親が子に与えてあげたいものは何か。私は「生きる力」を与えたいと考える。子どもが自立して生きるためには、多くの人と繋がり、お互いに助け合っていくことが必要だと思う。しかし、現代社会では人と人との繋がりが薄くなっている為の課題も多くあるように思える。コロナ禍が続く中で、直接人と人が出会う機会が制限されている今こそ、本の主人公や登場人物を生涯の友とできる読書をお勧めしたい。そして、その本の文章をぜひ声に出して朗読していただきたい。本の中の友のセリフは、声に出すことで息遣いが聞こえ、豊かな言葉がより鮮明に脳裏に広がり、読書の魅力に引き込まれることだろう。1冊の本との出合いが、人生に影響を与えることがある。良き出合いを。

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子どものこころに寄り添う
開善塾教育相談研究所長  藤崎 育子 氏

 ある母親が末っ子のことで相談に訪れました。中学2年の男子で、野球部に入っていますが、スポーツは苦手で、試合にも出たことがありません。
先日、3年生を送る会の部内試合がありました。息子は「来ないでいいよ。」と言いましたが、母親は仕事を休んで見に行きました。
3年生対下級生の試合が行われ、2年生の中で、息子ただ一人、最後まで出番が来ませんでした。顧問の先生にまるで無視されたように感じたと話す母親の目からは涙が止まりません。
帰宅後、息子は母親に「先生には絶対何も言わないで」「自分は部活をやめないと決めたんだから」と言ったそうです。
母親は悔しくて、いつ学校に抗議しに行こうかと毎日そればかりを考えていました。他の子どもの保護者に対しても、所詮他人事なのかと思うとまた怒りが湧いてしまうのだそうです。
その子はかつて不登校でした。今は毎日通学しています。母親は毎晩夜9時まで働き、夕食は10時頃という毎日です。
ある晩子どもが「僕には何もいい所がないなぁ」とつぶやいたそうです。
その言葉を聞いた母親はまた怒りが込み上げてきたと言います。いつも夜遅く仕事から帰る母親が、自分のことを心配し、怒ってばかりいるので、息子は自分のことをなさけなく思っていたのかもしれません。
 母親に「料理を教えてみませんか。息子さんもお母さんを手伝いたいと思っているはずですよ」と提案してみました。母親は、息子が手伝うと言ってきても、却って面倒だと思い、断っていたことを思い出しました。
「お母さんが頑張っているのだから、自分も頑張る。少しでも親を助けたいと息子さんは思っているのではないでしょうか」とも話しました。子どもが悲しい思いをしていると思うと親はいてもたっても居られなくなりますが、子どもには自分で壁を乗り越えていく経験が必要です。親にとって、子どもの心に寄り添う、その加減は実に難しいことだと思います。
「内緒で担任の先生に相談してみるのも一つです」最後に一言アドバイスをして、面談を終えました。母親はその後、子どもに料理を教え、夕食の時間が早くなりました。部活は様子を見守ることにしたということです。

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子供の将来を見据えて
県立勝田特別支援学校 校長 柴沼貴文 氏

 私は、主に知的障害のある児童生徒を対象とする学校で教育に携わってきました。その在籍者の中には、知的障害の他、自閉症などの障害を併せ有しています。また、個性や発達などが異なるため、一人一人に応じた対応が必要となります。
 さて、中学生になると、小学生の時とは異なる悩みや困りごとが出てくる場合があります。思春期を迎え、反抗期、生徒同士の人間関係、不登校、学習の遅れなど、想定はしていたとしても現実的になると、少し戸惑うことがあるかもしれません。
さらに、それぞれの個性が顕著に表面化し、集団での行動や一部の教科等への苦手意識、学校行事など、いつもと異なる学習に戸惑うこともあるかもしれません。
 何か、お子さんに悩みや困りごとがあった場合、それは「成長のひとつの過程、時間の経過とともに解決する」「誰も通る道だから大丈夫」とも考えられますが、なかなか解決しないことが考えられます。もしかしたら特別な配慮や支援が必要なこともあるかもしれません。
では、このような場合、どのようにするかです。まずは、お子さんと関わっている学校の先生や習い事の先生などから話を聞くことが大切ではないかと思います。
  その際に気を付けたいことは、聞き方です。「うちの子お友だち付き合いが難しいのですが、どうですか」とか、「うちの子落ち着きがなくて、どんな感じですか」とか、このような聞き方は、正しくないように思います。理由は、「難しい」や「できない」ことを前提に聞いた場合、「○○が難しい・できない生徒」というような先入観・固定観念を周囲の人がもってしまう可能性が考えられるためです。
 お子さんのことを聞く場合は、「うちの子学校ではどうですか」など、お子さんの全体像を聞くようにした方が、親も気づいていないお子さんの頑張っている姿が、先生の話からわかるようになると思います。
全体像からお子さんの良さを褒め認め、配慮や支援の必要な場合には、家庭と学校などが共通理解をしていくことが大切と考えます。お子さんの自己肯定感や自己有用感を高めていくことが、主体的にものごとに取り組み、様々な可能性を秘めた将来につながっていくのではないでしょうか。

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