小学校1~3年の子をもつ保護者の皆様へ

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子どもの本を選ぶために【パート1】
絵本専門士、学校図書館司書、おはなしの会ぱたぽん会員 石川 仁美 氏

 小学校の図書室に来る子ども達にこっそり聞いてみました。
 「本を読むのって楽しい?」
3年生までの子どもは、99%以上の子どもが「楽しいです」と、少しはにかんで答えてくれます。
 子どもにとって読書はいつでも「楽しみ」であり、良質の読書は子どもの成長を促す本物の楽しみであり、人間の劣性を刺激するだけの楽しみとの間には大きな隔たりがあります。だからこそ、読書をする時に大人の的確なアドバイスが重要になってくるのです。
 
 個人差はありますが一般的に子どもの読書能力は、小学校1年生ぐらいには拾い読みができるようになり、小学校3年生の終わりには読書の基礎的スキルも一応出来上がり、読書習慣が形作られるとされています。
 読書能力の発達に伴って、子どもの読書興味も発達していきます。一人読みをするようになって、今まで読んでもらって楽しんだ絵本を、今度は自分で読むようになります。絵本でも創作絵本や昔話絵本の良くできた作品は何歳になっても楽しんで読むようです。さらに、絵本とあわせて、幼年童話とよばれるこの年頃の子どもに向けてかかれた物語も読めるようになります。
 
 子どものために幼年童話や絵本を選ぶ場合、何を知っていればよいでしょう。
多くの児童文学研究者や保育学研究者によれば、良い幼年童話の条件は、
①はっきりした起承転結と、十分に納得できる結末
②主人公は読者である子どもの生活とかけ離れておらず、子どもが同化できる個性をもっている
③昔話の基本形式であり、子どもが楽しめる“行って帰る”“繰り返しがある”が使われている
④発想が新鮮でオリジナルであり、子どもの想像的、知的あるいは情緒的な経験を拡げることができる
⑤正しい日本語で、言葉遣いは正確である
⑥物語は時間の流れに沿って進み、登場人物の会話や具体的動作や行動で物語が展開していくこと
等をあげています。ここでは省きますが、もちろん絵本にも良い絵本の条件がいくつかあげられています。

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子どもの本を選ぶために【パート2】
絵本専門士、学校図書館司書、おはなしの会ぱたぽん会員 石川 仁美 氏

しかしながら、子どものために本を選ぶためにこの条件をいちいちつぶさにみていくことは大変な労力とそれなりの経験と知識が必要になってきます。
そこで、その作品がどのくらい前に出版されたか、どのくらい「刷り」を重ねているかを知ることを、本を選ぶ時の最初に見るべきポイントとすることをお奨めします。
 あなたが子どもの頃に読んでいた絵本(幼年童話も)を今、本屋さんや図書館で目にすることがありますか?
 そんな本は長い時間子どもに親しまれ、子どもの成長に深く影響してきた作品であり、評価の定まった作品といえるでしょう。まず、そこから読み始めれば、子どもたちは貴重で短い子ども時代を豊かに過ごすことができるでしょう。

 小学校1年生から小学校3年生にかけては、読書に対する態度、習慣が形成される時期でもあります。子どもにとって良い本は楽しみと喜びを与えてくれるものであり、なにより子どもの成長に有益なものです。特にこの時期にキャラクター物やアニメ以外の作品に多く触れることは、子どもにとって未知の事柄を想像する力を養う大きな原動力となります。

 大人が子どもの本を選ぶ際に、現在の流行に左右される事なく定評のある作品を選び提供することで、子どもたちは読書力をつけ、読むことの楽しさを自分の中に染みこませ、次の読書環境へとスムーズに移行していくことでしょう。

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子どもの話を聞く時間をつくりましょう【パート1】
茨城キリスト教大学 准教授 飛田 隆 氏

 学校生活と保育園や幼稚園等との生活の違いはいろいろありますが、すぐ思いつくものは授業があることと時間割ではないかと思います。
 まずは子どもたちが戸惑うのは、時間割通りに授業が進み、そのたびに違う教科書やノートを用意すること、教科(音楽・体育等)によっては授業を受ける場所が違ったり、時には別の先生になったりします。しかも原則一人で何でもするようになることだと思います。
 保育園、幼稚園等であれば先生方が見ていてくれたり、時にはさりげなく援助してくれたり、常に身近にいて子どもたちを支援していることが日常的で、その中で子どもたちは生活していました。
 小学校に入学してからは子どもたちが成長したとはいえ、この変化に対応して生活していることはすごいことだと思います。もちろん小学校の先生方のご指導のお蔭ということもあると思います。
 保護者の皆様は、子どもたちのこのような日常的な子どもの頑張りを考えておく必要はあると思います。かんばっている分、ストレスも感じるということだと思います。そこで無理のない範囲で結構ですので、子どもの話を聞く時間を意識していただくと良いと思っております。子どもの変化に気付いたり、学習の振り返りになったりもします。大好きなお母さんやお父さんに話を聞いてもらえるだけでストレスの軽減にもなります。

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子どもの話を聞く時間をつくりましょう【パート2】
茨城キリスト教大学 准教授 飛田 隆 氏

 例えば、学校から子どもが帰ってきましたら、まずランドセルの中身をすべて出させることをお勧めいたします。そこで今日の時間割通りに教科書とノートを開かせ、授業の様子を子どもから教わるという態度で接します。この時の大切な注意点は、子どもの学習内容の習熟度のチェックをするような態度にならないことが大切です。
 子どもにとって、この時間はお母さんやお父さんが私の話を聞いてくれる時間にすることが重要です。親にとっても、学校の様子がわかる貴重な時間にもなります。
 この時期の子どもの脳は成長していますので今日、授業で習ったことを教科書やノートを開くだけでも思い出し、そのことを親に伝えることで復習につながります。つまり子どもは今日の出来事をお母さん、お父さんに伝える楽しい時間と考えていますが、実は復習している勉強の時間にもなります。
 こうすることで、低学年のうちは無理なく学んでいることの振り返りができ、ランドセルから中身をすべて出すことにより、保護者宛ての手紙や明日の時間割を用意することもできます。
 お母さん、お父さんもこの時間を楽しい時間にしていただけましたら幸いです。

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体験活動で“抱きしめる”
国立青少年教育振興機構 指導主幹 北見 靖直 氏

体験活動の中で「えっー!」と驚く瞬間があります。休み時間に低学年の子供たちにせがまれて「おんぶ」をしたりしていると、突然背中に想定外の重みを感じて振り向くと高学年の子供が背中におぶさってくるのです。でもしばらくすると納得したのか自分で降りて離れていきます。また、あるキャンプで怪我をして泣き止まぬ子供がいました。ふっと感じて手を握りしめてあげたところすっーと涙が引いて笑顔に戻りました。まさに「手当て」の意味を感じた瞬間でした。このように私は体験活動のさまざまな活動の場面で子供たちの手を握ることや身体に触れることが多いのですが、時には、触った瞬間に自分の手が子供たちの身体にまるでしみ込むように感じることもあります。
長く体験活動を指導する中で感じているのは、子供たちの持つ「渇き」です。とくに低学年の子供たちは「ふれあう(ボディコミュニケーション)」ことを求めているように思うのです。このことは子供たちばかりではありません。不登校、引きこもりの若者とキャンプをしてきたのですが、彼らの身体にふれると「こわばり」を感じます。その「こわばり」に彼らの経験してきた過去の日々の中での心の痛みを思わずにはいられません。
 体験活動の良いところは大人と子供が「いっしょに汗をかき、自然にふれあうこと」ができることです。その中で大切にしたいことは、私たち大人が必要なときに「手をとって」伝え、背中を叩いて「励まし」、頭にふれて「ほめる」そして時には肩に「手をおいて」叱ることや喜び合い「抱きしめる」ことではないかと思います。とくに低学年の子供たちこそ言葉以外の方法で感情を伝え、共有する、まさに非言語(ノンバーバル)なコミュニケーションこそ体験活動の中で子供たちとつながるポイントだと考えています。その一瞬が心にしみこむ。そのささやかな一瞬が子供達の未来を支えていくと私は信じています。
ぜひ、今度の週末は野外にでかけませんか?子供たちを抱きしめるために。

 「抱きしめる、という会話」
 子どもの頃に
 抱きしめられた記憶は、
 ひとのこころの、奥のほうの、
 大切な場所にずっと残っていく。

 そうして、その記憶は、
 優しさや思いやりの大切さを教えてくれたり、
 ひとりぼっちじゃないんだって思わせてくれたり、
 そこから先は行っちゃいけないよって止めてくれたり、
 死んじゃいたいくらい切ないときに支えてくれたりする。

 子どもをもっと抱きしめてあげてください。
 ちっちゃなこころは、いつも手をのばしています。
(「公共広告機構(AC)」の2003年度全国キャンペーン作品より)

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親子のコミュニケーションタイムを
つくば市教育委員 鷲田美加 氏

 小学生の子育ては,毎日が大忙し! 家のことをこなしながら,仕事やPTA,サークルなどでも活躍されるお父さん,お母さんを見ると,輝いていて素敵だな!と思います。
 この時期の親子のコミュニケーションは,子供の成長に欠かせない,大切なものです。
子供は,親の愛情を確かめたくなると,「ねえ,ねえ」と話しかけてきます。親が話を聴いてあげると,子供は安心し,親との愛を深めます。また,子供は,話をしながら頭の中で自分の考えをまとめ,思考力を深めていきます。
 もし普段から,子供の話に耳を傾け,一家だんらんの時間を作れているという方は,理想的です。どうぞこれからも親子のコミュニケーションを大切にしてください。
 一方で,わかってはいるけれど,気忙しくてイライラしたり,子供の話を聴く時間が作れない方も多いと思います。
 忙しい方にオススメしたいのが,「親子のコミュニケーションタイム」を決めて,何でも話していい時間を共有する方法です。お子さんと2人だけになれる時間はありますか? 例えば,「夜寝る前の時間」,「食事の時間」,「送り迎えの車内」,「お風呂の中」など。短い時間でも,親がリラックスして,子供が安心していろんな話をできる時間を作れたら,その後の子育てがもっと楽しくなります。子供の幸せを願う親にとって,「何かあった時,うちの親は話を聞いてくれる。」と子供に思ってもらえたら,こんなに嬉しいことはありません!
 ちなみに,私と息子のコミュニケーションタイムは,「足裏マッサージ」でした。当時,先輩お母さんに「今のうちからスキンシップしておくと,思春期に助かるわよ!」と言われたのがきっかけです。息子が高校生になった今も,何かあると,「母さん,マッサージして」とやってきて,マッサージをしてもらいながら「実はね…」と話をしてくれます。当時小さくてかわいかった足裏は,驚くほど大きくなりましたが(笑)。先輩お母さんには感謝しています。みなさんも,もしご興味があればお試しください。
 子供は親をよく見ています。親があきらめないで,努力を続けていると,子供は,その背中を見て,成長していきます。忙しい毎日の中でも,ちょっとずつ工夫して,今しかない子供との大切な時間を楽しみたいですね。

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