小学校1~3年の子をもつ保護者の皆様へ

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ランドセルに寄せる思い
茨城県学校長会 会長 小島 睦 氏

 さあ,今日から1年生。いつの間にかお兄さん,お姉さんらしくなった2年生が,うれしそうにやさしく新入生を迎えます。小学校での楽しい毎日への期待,そして,すこやかな成長を願うお家の方の思いをたっぷり詰めこんだランドセルは,1年生にはとても大きく,いかにも重そうです。
 小学校では,1年生の生活のスタートにあたり,幼稚園や保育所など,幼児教育施設におけるお子さんの成長の様子をできるだけ踏まえた上で,小学校での学習や生活を組み立てていきます。そのため,小学校の教員は,幼稚園や保育所等の先生方の話を聞かせていただいたり,保育の様子を参観させていただいたりして,保幼小の連携を図っています。
 幼稚園の保育参観にお邪魔したときのことです。幼稚園の先生が,保育参観の仕方について簡単な説明をしてくださいました。「参観中,けんかのようなトラブルを目にすることもあるかもしれませんが,すぐに手を貸してやめさせようとしないようにお願いします。」「トラブルも,子どもたちにとっては大切な学習の機会になるのです。」
 先生方のあたたかく教育的な指導のもとで積み重ねられてきた子どもたちの経験を,小学校において引き継いでいくことの大切さについて考えさせられました。
 集団生活においては,人とかかわることを避けるわけにはいきません。むしろ,意図的にかかわる場を設け,その中で子ども自らが学べる環境づくりを進めていくことが求められます。友だちとの折り合いを上手につけられるように,自分の感情をコントロールしたり,ルールを工夫したりするのは,一つには自分の属する集団を居心地のよいものにしたいという子どもの自然な思いからだろうと思います。
 このような集団生活を送る上でもう一つ大切にしたいのは,基本的な生活習慣です。友だちとなかよくすごすために必要なあいさつや,みんなで使う物や環境を大切にしていこうとする態度などが,自分たちの生活を気持ちのよいものにしていきます。これらのことには,学校と家庭の双方において,子どもの育ちを一つ一つ認めながら,身に付けていけるようにしていかなければなりません。
 入学からさらに2年生,3年生と学年が上がるにつれ,学習の内容も増えていきます。ランドセルに詰められた夢や希望もさらに大きく膨らんでいくことでしょう。あの大きなランドセルもいつしか身体に馴染んできます。様々な思いの詰まったランドセルをしっかりと自分の足で支えて歩いていけるよう,子どもの自立に向け,学校と家庭が一層力を合わせていきたいものです。
 

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これからの時代に必要な力
ひたちなか市立津田小学校長 塩田 智代 氏

 2003年5月に,宇宙科学研究所が打ち上げ,地球重力圏外の天体である「イトカワ」の表面に着陸しサンプルを採取後(世界初)2010年6月に地球に帰還した小惑星探査機はやぶさのことを覚えているでしょうか。
 ハヤブサが小惑星の表面に安全に着陸するためには,非常にゆっくり近づいていく必要があったそうです。研究者達は,着陸地点に目印を落とし,この目印と自分との距離をハヤブサが検出しながら着陸するという方法を考え,3ヶ月間,地球の10万分の1の重力しかない表面で,はねない目印を作るために試行錯誤を繰り返していたそうです。
 そんなある日,研究者にヒントをくれたのは,娘のおもちゃ箱にあったお手玉でした。お手玉により,子どもの頃,大好きなお母さんやおばあちゃんと遊んだ楽しかった記憶がよみがえってきたのでしょう。お手玉の感触,上手くキャッチできずに落としてしまった時のお手玉の音,もしかしたら,小さなきれいな布切れを縫って袋にした中に小豆を詰めていたおばあちゃんの指先までが脳裏に浮かんできたのかもしれません。
 今,直面している自分の課題とお手玉を結びつけたのは研究者自身の力(発想力)ですが,その発想力を支えてくれたのは,幼い頃の体験だったのです。
 宇宙開発というと,現在の技術の最先端であり,膨大な数の数字や計算式が並び,それをコンピューターや精密な機械がはじき出しているような冷たいイメージを持っていましたが,3ヶ月間も悩んだ課題を解決したのがお手玉だったと知った時に,私は宇宙開発もやっぱり人間がしているのだと温かな気持ちになりました。
 もう数年も前のことですが,大学生になり東京で一人暮らしを始めた息子から電話があり,何かの質問をされました。私が答えると「やっぱりそうだよね。それでよかったんだよね」と息子のうれしそうな声が聞こえました。自分なりに一生懸命に考えて対応したのでしょう。息子の言葉が続きました。「こういう時,お母さんならどうするかなと考えたんだ」と。これといって何かを教えたことなどありませんが,一緒に暮らした中から私の感じ方や考え方,判断や対応の仕方を息子なりに感じ取っていたのでしょう。日常の何気ない家族との生活の中から,いいことも悪いことも確実に子どもに伝わっていくのだなと思いました。お父さんやお母さんのぬくもりとともに記憶された幼い頃の経験の一つ一つが,子ども達にとって,自分の未来を拓くカギになるのではないかと私は思うのです。
 「魚を与えるのではなく,魚の釣り方を教えることが大切だ。なぜなら,釣り方を覚えれば一生自分の力で魚を得ることができるから」という話を昔聞いたことがあります。でも,もしかしたら,これからの時代は,釣りの仕方そのものが変わってくるのかもしれません。ひょっとしたら,魚は釣るものではなくなってしまうのかもしれません。
 今の子ども達が活躍する時代は,今よりもっと変化が早く,予想するのが困難な時代になるでしょう。毎日,新たな課題に直面し,解決を迫られることになるのでしょう。そんな時大事なことは,目の前の課題としっかりと向き合い,今自分が身に付けている知識や技能を駆使し考え,不足している知識等を同時に獲得しながら一つ一つの課題を自分の力で解決していくことではないでしょうか。
 これからの学校教育は,教わった知識をただ覚えるだけの勉強ではなく,自分で考え,判断し,表現していく力を子ども達が身に付けられるよう努めていきます。
 

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★★「折れない心」を育てよう 【パート1】
那珂市教育支援センター長 加倉井 正 氏

「レジリエンス」って聞いたことありますか?
 いじめられてもさらりとかわしたり,落ち込んでもすぐに立ち直ったりする心の力です。最後までがんばり抜く力も「レジリエンス」の中に入っています。コンクリートのように堅いのではなく,ゴムのように伸びても元にもどる柔らかい心の力です。今,世界中の子どもたちがこのトレーニングをして生き生きと活躍しています。どうやったら,こんな力が手に入るのでしょうか。
 
1 小さな失敗をたくさんさせましょう
 いきなり失敗をたくさん…て,びっくりですよね。1970年代のアメリカで「劣等感を抱かせないために失敗しそうな物や環境を排除してあげる。失敗させない…」教育をしたことがありました。結果は不安感でいっぱいの青年が増えてしまいました。健全な心の成長のためには失敗経験が大事だということに気づかされます。うまくいかない中で『ボクにもできたよ!!』って目をキラキラさせている我が子の顔を見たことがあるでしょう。大人の目の届く範囲で思い切ってチャレンジさせ,失敗の中で乗り越える経験こそが,本当の自信につながるのですね。「あぶないから,ほら,だめでしょ!!」「お母さんがしてあげたからね。」と,ついつい親心が働いてはいませんか? 少し突き放して失敗を乗り越えさせ,『ボクにもできるかもしれない心』を育ててみませんか。
 
2 『支えてくれる人がいる』意識を持たせましょう
 つらかった時を思い出してください。「ああ,あの人に相談しよう」と思えると気が楽になりませんか。ペットの顔を見てほっとすることはありませんか? 実際に愚痴をこぼせたり,一緒に泣いてくれたりしたら,心の痛みが少なくなりますよね。そして,「なんとか乗り越えられるかもしれない」という気にもなります。子どもでも同じですね。
 どんなに忙しくても子どもの目を見てしっかり話を聞いてくれるお母さん,黙って温かい手で握り返してくれるお父さん,子どもにとっては頼もしい味方でしょうね。親が学校の先生やカウンセラー,親戚などを信頼することで,そのような大人を子どもも信頼し,子どものよいサポーターになるかもしれません。もちろんペットでも。
 

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★★「折れない心」を育てよう 【パート2】
那珂市教育支援センター長 加倉井 正 氏

3 子どもの『強み』を意識させましょう
 我が子を見て「この子ったら・・と」眉をひそめてため息をついたことはありませんか。しかし,裏返すとそれが『強み』になることがあります。たとえば
 ①(興味が移り飽きっぽい) → やりたがる,好奇心が強い
 ②(「どうして?」としつこい) → 学ぶ意欲がある,向学心が強い
 ③(自分勝手,わがまま) → 他の意見に左右されない,創意工夫・創造性がある
 ④(お節介) → 親切,周りを大事にする,人のためになろうとする
 ⑤(ぐずぐず) → 慎重,いろいろな面から考えられる
 ⑥(融通がきかない・くそまじめ) → 約束を守る。誠実である。信頼される。 
 つらい場面に立たされたとき,意外にもこの自分らしさである『強み』がお子さんを引き上げてくれることがあります。
 「もうだめだ」と思ったときに,思わぬアイディアや逆転の発想が浮かぶことがあります。協調性があり誠実であったために,思わぬ仲間が手を貸してくれたという話を聞いたこともあります。メジャーリーガーのイチローさんが,つらい時だからこそ,自分の『強み』を頑固なまでに貫き通して来られたのは,皆さんがよくお分かりのことですよね。
 
4 『気晴らし』の方法をいくつか身につけさせましょう
  子どもでも強いストレスに苦しむことはあります。くよくよ悩むこともあります。
そんな時,短時間で立ち直れるように,『気晴らし』の仕方を知っておくと助かることがあります。小学校5年生のあるクラスで尋ねたところ,子どもたちからこんな『気晴らし』の方法を教えてもらいました。
 ①運動系・・バスケットボールをする。友だちと遊ぶ。走りまわって汗をかく。散歩する。
 ②視覚系・・本を読む。マンガを読む。塗り絵をする。
 ③聴覚系・・音楽を聴く。カラオケをする。
 ④味覚系・・カレーを食べる。焼き肉を食べまくる。チョコをなめる。
 ⑤嗅覚系・・お花のにおいを嗅ぐ。いいにおいのお風呂に入る。
 ⑥流し系・・寝て忘れる。気にしないようにする。グデーッとする。
 ⑦転嫁系・・誰かのせいにする。ウソをつく。わら人形に釘を刺す(怖い!叱られたか)。
 ⑧相談系・・友だちに相談する。誰かに相談する。
 ⑨その他・・叫ぶ(※本当に『絶叫療法』というのがあるんだそうです) 。考える。
 感心したのは,子どもたちが皮膚感覚や目や耳・鼻・舌からの感覚に訴えて『気晴らし』に成功している点です。子どもたち,なかなかやりますね。
 

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★★「折れない心」を育てよう 【パート3】
那珂市教育支援センター長 加倉井 正 氏

5 つらい過去にも感謝できる気持ちを育てましょう
 バルセロナオリンピックで,マラソンランナーの有森裕子さんが『自分で自分を褒めてあげたい』と話しました。あの言葉は伝説になっていますよね。「つらい過去が自分を成長させてくれた」と気づく機会を子どもたちのために用意しましょう。これが心をさらに強くします。このような心の成長の姿を,PTG(Post Traumatic Growth トラウマ後成長)といいます。「つらい昔よ,ありがとう」と前川清さんも歌っています。「ありがとう,ワタシの人生」という感じでしょうか。人生には,かならず,大きな苦悩が立ちはだかります。だからこそ,大人の私たちが,子どもたちの前でそんな生き方を見せたいですね。
 
  最後に
 お気づきになられたと思いますが,これらのスキルは,実は,大人にとっても大切なものです。お父さん,お母さんが肩の力を抜いて,自分一人で抱え込まずに,誰かに甘えて頼って,時には,息抜きをしながら,自分の人生に意義と感謝を持ちましょう。きっとお子さんにとっても,ステキなパパ・ママと映ることでしょう。そんな親の姿こそが,子どもの最大のサポーターとして『折れない心』の育成につながっていくのではないかと思います。これからも子育て真っ最中の皆様を心から応援していきたいと存じます。
 

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子どもの本を選ぶために【パート1】
絵本専門士、学校図書館司書、おはなしの会ぱたぽん会員 石川 仁美 氏

 小学校の図書室に来る子ども達にこっそり聞いてみました。
 「本を読むのって楽しい?」
3年生までの子どもは、99%以上の子どもが「楽しいです」と、少しはにかんで答えてくれます。
 子どもにとって読書はいつでも「楽しみ」であり、良質の読書は子どもの成長を促す本物の楽しみであり、人間の劣性を刺激するだけの楽しみとの間には大きな隔たりがあります。だからこそ、読書をする時に大人の的確なアドバイスが重要になってくるのです。
 
 個人差はありますが一般的に子どもの読書能力は、小学校1年生ぐらいには拾い読みができるようになり、小学校3年生の終わりには読書の基礎的スキルも一応出来上がり、読書習慣が形作られるとされています。
 読書能力の発達に伴って、子どもの読書興味も発達していきます。一人読みをするようになって、今まで読んでもらって楽しんだ絵本を、今度は自分で読むようになります。絵本でも創作絵本や昔話絵本の良くできた作品は何歳になっても楽しんで読むようです。さらに、絵本とあわせて、幼年童話とよばれるこの年頃の子どもに向けてかかれた物語も読めるようになります。
 
 子どものために幼年童話や絵本を選ぶ場合、何を知っていればよいでしょう。
多くの児童文学研究者や保育学研究者によれば、良い幼年童話の条件は、
①はっきりした起承転結と、十分に納得できる結末
②主人公は読者である子どもの生活とかけ離れておらず、子どもが同化できる個性をもっている
③昔話の基本形式であり、子どもが楽しめる“行って帰る”“繰り返しがある”が使われている
④発想が新鮮でオリジナルであり、子どもの想像的、知的あるいは情緒的な経験を拡げることができる
⑤正しい日本語で、言葉遣いは正確である
⑥物語は時間の流れに沿って進み、登場人物の会話や具体的動作や行動で物語が展開していくこと
等をあげています。ここでは省きますが、もちろん絵本にも良い絵本の条件がいくつかあげられています。

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子どもの本を選ぶために【パート2】
絵本専門士、学校図書館司書、おはなしの会ぱたぽん会員 石川 仁美 氏

しかしながら、子どものために本を選ぶためにこの条件をいちいちつぶさにみていくことは大変な労力とそれなりの経験と知識が必要になってきます。
そこで、その作品がどのくらい前に出版されたか、どのくらい「刷り」を重ねているかを知ることを、本を選ぶ時の最初に見るべきポイントとすることをお奨めします。
 あなたが子どもの頃に読んでいた絵本(幼年童話も)を今、本屋さんや図書館で目にすることがありますか?
 そんな本は長い時間子どもに親しまれ、子どもの成長に深く影響してきた作品であり、評価の定まった作品といえるでしょう。まず、そこから読み始めれば、子どもたちは貴重で短い子ども時代を豊かに過ごすことができるでしょう。

 小学校1年生から小学校3年生にかけては、読書に対する態度、習慣が形成される時期でもあります。子どもにとって良い本は楽しみと喜びを与えてくれるものであり、なにより子どもの成長に有益なものです。特にこの時期にキャラクター物やアニメ以外の作品に多く触れることは、子どもにとって未知の事柄を想像する力を養う大きな原動力となります。

 大人が子どもの本を選ぶ際に、現在の流行に左右される事なく定評のある作品を選び提供することで、子どもたちは読書力をつけ、読むことの楽しさを自分の中に染みこませ、次の読書環境へとスムーズに移行していくことでしょう。

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子どもの話を聞く時間をつくりましょう【パート1】
茨城キリスト教大学 准教授 飛田 隆 氏

 学校生活と保育園や幼稚園等との生活の違いはいろいろありますが、すぐ思いつくものは授業があることと時間割ではないかと思います。
 まずは子どもたちが戸惑うのは、時間割通りに授業が進み、そのたびに違う教科書やノートを用意すること、教科(音楽・体育等)によっては授業を受ける場所が違ったり、時には別の先生になったりします。しかも原則一人で何でもするようになることだと思います。
 保育園、幼稚園等であれば先生方が見ていてくれたり、時にはさりげなく援助してくれたり、常に身近にいて子どもたちを支援していることが日常的で、その中で子どもたちは生活していました。
 小学校に入学してからは子どもたちが成長したとはいえ、この変化に対応して生活していることはすごいことだと思います。もちろん小学校の先生方のご指導のお蔭ということもあると思います。
 保護者の皆様は、子どもたちのこのような日常的な子どもの頑張りを考えておく必要はあると思います。かんばっている分、ストレスも感じるということだと思います。そこで無理のない範囲で結構ですので、子どもの話を聞く時間を意識していただくと良いと思っております。子どもの変化に気付いたり、学習の振り返りになったりもします。大好きなお母さんやお父さんに話を聞いてもらえるだけでストレスの軽減にもなります。

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子どもの話を聞く時間をつくりましょう【パート2】
茨城キリスト教大学 准教授 飛田 隆 氏

 例えば、学校から子どもが帰ってきましたら、まずランドセルの中身をすべて出させることをお勧めいたします。そこで今日の時間割通りに教科書とノートを開かせ、授業の様子を子どもから教わるという態度で接します。この時の大切な注意点は、子どもの学習内容の習熟度のチェックをするような態度にならないことが大切です。
 子どもにとって、この時間はお母さんやお父さんが私の話を聞いてくれる時間にすることが重要です。親にとっても、学校の様子がわかる貴重な時間にもなります。
 この時期の子どもの脳は成長していますので今日、授業で習ったことを教科書やノートを開くだけでも思い出し、そのことを親に伝えることで復習につながります。つまり子どもは今日の出来事をお母さん、お父さんに伝える楽しい時間と考えていますが、実は復習している勉強の時間にもなります。
 こうすることで、低学年のうちは無理なく学んでいることの振り返りができ、ランドセルから中身をすべて出すことにより、保護者宛ての手紙や明日の時間割を用意することもできます。
 お母さん、お父さんもこの時間を楽しい時間にしていただけましたら幸いです。

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体験活動で“抱きしめる”
国立青少年教育振興機構 指導主幹 北見 靖直 氏

体験活動の中で「えっー!」と驚く瞬間があります。休み時間に低学年の子供たちにせがまれて「おんぶ」をしたりしていると、突然背中に想定外の重みを感じて振り向くと高学年の子供が背中におぶさってくるのです。でもしばらくすると納得したのか自分で降りて離れていきます。また、あるキャンプで怪我をして泣き止まぬ子供がいました。ふっと感じて手を握りしめてあげたところすっーと涙が引いて笑顔に戻りました。まさに「手当て」の意味を感じた瞬間でした。このように私は体験活動のさまざまな活動の場面で子供たちの手を握ることや身体に触れることが多いのですが、時には、触った瞬間に自分の手が子供たちの身体にまるでしみ込むように感じることもあります。
長く体験活動を指導する中で感じているのは、子供たちの持つ「渇き」です。とくに低学年の子供たちは「ふれあう(ボディコミュニケーション)」ことを求めているように思うのです。このことは子供たちばかりではありません。不登校、引きこもりの若者とキャンプをしてきたのですが、彼らの身体にふれると「こわばり」を感じます。その「こわばり」に彼らの経験してきた過去の日々の中での心の痛みを思わずにはいられません。
 体験活動の良いところは大人と子供が「いっしょに汗をかき、自然にふれあうこと」ができることです。その中で大切にしたいことは、私たち大人が必要なときに「手をとって」伝え、背中を叩いて「励まし」、頭にふれて「ほめる」そして時には肩に「手をおいて」叱ることや喜び合い「抱きしめる」ことではないかと思います。とくに低学年の子供たちこそ言葉以外の方法で感情を伝え、共有する、まさに非言語(ノンバーバル)なコミュニケーションこそ体験活動の中で子供たちとつながるポイントだと考えています。その一瞬が心にしみこむ。そのささやかな一瞬が子供達の未来を支えていくと私は信じています。
ぜひ、今度の週末は野外にでかけませんか?子供たちを抱きしめるために。

 「抱きしめる、という会話」
 子どもの頃に
 抱きしめられた記憶は、
 ひとのこころの、奥のほうの、
 大切な場所にずっと残っていく。

 そうして、その記憶は、
 優しさや思いやりの大切さを教えてくれたり、
 ひとりぼっちじゃないんだって思わせてくれたり、
 そこから先は行っちゃいけないよって止めてくれたり、
 死んじゃいたいくらい切ないときに支えてくれたりする。

 子どもをもっと抱きしめてあげてください。
 ちっちゃなこころは、いつも手をのばしています。
(「公共広告機構(AC)」の2003年度全国キャンペーン作品より)

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親子のコミュニケーションタイムを
つくば市教育委員 鷲田美加 氏

 小学生の子育ては,毎日が大忙し! 家のことをこなしながら,仕事やPTA,サークルなどでも活躍されるお父さん,お母さんを見ると,輝いていて素敵だな!と思います。
 この時期の親子のコミュニケーションは,子供の成長に欠かせない,大切なものです。
子供は,親の愛情を確かめたくなると,「ねえ,ねえ」と話しかけてきます。親が話を聴いてあげると,子供は安心し,親との愛を深めます。また,子供は,話をしながら頭の中で自分の考えをまとめ,思考力を深めていきます。
 もし普段から,子供の話に耳を傾け,一家だんらんの時間を作れているという方は,理想的です。どうぞこれからも親子のコミュニケーションを大切にしてください。
 一方で,わかってはいるけれど,気忙しくてイライラしたり,子供の話を聴く時間が作れない方も多いと思います。
 忙しい方にオススメしたいのが,「親子のコミュニケーションタイム」を決めて,何でも話していい時間を共有する方法です。お子さんと2人だけになれる時間はありますか? 例えば,「夜寝る前の時間」,「食事の時間」,「送り迎えの車内」,「お風呂の中」など。短い時間でも,親がリラックスして,子供が安心していろんな話をできる時間を作れたら,その後の子育てがもっと楽しくなります。子供の幸せを願う親にとって,「何かあった時,うちの親は話を聞いてくれる。」と子供に思ってもらえたら,こんなに嬉しいことはありません!
 ちなみに,私と息子のコミュニケーションタイムは,「足裏マッサージ」でした。当時,先輩お母さんに「今のうちからスキンシップしておくと,思春期に助かるわよ!」と言われたのがきっかけです。息子が高校生になった今も,何かあると,「母さん,マッサージして」とやってきて,マッサージをしてもらいながら「実はね…」と話をしてくれます。当時小さくてかわいかった足裏は,驚くほど大きくなりましたが(笑)。先輩お母さんには感謝しています。みなさんも,もしご興味があればお試しください。
 子供は親をよく見ています。親があきらめないで,努力を続けていると,子供は,その背中を見て,成長していきます。忙しい毎日の中でも,ちょっとずつ工夫して,今しかない子供との大切な時間を楽しみたいですね。

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