小学校1~3年の子をもつ保護者の皆様へ

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外国ルーツの子と家族と共に育つ
茨城NPOセンター・コモンズ 代表理事 横田 能洋 氏

 茨城の小学校の4割、中学校では6割の学校に外国籍の子がいます。かつて南米などに渡った日本人の子孫が日本に来て定住し、日本生まれの子も増えています。日系人以外でも親が日本で働き母国から子を呼び寄せることもあります。言葉の壁と制度や習慣の違いのため、外国ルーツの子とその家族が日本の学校に慣れるのは大変です。例えば、ブラジルの学校には給食、掃除係はないそうです。私達の団体は、小学校に入学する前の準備としてプレスクールというものを行っています。子どもたちにはあいさつや簡単な読み書き、学校での生活ルールを教えます。保護者は入学説明会だけでは理解できない部分を翻訳資料や通訳を介して伝えます。PTAや登校班にどう参加すればいいか、何をどこで買うかなど、わからないことが沢山あります。
 学校に入ってからも先生や友達が話していることがわからず、学校になじめない子もいます。幼児教育施設に通わず小学校に入った場合は集団生活にも慣れていません。こどもは遊びを通して日常会話を覚えられますが、学習に必要な言語や、抽象的な言葉や概念の習得は容易ではありません。家庭で日本のテレビもみていない場合、日本人なら当たり前の情報が入りにくいです。保護者が日本語を読めないと家で宿題をみてもらえません。そのような環境の子は学年が上がるにつれ問題文が読めなかったり理解できないなど学習が大変になることもあります。それでも多くの子は長く日本で生きていきます。将来の地域の担い手になる存在です。幼児教育や小中高をとおして外国ルーツの子が日本語や教科を学びやすい環境を整えていく必要があると思います。
 言葉を学ぶ近道は友達になることです。お子さんのクラスメイトに外国ルーツの子がいたら、子どもも親もかかわりをもってほしいと思います。違う言葉や異文化に接し興味をもつことは子どもの優しさや多様性への理解を育みます。日本語が不自由な保護者は、わからない時にきけるママ友、パパ友がいると安心できるでしょう。言葉は違っても子を思う親の気持ちは同じです。学校の行事で外国ルーツの子の保護者にあったら日本語でもいいので笑顔で声をかけてみてください。

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“愛の記録”で前向きな子育てを
茨城県PTA連絡協議会 会長  畠山佳樹 氏

 「子育て」、我が子がこの世に生を受けてくれたからこそ体験できるこの機会、本当に幸せなことだと感じます。ただ、時にその責任の重さや、挫折から、悩みの尽きない保護者も少なくないと思います。
  私たちPTAには、様々な活動がありますが、保護者に学びの機会を提供することも大きな柱としています。各単位PTAや地区PTA、県PTA等において行われる様々なPTA活動、特に各種研修会などでは保護者同士の活発な意見交換がなされ、その交流を通じて家庭教育を支援していると言えます。ただ、このコロナ禍で今までのように保護者同士で体験談等を語り合い、家庭における教育を深掘りする機会が失われてしまっています。
  そんなときに、是非ご活用いただきたいのが、茨城県PTA連絡協議会が毎年発行する「愛の記録:家庭教育実践事例集」です。これは、県内各地の幼稚園生から中学生までの子を持つ保護者が子育ての体験談を綴ったものです。私は、毎年楽しみに読んでいますが、その波瀾万丈に、その悪戦苦闘に、その微笑ましさに、大げさでなく涙無くして読むことはできない代物です。1人静かにページをめくるたびに、笑あり、涙あり、こんなに自分の家庭の失敗談や苦労話を公にしてくださるなんて、なんて心の広いことか!と毎回驚かされます。
 おそらくそれは、自分と同じ後悔や失敗をしてほしくない、この今しかできない子育てを精一杯楽しんで欲しい、との思いから綴られるのだと思います。
  それぞれの作品から、「なにもかっこつけなくてもいい、肩ひじ張らず、子育てに夢中になって、失敗して成長すればよいのだ」と励ましの声が聞こえてくるようです。そして、次は、「私の経験を誰かに伝えたい!」そんな気持ちにさせてくれます。
  コロナ禍において、集まって語り合う機会は難しいですが、この愛の記録は、いつでも、どこでも、それぞれの家庭教育を共有し、保護者として成長の糧にできる茨城の誇る素晴らしい教材だと思います。
ぜひ、あなたも一度手に取ってみてください。そして、子育てを大いに楽しみましょう。
 

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学校生活がスタートした今、家庭でできること
茨城キリスト教大学文学部 教授 中島 美那子 氏

子どもにとっての日常
 現在私たちは不安を完全に払拭することができずに、何とも心許ない状況の中にいます。それでも最近になってようやく学校生活がスタートし、子どもたちが日常を取り戻し始めたことに安心しているところです。しかし、実際のところ私たちは子どもたちの日常の確保をただ喜ぶだけで良いのでしょうか。
 実はこれまでの医学や心理学等の研究の蓄積から、人々が不安や悲しみによって自分をコントロールできなくなるのは、そのたいへんな状況下にある時よりも、むしろその後の日常が戻ってきてからの方が多いということが知られています。ということは、この数ヶ月の踏ん張りがここへきて崩れる、つまりちょっとしたきっかけで不調になることも考えられるわけです。そしてそれは、気分の落ち込みや焦燥感、いら立ち、疲労感や倦怠感、他の身体症状など、さまざまな形を取るようです。
 
大人ができること
 このようなことから、「今後、子どもが不安定になることは大いにある」と予め想定しておき、かつ「その子どもの不安定な状態は、一生続くわけではない」と知っておくことで、落ち着いて対応できるかもしれません。
 また、不安や怒り、悲しみなどのネガティブな感情を表出することが、その感情に支配されることを遠ざける、ということを子どもに教えてあげることも大切かと思います。子どもが表現するネガティブ感情に、周囲の大人はその言葉に対して評価もしなければ鼓舞することもなく、ただ聴き、子どもが発した言葉を繰り返してあげます(「そう、辛かったのね」、「その時、イラッとしたんだね」等)。そして「聞かせてくれてありがとうね」と伝え、子どもの「また話そう」という気持ちを育ててあげてください。
 そして、そんなネガティブな感情が少しでも軽くなる方法を一緒に探してみるのはどうでしょうか。一緒にできそうなことは試しにやってみると、大人にとっても癒しになるかもしれません。
 「ネガティブな感情を自覚し、適切に語る。それが困難を乗り越える術になる」ことを子どもに教えていく。私はこのことを子育ての大目標にして良い時代に入ったと感じています。
(*ただし、保護者自身に心の余裕がない時は、たとえ我が子といえども他者の感情を受容することは困難です。そんな時は無理をせず、他に子どもの話を聞いてくれそうな人に代わってもらって良いと思います。まずは自分自身のネガティブ感情を癒すことから始めてみてください。)
 

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子どもにゲーム機器・スマートフォンをあたえる前に知っておいてほしいこと
茨城県立医療大学准教授 附属病院小児科 医学博士 中山 純子 氏

 昨年5月に世界保健機構(WHO)が「ゲーム障害(ゲーム依存症)」を精神疾患として認定しました。国立病院機構久里浜医療センターの樋口進院長によると、現在、日本の中高生の93万人にネット依存症の疑いがあり、そのうちの90%はゲーム依存症だそうです。 
 最近は乳幼児期からゲームやネット(主に動画視聴)を行う子どもも少なくありません。ゲーム依存症では脳の前頭前野(理性をつかさどる部分)の働きが悪くなるとの報告もあり、成長期の子どもの脳に対する悪影響が心配されます。
 ゲーム依存症はアルコールやギャンブルなどの依存症と同様に治療が必要な疾患ですが、現時点では治療できる施設は非常に少なく、また治療には自己コントロール(ゲームを我慢すること)が必要となるため、年齢が低いほど治療が難しいといわれています。そのため社会全体で予防に取り組む必要があり、海外ではすでに韓国や中国で年少者のオンラインゲームへのアクセス制限が行われています。最近では国内でも香川県が「ネット・ゲーム依存症対策条例」の施行をめざしていることが話題となっています。
 ゲーム障害の予防のためには、それぞれの家庭でもゲーム機器やスマートフォンの利用について、保護者がその危険性を認識し、使用におけるルールを子どもと確認してから使用させることが重要です。しかし実際には、ルールを決めたりフィルタリングを行わずに子どもに与えてしまっていることも多く、長時間のゲームや動画視聴により、学力の低下や睡眠時間の短縮、不登校などの問題につながっている事例もみられています。ゲームやスマートフォンの使用開始年齢が低いほど、その後のゲーム使用時間が長くなるという報告もあるため、使用開始年齢を遅くすることは依存症予防につながると考えられます。「もう子どもにゲーム機を与えてしまっている」という場合には、ご家族でもう一度、利用のルールを話し合っていただければと思います。

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「読み聞かせ」の魅力
朗読家 見澤 淑恵 氏

 みなさんは,「読み聞かせ」って何歳頃まで必要だと思いますか? 小学生になると,字も読めるし,音読の宿題もあるくらいだから,もうそろそろ読み聞かせは卒業した方がいいのかしらと感じる方もいらっしゃるようです。
 福音館書店の元編集長 松居直さんは絵本について「絵本は子どもに読ませる本ではない。大人が子どもに読んでやる本。絵本は誰かに(声に出して)読んでもらうことを前提に作っている。」と言っています。
 そこで,私は知人に,私のために絵本の読み聞かせをしてもらいました。誰かに読んでもらうと自分で絵を見て文章を読んだときや,文章を読んでから絵を見たときとは,明らかに違う世界が広がりました。私が読み聞かせをしている保育園・幼稚園・小・中学校の子どもたちの様子を見ていても,松居さんの言うとおりだと思います。
 みなさんは,お子さんに絵本の読み聞かせをするときに,ご自身はどのくらい絵を見ているでしょうか? 大抵の場合,親は文章を読むことに集中しているので,絵を味わう余裕がありません。しかし,絵は目に入ってくるので「絵を見ている,見えている」と思っています。実際は,子どもの方がよく絵を見ていますし,絵を読み解いています。
 ぜひ一度,誰かに絵本を読んでもらって,子供と同じ目線で絵本の世界を味わってみてください。絵を見ながら,耳から聞こえてくる言葉と声。その効果は,私たちが思っている以上に大きいのです。それを体感することで,「読み聞かせ」の大切さがわかると思います。
 読み聞かせは,本の内容を伝えているだけではありません。我が子に絵本の魅力を届け,共に絵本の世界を体験できるものでもあります。また,喜びや悲しみ,怒り,愛,悔しさ,生命,死・・・それらを我が子がどう受け止めるか,その心の成長にも気付けます。そして,私たち大人に,懐かしい風景・・・自分の幼かった時の思い出,忘れかけていたピュアな感覚を思い出させてくれるものでもあるのです。
 最近は,時間を忘れてゲームに夢中になるお子さんに困っているという声を聞くことが多くあります。「ゲームばかりして」と注意する前に,「絵本を読むよ。」と声かけをしてみてはいかがでしょうか。限られた我が子との貴重な時間をより豊かな時間とするために,「読み聞かせ」を意識して行っていただければと思います。

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毎日の「良い生活習慣」が子どものやる気と自信をつくる
茨城キリスト教大学兼任講師 佐藤 加代子 氏

 小学校入学後の保護者にとって,我が子が学校できちんと勉強しているだろうか?忘れ物をしていないだろうか?お友だちと仲良くやっているだろうか?等心配事は誰も持つことと思います。保護者だけでなく子ども自身も入学時や学年進級時に同様の不安を感じています。それを解決するのは家庭での毎日の「生活習慣」です。そのことを子どもだけに求めるのでなく「親子でつくる良い習慣」の積み重ねが子どもの自己肯定感を高め,勉強のやる気・自信を育みます。筆者の長年の教職体験や国や民間の教育研究所の調査結果からも良い生活習慣が学習の成果や楽しい小学校生活を支えていることがうかがえます。具体的例は以下に記しますが家庭で継続できるよう約束を共有するといいでしょう。   ※(  )内は親の関わり方やポイントを示します。
○ あいさつをする。(明るく親から率先して,友だちや仲間づくりにも) 
○ 返事は「はい!」と気持ちよく,ていねいな言葉遣いを心がける。(親が手本を)
○ 早寝・早起きに努める。(睡眠は1日8~9時間,親は30分早めに起床)
○ 朝ご飯をしっかり食べる。(特にみそ汁で野菜を摂取,食事のあいさつも大切に)
○ 「朝の排便」と「帰宅後のうがい・手洗い」「夜の入浴」「歯磨き」で健康・清 潔の習慣を付ける。(排便しないと授業に集中できない,病気の予防,入浴は親子で)
○ 翌日の準備は自分でする。(忘れ物をしなくなる,親は毎日連絡帳等でチェック)
○ 身だしなみは,自分で整える。(顔を洗う,髪をとかす,清潔な身なり)
○ 持ち物には名前を書く。(物を大切にし,落とし物をしても戻ってくる)
○ 国語の教科書は声に出して読む(音読)。(親も楽しみ・感動,一言感想を)
○ 算数は復習中心でノートを活用する。(宿題等,親もノートを見て,解き方を共有)
○ 小学校までは親子で読み聞かせを楽しむ。(特に低学年は大切,読書への意欲付け)
○ 家の手伝いをする。(小さなことでも継続,親はその都度ほめ感謝を伝え意欲付け)
○ ゲームやスマホに頼らない生活習慣をつくる。(年齢が低い程ゲーム依存症に)
○ 自然に親しみ,工夫して遊ぶ。(親子で散歩,季節感を味わいながら自然から学ぶ)
○ 天気の良い日は外遊びをして体を動かす習慣を付ける。(基礎体力,健康づくり)
※独自の習慣づくりもいいです。(例―1日1回は必ず感謝の言葉を伝える等)
 あいさつは人と人とのコミュニケーションの第一歩です。家庭でも積極的に行うことで友だちと話したり思いを伝えたりできます。低学年のうちに良い生活習慣を身に付けることで子どもが自信をもって授業にのぞみ,友だちや先生の信頼を得て自己肯定感を高めていきます。又,週に1回でも読み聞かせをすることで親子の絆も深まります。脳科学上でも脳の活性化や情緒発達が認められています。子どもは誰よりも一番親にほめられることを喜びます。「生活習慣・行動が人格を形成する」と提唱する哲学者もいます。この時期に身に付けた習慣が小学校高学年・中学校や成人後の基礎となっています。最後に保護者も日々の子どもとの関わり・良い習慣づくりを「楽しめる」と最高です。
 

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子どもが混乱,ダブルバインドに要注意!
茨城女子短期大学  保育科長 教授 助川 公継 氏

◆ 言語能力や認識力が高まってくる
 小学校低学年になると,「大人が『いけない』と言うことは,してはならない」といったことへの理解と判断が少しずつできるようになってきます。また,言語能力や認識力も高まり,自然等への関心が増える時期でもあります。
 したがって,子どもの発達において,重視すべきこととして,「人として,行ってはならないこと」についての知識と感性の涵養や,集団や社会のルールを守る態度など,善悪の判断や規範意識の形成を図るような姿勢が大切になってきます。また,自然や美しいものに感動する心などを育てるような取り組みも重要です。
 子どもは,大人の一言一言に耳を傾け注意を払いながら,自分を見つめることを通して学んでいきます。そして価値基準のようなものが徐々にできてきます。
◆ ダブルバインドとは ?
 当然,大人としては,言ったことについて責任を持たなければなりません。昨日言ったことと今日言ったことに違いがあると,子どもは混乱します。一貫性が大切になります。例えば,
 ・「勉強できなくても,健康なら!」と言いながら,「どうしたの,この成績は!」
 ・「黙ってないで何か言ったら」→「言い訳は聞きたくありません!」
 ・「何で失敗したのかわかってる?」→「わかってて,どうしてやったの!」
 ・「自分で考えなさい!」→「どうして,勝手にしたの!」
というように,言っていることに矛盾があると,子どもはどうしたらよいかわからなくなります。これは,大人同士でも時としてありますし,どう行動したらよいか迷ってしまいます。このように二つの相反する(矛盾した)言い方をすることを,ダブルバインド(二重拘束)といいます。
◆ 気がついたときに,話をする
 こうしたダブルバインドを防ぐには,まずは一つ一つ気がついたときにしっかりと話をすることを心がけましょう。あれもこれもと,まとめて指摘をすると,時として矛盾点が生まれてしまいます。「○○だけ,しっかりとやろうね」というように話すことが大切です。
 次に,日頃から自分が言っていることをチェックする冷静さをもちましょう。よいことを話すときは,気持ちをのせて元気に話してもよいですが,指摘をするような時には感情的になりがちですので要注意です。知らず知らずのうちに矛盾することを求めていたということがあります。ダブルバインドは,信頼関係を壊す危険性があります。
◆ 言動一致を心がけましょう
 それから気をつけなければならないことに,言葉だけでなく行動もあります。子どもは大人の言動に敏感になってきますので,いくら良いことを言っていても,態度や行動が一致していなければ迷います。また,約束したことは果たす努力をすることも大切です。どうしてもできない場合には,きちんと謝り丁寧な説明で納得させることを心がけてください。
 

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「子育ては楽しいですか?」 -今までではなく,今から-
茨城県国公立幼稚園・こども園長会 会長 矢萩 賢一 氏

 「子育ては楽しいですか?」という演題で,在籍幼稚園の保護者対象にワークショップ型研修を実施したことがあります。(+)面では,「喜びの共有」・「感謝」・「コミュニケーション」・「癒し」・「世界の広がり」などが挙がりました。(-)面では,「躾の苦労」・「理想と現実のギャップ」・「子どもの気持ちをつかめない」・「反抗される」・「兄弟ゲンカ」・「自分の時間がとれない」・「体力がない」と,お母さんの心の内が具体的に発表具体的されました。「楽しい面と辛い面が自分と同じだったので安心しました。」「自分の子育てに自信がなかったので,とても参考になりました。」などと,語り合えた満足感を目の当たりにした瞬間でもありました。
 今,茨城県は教育長直轄の「就学前教育・家庭教育推進室」を中心に,就学前教育を学校教育の重点施策として様々な展開をしています。国際的にも幼児教育の調査研究が進み,この時期は「意欲・協調性・粘り強さ・忍耐力・計画性」等の非認知能力を育む大切な時期であること,そして,その後に大きく影響することも分かってきています。
 ところで,お子様が小学校に進んでからの子育てはいかがですか。小学校では,「1年生はゼロからのスタートではない」と幼小の接続を意識し,特に,1年生の先生方は日々の教育を工夫しています。そんな先生方に,「低学年の保護者が困っていることは?」と,問いかけたことがあります。「宿題」・「食事」・「友達」・「いじめ」・「生活習慣及びリズム」・「忘れ物」・「整理整頓」・「読書」等々,日常,気に掛かることが列挙されました。
「もし,お母さん方にアドバイスをするとしたら?」と,再度,問いかけてみると,

・自分の育て方を悪いと思わないで。悩んでいる人ほど子どものことを考えているもの。
・どんなに忙しくても,朝だけは笑顔で子どもを送り出してほしい。
・家での過ごし方や約束事は決めた方がいいでしょう。
・約束が守れたら褒めてあげてください。「お母さん嬉しい」と声に出してください。
・お子さんの話は目を見て,心で受け止めてあげてください。
・人と比べるのではなく,その子の成長を見守ってください。
・一日に一回は愛情表現をしてあげてください。一緒にお風呂に入るのでもいいです。
・自分の子どもを信じるのはいいが,よく観察すること。子どもは時には嘘もつくもの。
・必要があれば,担任の先生や専門機関に相談してください。
 様々な視点から的確なアドバイスが返ってきました。大事なのは「優しさと厳しさ」という愛情のバランスです。誰にも,よさと可能性が秘められているのです。
 私の好きな言葉の一つに「今までではなくて,今から!」があります。いつでも,やり直しがきくという心構えが大切です。気付いた瞬間が,新しいスタートなのです。
 明るい希望を強く抱いて,ゆっくりでもお子さんと一緒に前に進んで行きましょう。
 

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ランドセルに寄せる思い
茨城県学校長会 会長 小島 睦 氏

 さあ,今日から1年生。いつの間にかお兄さん,お姉さんらしくなった2年生が,うれしそうにやさしく新入生を迎えます。小学校での楽しい毎日への期待,そして,すこやかな成長を願うお家の方の思いをたっぷり詰めこんだランドセルは,1年生にはとても大きく,いかにも重そうです。
 小学校では,1年生の生活のスタートにあたり,幼稚園や保育所など,幼児教育施設におけるお子さんの成長の様子をできるだけ踏まえた上で,小学校での学習や生活を組み立てていきます。そのため,小学校の教員は,幼稚園や保育所等の先生方の話を聞かせていただいたり,保育の様子を参観させていただいたりして,保幼小の連携を図っています。
 幼稚園の保育参観にお邪魔したときのことです。幼稚園の先生が,保育参観の仕方について簡単な説明をしてくださいました。「参観中,けんかのようなトラブルを目にすることもあるかもしれませんが,すぐに手を貸してやめさせようとしないようにお願いします。」「トラブルも,子どもたちにとっては大切な学習の機会になるのです。」
 先生方のあたたかく教育的な指導のもとで積み重ねられてきた子どもたちの経験を,小学校において引き継いでいくことの大切さについて考えさせられました。
 集団生活においては,人とかかわることを避けるわけにはいきません。むしろ,意図的にかかわる場を設け,その中で子ども自らが学べる環境づくりを進めていくことが求められます。友だちとの折り合いを上手につけられるように,自分の感情をコントロールしたり,ルールを工夫したりするのは,一つには自分の属する集団を居心地のよいものにしたいという子どもの自然な思いからだろうと思います。
 このような集団生活を送る上でもう一つ大切にしたいのは,基本的な生活習慣です。友だちとなかよくすごすために必要なあいさつや,みんなで使う物や環境を大切にしていこうとする態度などが,自分たちの生活を気持ちのよいものにしていきます。これらのことには,学校と家庭の双方において,子どもの育ちを一つ一つ認めながら,身に付けていけるようにしていかなければなりません。
 入学からさらに2年生,3年生と学年が上がるにつれ,学習の内容も増えていきます。ランドセルに詰められた夢や希望もさらに大きく膨らんでいくことでしょう。あの大きなランドセルもいつしか身体に馴染んできます。様々な思いの詰まったランドセルをしっかりと自分の足で支えて歩いていけるよう,子どもの自立に向け,学校と家庭が一層力を合わせていきたいものです。
 

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これからの時代に必要な力
ひたちなか市立津田小学校長 塩田 智代 氏

 2003年5月に,宇宙科学研究所が打ち上げ,地球重力圏外の天体である「イトカワ」の表面に着陸しサンプルを採取後(世界初)2010年6月に地球に帰還した小惑星探査機はやぶさのことを覚えているでしょうか。
 ハヤブサが小惑星の表面に安全に着陸するためには,非常にゆっくり近づいていく必要があったそうです。研究者達は,着陸地点に目印を落とし,この目印と自分との距離をハヤブサが検出しながら着陸するという方法を考え,3ヶ月間,地球の10万分の1の重力しかない表面で,はねない目印を作るために試行錯誤を繰り返していたそうです。
 そんなある日,研究者にヒントをくれたのは,娘のおもちゃ箱にあったお手玉でした。お手玉により,子どもの頃,大好きなお母さんやおばあちゃんと遊んだ楽しかった記憶がよみがえってきたのでしょう。お手玉の感触,上手くキャッチできずに落としてしまった時のお手玉の音,もしかしたら,小さなきれいな布切れを縫って袋にした中に小豆を詰めていたおばあちゃんの指先までが脳裏に浮かんできたのかもしれません。
 今,直面している自分の課題とお手玉を結びつけたのは研究者自身の力(発想力)ですが,その発想力を支えてくれたのは,幼い頃の体験だったのです。
 宇宙開発というと,現在の技術の最先端であり,膨大な数の数字や計算式が並び,それをコンピューターや精密な機械がはじき出しているような冷たいイメージを持っていましたが,3ヶ月間も悩んだ課題を解決したのがお手玉だったと知った時に,私は宇宙開発もやっぱり人間がしているのだと温かな気持ちになりました。
 もう数年も前のことですが,大学生になり東京で一人暮らしを始めた息子から電話があり,何かの質問をされました。私が答えると「やっぱりそうだよね。それでよかったんだよね」と息子のうれしそうな声が聞こえました。自分なりに一生懸命に考えて対応したのでしょう。息子の言葉が続きました。「こういう時,お母さんならどうするかなと考えたんだ」と。これといって何かを教えたことなどありませんが,一緒に暮らした中から私の感じ方や考え方,判断や対応の仕方を息子なりに感じ取っていたのでしょう。日常の何気ない家族との生活の中から,いいことも悪いことも確実に子どもに伝わっていくのだなと思いました。お父さんやお母さんのぬくもりとともに記憶された幼い頃の経験の一つ一つが,子ども達にとって,自分の未来を拓くカギになるのではないかと私は思うのです。
 「魚を与えるのではなく,魚の釣り方を教えることが大切だ。なぜなら,釣り方を覚えれば一生自分の力で魚を得ることができるから」という話を昔聞いたことがあります。でも,もしかしたら,これからの時代は,釣りの仕方そのものが変わってくるのかもしれません。ひょっとしたら,魚は釣るものではなくなってしまうのかもしれません。
 今の子ども達が活躍する時代は,今よりもっと変化が早く,予想するのが困難な時代になるでしょう。毎日,新たな課題に直面し,解決を迫られることになるのでしょう。そんな時大事なことは,目の前の課題としっかりと向き合い,今自分が身に付けている知識や技能を駆使し考え,不足している知識等を同時に獲得しながら一つ一つの課題を自分の力で解決していくことではないでしょうか。
 これからの学校教育は,教わった知識をただ覚えるだけの勉強ではなく,自分で考え,判断し,表現していく力を子ども達が身に付けられるよう努めていきます。
 

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★★「折れない心」を育てよう 【パート1】
那珂市教育支援センター長 加倉井 正 氏

「レジリエンス」って聞いたことありますか?
 いじめられてもさらりとかわしたり,落ち込んでもすぐに立ち直ったりする心の力です。最後までがんばり抜く力も「レジリエンス」の中に入っています。コンクリートのように堅いのではなく,ゴムのように伸びても元にもどる柔らかい心の力です。今,世界中の子どもたちがこのトレーニングをして生き生きと活躍しています。どうやったら,こんな力が手に入るのでしょうか。
 
1 小さな失敗をたくさんさせましょう
 いきなり失敗をたくさん…て,びっくりですよね。1970年代のアメリカで「劣等感を抱かせないために失敗しそうな物や環境を排除してあげる。失敗させない…」教育をしたことがありました。結果は不安感でいっぱいの青年が増えてしまいました。健全な心の成長のためには失敗経験が大事だということに気づかされます。うまくいかない中で『ボクにもできたよ!!』って目をキラキラさせている我が子の顔を見たことがあるでしょう。大人の目の届く範囲で思い切ってチャレンジさせ,失敗の中で乗り越える経験こそが,本当の自信につながるのですね。「あぶないから,ほら,だめでしょ!!」「お母さんがしてあげたからね。」と,ついつい親心が働いてはいませんか? 少し突き放して失敗を乗り越えさせ,『ボクにもできるかもしれない心』を育ててみませんか。
 
2 『支えてくれる人がいる』意識を持たせましょう
 つらかった時を思い出してください。「ああ,あの人に相談しよう」と思えると気が楽になりませんか。ペットの顔を見てほっとすることはありませんか? 実際に愚痴をこぼせたり,一緒に泣いてくれたりしたら,心の痛みが少なくなりますよね。そして,「なんとか乗り越えられるかもしれない」という気にもなります。子どもでも同じですね。
 どんなに忙しくても子どもの目を見てしっかり話を聞いてくれるお母さん,黙って温かい手で握り返してくれるお父さん,子どもにとっては頼もしい味方でしょうね。親が学校の先生やカウンセラー,親戚などを信頼することで,そのような大人を子どもも信頼し,子どものよいサポーターになるかもしれません。もちろんペットでも。
 

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★★「折れない心」を育てよう 【パート2】
那珂市教育支援センター長 加倉井 正 氏

3 子どもの『強み』を意識させましょう
 我が子を見て「この子ったら・・と」眉をひそめてため息をついたことはありませんか。しかし,裏返すとそれが『強み』になることがあります。たとえば
 ①(興味が移り飽きっぽい) → やりたがる,好奇心が強い
 ②(「どうして?」としつこい) → 学ぶ意欲がある,向学心が強い
 ③(自分勝手,わがまま) → 他の意見に左右されない,創意工夫・創造性がある
 ④(お節介) → 親切,周りを大事にする,人のためになろうとする
 ⑤(ぐずぐず) → 慎重,いろいろな面から考えられる
 ⑥(融通がきかない・くそまじめ) → 約束を守る。誠実である。信頼される。 
 つらい場面に立たされたとき,意外にもこの自分らしさである『強み』がお子さんを引き上げてくれることがあります。
 「もうだめだ」と思ったときに,思わぬアイディアや逆転の発想が浮かぶことがあります。協調性があり誠実であったために,思わぬ仲間が手を貸してくれたという話を聞いたこともあります。メジャーリーガーのイチローさんが,つらい時だからこそ,自分の『強み』を頑固なまでに貫き通して来られたのは,皆さんがよくお分かりのことですよね。
 
4 『気晴らし』の方法をいくつか身につけさせましょう
  子どもでも強いストレスに苦しむことはあります。くよくよ悩むこともあります。
そんな時,短時間で立ち直れるように,『気晴らし』の仕方を知っておくと助かることがあります。小学校5年生のあるクラスで尋ねたところ,子どもたちからこんな『気晴らし』の方法を教えてもらいました。
 ①運動系・・バスケットボールをする。友だちと遊ぶ。走りまわって汗をかく。散歩する。
 ②視覚系・・本を読む。マンガを読む。塗り絵をする。
 ③聴覚系・・音楽を聴く。カラオケをする。
 ④味覚系・・カレーを食べる。焼き肉を食べまくる。チョコをなめる。
 ⑤嗅覚系・・お花のにおいを嗅ぐ。いいにおいのお風呂に入る。
 ⑥流し系・・寝て忘れる。気にしないようにする。グデーッとする。
 ⑦転嫁系・・誰かのせいにする。ウソをつく。わら人形に釘を刺す(怖い!叱られたか)。
 ⑧相談系・・友だちに相談する。誰かに相談する。
 ⑨その他・・叫ぶ(※本当に『絶叫療法』というのがあるんだそうです) 。考える。
 感心したのは,子どもたちが皮膚感覚や目や耳・鼻・舌からの感覚に訴えて『気晴らし』に成功している点です。子どもたち,なかなかやりますね。
 

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★★「折れない心」を育てよう 【パート3】
那珂市教育支援センター長 加倉井 正 氏

5 つらい過去にも感謝できる気持ちを育てましょう
 バルセロナオリンピックで,マラソンランナーの有森裕子さんが『自分で自分を褒めてあげたい』と話しました。あの言葉は伝説になっていますよね。「つらい過去が自分を成長させてくれた」と気づく機会を子どもたちのために用意しましょう。これが心をさらに強くします。このような心の成長の姿を,PTG(Post Traumatic Growth トラウマ後成長)といいます。「つらい昔よ,ありがとう」と前川清さんも歌っています。「ありがとう,ワタシの人生」という感じでしょうか。人生には,かならず,大きな苦悩が立ちはだかります。だからこそ,大人の私たちが,子どもたちの前でそんな生き方を見せたいですね。
 
  最後に
 お気づきになられたと思いますが,これらのスキルは,実は,大人にとっても大切なものです。お父さん,お母さんが肩の力を抜いて,自分一人で抱え込まずに,誰かに甘えて頼って,時には,息抜きをしながら,自分の人生に意義と感謝を持ちましょう。きっとお子さんにとっても,ステキなパパ・ママと映ることでしょう。そんな親の姿こそが,子どもの最大のサポーターとして『折れない心』の育成につながっていくのではないかと思います。これからも子育て真っ最中の皆様を心から応援していきたいと存じます。
 

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子どもの本を選ぶために【パート1】
絵本専門士、学校図書館司書、おはなしの会ぱたぽん会員 石川 仁美 氏

 小学校の図書室に来る子ども達にこっそり聞いてみました。
 「本を読むのって楽しい?」
3年生までの子どもは、99%以上の子どもが「楽しいです」と、少しはにかんで答えてくれます。
 子どもにとって読書はいつでも「楽しみ」であり、良質の読書は子どもの成長を促す本物の楽しみであり、人間の劣性を刺激するだけの楽しみとの間には大きな隔たりがあります。だからこそ、読書をする時に大人の的確なアドバイスが重要になってくるのです。
 
 個人差はありますが一般的に子どもの読書能力は、小学校1年生ぐらいには拾い読みができるようになり、小学校3年生の終わりには読書の基礎的スキルも一応出来上がり、読書習慣が形作られるとされています。
 読書能力の発達に伴って、子どもの読書興味も発達していきます。一人読みをするようになって、今まで読んでもらって楽しんだ絵本を、今度は自分で読むようになります。絵本でも創作絵本や昔話絵本の良くできた作品は何歳になっても楽しんで読むようです。さらに、絵本とあわせて、幼年童話とよばれるこの年頃の子どもに向けてかかれた物語も読めるようになります。
 
 子どものために幼年童話や絵本を選ぶ場合、何を知っていればよいでしょう。
多くの児童文学研究者や保育学研究者によれば、良い幼年童話の条件は、
①はっきりした起承転結と、十分に納得できる結末
②主人公は読者である子どもの生活とかけ離れておらず、子どもが同化できる個性をもっている
③昔話の基本形式であり、子どもが楽しめる“行って帰る”“繰り返しがある”が使われている
④発想が新鮮でオリジナルであり、子どもの想像的、知的あるいは情緒的な経験を拡げることができる
⑤正しい日本語で、言葉遣いは正確である
⑥物語は時間の流れに沿って進み、登場人物の会話や具体的動作や行動で物語が展開していくこと
等をあげています。ここでは省きますが、もちろん絵本にも良い絵本の条件がいくつかあげられています。

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子どもの本を選ぶために【パート2】
絵本専門士、学校図書館司書、おはなしの会ぱたぽん会員 石川 仁美 氏

しかしながら、子どものために本を選ぶためにこの条件をいちいちつぶさにみていくことは大変な労力とそれなりの経験と知識が必要になってきます。
そこで、その作品がどのくらい前に出版されたか、どのくらい「刷り」を重ねているかを知ることを、本を選ぶ時の最初に見るべきポイントとすることをお奨めします。
 あなたが子どもの頃に読んでいた絵本(幼年童話も)を今、本屋さんや図書館で目にすることがありますか?
 そんな本は長い時間子どもに親しまれ、子どもの成長に深く影響してきた作品であり、評価の定まった作品といえるでしょう。まず、そこから読み始めれば、子どもたちは貴重で短い子ども時代を豊かに過ごすことができるでしょう。

 小学校1年生から小学校3年生にかけては、読書に対する態度、習慣が形成される時期でもあります。子どもにとって良い本は楽しみと喜びを与えてくれるものであり、なにより子どもの成長に有益なものです。特にこの時期にキャラクター物やアニメ以外の作品に多く触れることは、子どもにとって未知の事柄を想像する力を養う大きな原動力となります。

 大人が子どもの本を選ぶ際に、現在の流行に左右される事なく定評のある作品を選び提供することで、子どもたちは読書力をつけ、読むことの楽しさを自分の中に染みこませ、次の読書環境へとスムーズに移行していくことでしょう。

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子どもの話を聞く時間をつくりましょう【パート1】
茨城キリスト教大学 准教授 飛田 隆 氏

 学校生活と保育園や幼稚園等との生活の違いはいろいろありますが、すぐ思いつくものは授業があることと時間割ではないかと思います。
 まずは子どもたちが戸惑うのは、時間割通りに授業が進み、そのたびに違う教科書やノートを用意すること、教科(音楽・体育等)によっては授業を受ける場所が違ったり、時には別の先生になったりします。しかも原則一人で何でもするようになることだと思います。
 保育園、幼稚園等であれば先生方が見ていてくれたり、時にはさりげなく援助してくれたり、常に身近にいて子どもたちを支援していることが日常的で、その中で子どもたちは生活していました。
 小学校に入学してからは子どもたちが成長したとはいえ、この変化に対応して生活していることはすごいことだと思います。もちろん小学校の先生方のご指導のお蔭ということもあると思います。
 保護者の皆様は、子どもたちのこのような日常的な子どもの頑張りを考えておく必要はあると思います。かんばっている分、ストレスも感じるということだと思います。そこで無理のない範囲で結構ですので、子どもの話を聞く時間を意識していただくと良いと思っております。子どもの変化に気付いたり、学習の振り返りになったりもします。大好きなお母さんやお父さんに話を聞いてもらえるだけでストレスの軽減にもなります。

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子どもの話を聞く時間をつくりましょう【パート2】
茨城キリスト教大学 准教授 飛田 隆 氏

 例えば、学校から子どもが帰ってきましたら、まずランドセルの中身をすべて出させることをお勧めいたします。そこで今日の時間割通りに教科書とノートを開かせ、授業の様子を子どもから教わるという態度で接します。この時の大切な注意点は、子どもの学習内容の習熟度のチェックをするような態度にならないことが大切です。
 子どもにとって、この時間はお母さんやお父さんが私の話を聞いてくれる時間にすることが重要です。親にとっても、学校の様子がわかる貴重な時間にもなります。
 この時期の子どもの脳は成長していますので今日、授業で習ったことを教科書やノートを開くだけでも思い出し、そのことを親に伝えることで復習につながります。つまり子どもは今日の出来事をお母さん、お父さんに伝える楽しい時間と考えていますが、実は復習している勉強の時間にもなります。
 こうすることで、低学年のうちは無理なく学んでいることの振り返りができ、ランドセルから中身をすべて出すことにより、保護者宛ての手紙や明日の時間割を用意することもできます。
 お母さん、お父さんもこの時間を楽しい時間にしていただけましたら幸いです。

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体験活動で“抱きしめる”
国立青少年教育振興機構 指導主幹 北見 靖直 氏

体験活動の中で「えっー!」と驚く瞬間があります。休み時間に低学年の子供たちにせがまれて「おんぶ」をしたりしていると、突然背中に想定外の重みを感じて振り向くと高学年の子供が背中におぶさってくるのです。でもしばらくすると納得したのか自分で降りて離れていきます。また、あるキャンプで怪我をして泣き止まぬ子供がいました。ふっと感じて手を握りしめてあげたところすっーと涙が引いて笑顔に戻りました。まさに「手当て」の意味を感じた瞬間でした。このように私は体験活動のさまざまな活動の場面で子供たちの手を握ることや身体に触れることが多いのですが、時には、触った瞬間に自分の手が子供たちの身体にまるでしみ込むように感じることもあります。
長く体験活動を指導する中で感じているのは、子供たちの持つ「渇き」です。とくに低学年の子供たちは「ふれあう(ボディコミュニケーション)」ことを求めているように思うのです。このことは子供たちばかりではありません。不登校、引きこもりの若者とキャンプをしてきたのですが、彼らの身体にふれると「こわばり」を感じます。その「こわばり」に彼らの経験してきた過去の日々の中での心の痛みを思わずにはいられません。
 体験活動の良いところは大人と子供が「いっしょに汗をかき、自然にふれあうこと」ができることです。その中で大切にしたいことは、私たち大人が必要なときに「手をとって」伝え、背中を叩いて「励まし」、頭にふれて「ほめる」そして時には肩に「手をおいて」叱ることや喜び合い「抱きしめる」ことではないかと思います。とくに低学年の子供たちこそ言葉以外の方法で感情を伝え、共有する、まさに非言語(ノンバーバル)なコミュニケーションこそ体験活動の中で子供たちとつながるポイントだと考えています。その一瞬が心にしみこむ。そのささやかな一瞬が子供達の未来を支えていくと私は信じています。
ぜひ、今度の週末は野外にでかけませんか?子供たちを抱きしめるために。

 「抱きしめる、という会話」
 子どもの頃に
 抱きしめられた記憶は、
 ひとのこころの、奥のほうの、
 大切な場所にずっと残っていく。

 そうして、その記憶は、
 優しさや思いやりの大切さを教えてくれたり、
 ひとりぼっちじゃないんだって思わせてくれたり、
 そこから先は行っちゃいけないよって止めてくれたり、
 死んじゃいたいくらい切ないときに支えてくれたりする。

 子どもをもっと抱きしめてあげてください。
 ちっちゃなこころは、いつも手をのばしています。
(「公共広告機構(AC)」の2003年度全国キャンペーン作品より)

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親子のコミュニケーションタイムを
つくば市教育委員 鷲田美加 氏

 小学生の子育ては,毎日が大忙し! 家のことをこなしながら,仕事やPTA,サークルなどでも活躍されるお父さん,お母さんを見ると,輝いていて素敵だな!と思います。
 この時期の親子のコミュニケーションは,子供の成長に欠かせない,大切なものです。
子供は,親の愛情を確かめたくなると,「ねえ,ねえ」と話しかけてきます。親が話を聴いてあげると,子供は安心し,親との愛を深めます。また,子供は,話をしながら頭の中で自分の考えをまとめ,思考力を深めていきます。
 もし普段から,子供の話に耳を傾け,一家だんらんの時間を作れているという方は,理想的です。どうぞこれからも親子のコミュニケーションを大切にしてください。
 一方で,わかってはいるけれど,気忙しくてイライラしたり,子供の話を聴く時間が作れない方も多いと思います。
 忙しい方にオススメしたいのが,「親子のコミュニケーションタイム」を決めて,何でも話していい時間を共有する方法です。お子さんと2人だけになれる時間はありますか? 例えば,「夜寝る前の時間」,「食事の時間」,「送り迎えの車内」,「お風呂の中」など。短い時間でも,親がリラックスして,子供が安心していろんな話をできる時間を作れたら,その後の子育てがもっと楽しくなります。子供の幸せを願う親にとって,「何かあった時,うちの親は話を聞いてくれる。」と子供に思ってもらえたら,こんなに嬉しいことはありません!
 ちなみに,私と息子のコミュニケーションタイムは,「足裏マッサージ」でした。当時,先輩お母さんに「今のうちからスキンシップしておくと,思春期に助かるわよ!」と言われたのがきっかけです。息子が高校生になった今も,何かあると,「母さん,マッサージして」とやってきて,マッサージをしてもらいながら「実はね…」と話をしてくれます。当時小さくてかわいかった足裏は,驚くほど大きくなりましたが(笑)。先輩お母さんには感謝しています。みなさんも,もしご興味があればお試しください。
 子供は親をよく見ています。親があきらめないで,努力を続けていると,子供は,その背中を見て,成長していきます。忙しい毎日の中でも,ちょっとずつ工夫して,今しかない子供との大切な時間を楽しみたいですね。

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