0~3歳の子をもつ保護者の皆様へ

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幸せな大人に
特定非営利活動法人セカンドリーグ茨城 理事長 横須賀 聡子 氏

 皆さんはお子さんが大人になったときのことを思い描いたことはありますか?どんな大人になってほしいと思われるでしょう?
 第一子が小学生になったころ、私は子どもたちが大人になったときに「幸せに」暮らしていたらいいなぁと思いました。そして、多くは望まないけれど、自分を大切に思えて、隣の誰かを思いやれる人に育ってほしいと思いました。今回は、そのために私が学んできたことをお伝えしようと思います。そのカギは非認知能力と呼ばれるものを育てることではないかと私は思っています。
 さて、デンマークには、その非認知能力を育成する専門職があるそうですが、そこは、子どもたちが幸せだと答える国の一つで、森の幼稚園やプレーパークの発祥の地でもあります。そして最近話題になった「自然豊かな環境の中で育った子どもより、自然のない環境で育った子どもは、55%ほど精神疾患の罹患率が高い」という調査結果もあり、小さな子どもたちにとって大切なものの一つは自然だと言われています。日照時間が短いこともあってか、そこでは、外気浴をさせると丈夫に育つといわれていて、冬でも暖かな衣類や毛布にくるまれた赤ちゃんをベビーカーに乗せて外に置くのだそうです。日本の赤ちゃんはどうでしょう?皆さんのお子さんは日常的にどこで自然に触れることができるでしょうか?県内にも森の幼稚園やプレーパークなどの取組が始まっていますので、鳥の声や風の音、小川のせせらぎ、落ち葉を歩くカサカサという音などに耳を傾けながら、自然とかかわる機会をつくってみてはいかがでしょう?
 二つ目は、人として尊重されて育つ、ということではないかと思います。赤ちゃんの研究が近年進んで、赤ちゃんにはたくさんの能力があることがわかってきました。赤ちゃんは重力も知っていますし、自分を守り育んでくれるのが大人という存在だということもしっているそうです。そんな赤ちゃんに対して、私たちは大人には絶対にしないようなかかわりをしていないでしょうか?私が子育てをしていたときには、きっと寡黙な職人のように無言でおむつを替え、黙って抱き上げていたような気がします。当時の私は、赤ちゃんにどう声を掛けていいのかもわからなかったので、仕方のないことですけれど、赤ちゃんに声を掛けて、赤ちゃんの応えを感じながらかかわることが、本当はとっても大事なことだったと、今はわかります。赤ちゃんを私たちと同じ人としてみたときに、きっとたくさんの気づきが起きるはずです。それを最初から出来る人は多くはないけれど、近くの支援センターなどで、他の方々の声かけや支援員さんのかかわりをみて、上手な人をこっそり真似たらいいのです。だって、私たち人間は、他の誰より真似るのが得意な生き物ですもの。それでも、出来ないと悩んだり、辛かったり、困ったり、どうしていいかわからないときには、誰かに話して力を借りてくださいね。赤ちゃんから乳幼児期の子どもへの私たち親の役割は、世界は怖くない、と伝えることだけなのだと思います。

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子どもが熱を出した。どうしたらいいの?
愛正会記念 茨城福祉医療センター医療部 小児科医長 中村 伸彦 氏

子育てをしていると、こんな時はどうしたらいいの?と気がかりな事がいろいろと出てくるかと思われます。夜間や休日にお子さんの具合が悪くなっても、近くに相談できる相手がいなくて困った経験はないでしょうか。本稿では「子どもが熱を出した時にはどう対処したらいいのか」をテーマに取り上げ、一緒に考えていこうと思います。
 まずは、お子さんの様子をよく観察することから始めましょう。注目するのは、次に挙げる「ABC」です。
 

A 「見た目」は元気そうか?
B 「呼吸」は苦しそうか?
C 「血のめぐり」が悪そうか?
 
 
 
 

(A)「見た目」( Appearance)は元気そうか?
 
Play 遊ぶだけのゆとりがあるか? 周囲に興味を示しているか?
Activity 動きは活発(ぐったりしていない)か? 反応が乏しいか?
Look 視線は合うか? (目に生気がなく) ぼんやりとしていないか?
Speech 声・泣き声は弱くないか? 
Smile 笑顔がみられるか? 機嫌が悪くないか?
 
(B)「呼吸」(Breathing)は苦しそうか?
   苦しそうな姿勢で頑張って呼吸をしていたり、「ぜ〜ぜ〜」する息の音が聴かれたりすれば「呼吸」に異常がみられています。
 
(C)「血のめぐり」(Circulation)は悪そうか?
   皮膚の色がいつもと違い、蒼白や青紫色になったり、網目模様がみられたりしたら、皮膚の血のめぐりが悪い状態です。(※注:必ずしも脱水の徴候ではなくても、手足が冷えることで皮膚色が蒼白になってしまうこともあります)
 
 例えば、ぐったりで手足がだらんとしていて、あやしても視線を合わせず、表情や反応が乏しく、泣き声が弱いという時は(A)「見た目」に異常がみられており、急ぎの受診が勧められます。お子さんの様子を「見て、聞いて、感じて…」上記のABCに異常がみられ、「いつもと様子が違う」と感じられた際には、早めに受診するようにしましょう。
 一方で、微熱 (体温37.5℃〜38℃)であったり、機嫌が良い、遊べている、食欲がある等 (A)「見た目」は元気そうである際には、慌てずに自宅で様子をみていただき、かかりつけのお医者さんに診療時間内に受診することが勧められます。というのも、診療時間内の方が、いつも診ている医師や多くのスタッフ(看護師、薬剤師、臨床検査技師など)がそろっており、より充実した診療が受けられるからです。自宅でみていただく際にはホームケアとして、
 (1) 水分補給(子ども用イオン飲料など)を十分に行う
 (2) 汗をかいたらタオルで体を拭き、濡れた衣服は替える
 (3) 熱が高くて辛そうな時は、氷枕・氷のうで首や脇の下を冷やす(※冷やし過ぎには注意して下さい)
 などを行っていただくと良いでしょう。
 また、すぐに受診すべきか迷われた際には小児救急電話相談 (#8000) に電話してみてはいかがでしょうか。お子さんの症状に応じた対処の仕方や受診する病院などについて相談してみましょう。お子さんが熱を出されて具合が悪くなりますと、不安なものです。本稿が受診を考える際の目安になれば幸いです。
 
(参考文献)「子どもの救急ってどんなとき?~上手なお医者さんのかかり方」
https://www.pref.ibaraki.jp/hokenfukushi/iryo/iryo/isei/div/system/child/documents/h28kodomo_book.pdf
 

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子育ての楽しさ
モーハウスMo-House代表  NPO法人子連れスタイル推進協議会 代表理事 茨城大学 社会連携センター 特命教授 光畑 由佳 氏

 はじめまして、子連れスタイル推進協会の光畑と申します。
 年に20回ほど、大学でお話しする機会があります。彼らに子育てのイメージを尋ねると、「大変そう」という声が多く聞かれます。実際、お母さんたちの中には、つらい子育てをしている方は少なくありません。本当は幸せなはずなのに、つらい、というギャップが、ますますお母さんを苦しめます。では、どうやったら、楽しい子育てができるのでしょうか。
 私は、自分の娘が生後一か月の時に、電車の中で泣き出して、皆の前で授乳をした経験があります。胸が見えず授乳できる服があれば、こうした困難さを越えて、お母さんが赤ちゃんと一緒に、社会とつながっていけると考え、会社を作りました。ユーザーさんや、スタッフ(この服を着て、子連れでお店に立っています)、その子どもたちの姿を見ていると、「子育ては楽しい」ものなんだなあ、と思う瞬間が多々あります。
 私がお会いした二人のお母さんの例をご紹介します。
 一人は、混雑する新幹線で会ったお母さんです。私の隣に座ったこのお母さんと赤ちゃんは、二人でわずかにこちらに顔を向けて微笑むのです。私は無視できなくなって、「何か月ですか?」と声をかけ、そして、数分後には私はその子を抱っこしていました。決して最初から手伝おうとは思っていなかったのに!このお母さんは、大阪の下町で4世代同居とのことでした。
 もう一人は、私たちのNPOのスタッフです。あるイベントで、お客様の了解をいただいて、赤ちゃんを背負って司会をしました。終了後、男性の部長さんがこのスタッフに声をかけました。「この子はあの場では静かにした方がいいと、空気を読んでいた感じがするね。」と。そして赤ちゃんは部長さんに抱っこされました。にこにこと。部長さんは「こんな赤ちゃんがいるんだねえ!知らない男の人に抱っこされたら、ふつう泣いちゃうでしょ。」と驚いていました。
 
 この大阪のお母さんと、スタッフに共通するのは、赤ちゃんが、たくさんの人たちに会い、見守られ、時には抱っこされて育ってきただろうということです。
新幹線で会った赤ちゃんは、きっと、おばあちゃんに抱っこされて、近所の方に可愛がられていることでしょう。スタッフも、生後2か月から赤ちゃんと一緒に出歩いていたそうです。赤ちゃんが多くの人に触れて育ち、そのことが、赤ちゃんの社会性をはぐくんでいるように思います。
 このお母さんたちは、一人で赤ちゃんを連れて、新幹線に乗ったり、司会をしたり。一見「ワンオペ育児」にも見えます。でも実際には赤ちゃんとお母さん自身が、自然に周りのサポートを呼び込んでいます。こうした子育てができれば、楽ができるし、楽しさが増えていくのではないでしょうか。
 私がよくお母さんたちにお伝えするのは「子連れで出かけるのは、社会貢献」という言葉です。前述のような子どもたち、そしてお母さんの姿が、社会の中で一人でも増えれば、大学生の「なんとなく子育て大変そう」という気持ちも、変わってくるのではないでしょうか。ぜひ勇気を出して、一歩を踏み出してみてください。社会のためにも、お子さんのためにも。

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子どもと一緒に「社会人」になろう♪
特定非営利活動法人ままとーん 代表理事 中井 聖 氏

 私は自分が親になるまで、社会人とは仕事を通じて世の中に貢献する人のことだと考えていました。大学を卒業して就職すると「社会人」と呼ばれるようになり、私も自分自身が社会人だと思いこんでいたのです。でも、子どもが生まれてはじめて、いかに自分が社会人として未熟であるかを思い知らされました。就職がきっかけで住み始めた地域の人とほとんどつながりを持てておらず、道行く人に声を掛けることもできない。小さな子どもを抱えて、次々と降りかかる思わぬアクシデントやトラブルに、必要に迫られて見知らぬ人に助けを求め、「ありがとう」や「ごめんなさい」を心から言える「社会人」へと成長することができたのです。
 子どもって地域との縁を結んでくれる存在です。抱っこしてまちを歩けば、すれ違いざまに微笑みかけてくれたり、温かいねぎらいの言葉を掛けてくれる人と出会います。買い物でよく行く直売所のおばちゃんは、子どもの成長を一緒に喜んでくれます。
 人とのつながりは助け合い、支え合いの中で結びつきが強くなっていくものです。人付き合いや世間話が苦手で、ママ友をつくるなんてできそうもない…と思った私は、「仕事」を求めて地域の子育て支援団体のスタッフになりました。フリーライターとして書く仕事をしていたこともあり、子育て情報誌を作っていたその団体で何か自分もできることがあるのではと考えたのです。子どもを連れて取材に行くのは楽しいけれど、本作りはしんどい場面もたくさんあります。子どもの病気や、自分の育児疲れで活動が滞ってしまうこともあります。そんな時に同じく子育て中の仲間と助け合って、補い合って乗り切りました。活動と子育てを共に頑張った仲間とは、病気になれば夕飯を届け合えたり、夫同士も困った時には声を掛け合えたりする、そんな間柄になりました。
 私が子育てを始めた頃よりも、子連れで集える場所や支援の仕組みは充実しているように思います。育児休業中のお母さんが地域に何カ所もある広場のイベントを渡り歩いて、子どもと一緒に楽しいひとときを過ごしたり、ママ友をつくったりしている姿を見かける一方で、子育ての悩みをいっぱい抱えながらも広場には居場所がないと悩んでいるお母さんにも出会います。
 子育て支援を「使う」だけでなく、子育てを楽しめる場を共に「つくる」、そんな経験に皆さんも出会ってほしいと願っています。辛いことを話せたり、仲間のためにしんどいことも引き受けてみたり、「ありがとう」、「ごめんね」、「助けて」と言い合える場。私にとって、子育て支援の活動がそんな「居場所」となり、子どもと一緒に「社会人」として自分も育つ人生の土台となりました。頼り、頼られ、人の間で生きていくことを、子どもも私の姿から学んでいるような気がします。もし皆さんが「居場所がほしい」、そう思ったなら。ぜひ子育て支援活動の輪に加わってみてください。

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乳幼児期(0~2歳)の子どもに対する家庭教育
茨城キリスト教大学名誉教授・学術博士 茨城県教育委員会委員 ユーアイ保育園園長 川上 美智子 氏

 0歳から2歳までの乳児期の育ちは、人間形成の基礎となります。性格、得手不得手、社会性、人間性に大きな影響を与えますので、乳児の育つ環境を整えることが重要です。この環境因子には、保護者や同年齢の子どもなど周りの人との関わり、遊びや学びを深める生活空間、自然や社会での体験などが考えられ、その環境に乳児が自ら関わり、自発的に活動することが大事です。保育園等を利用している子どもの場合には保育環境が整えられていて、早くから自立性や社会性を身に付けることができますが、家庭の中だけで育つ子どもの場合には、親による意図した環境づくりや適切な対応が必要になります。
 未来の社会を担う子どもたちの育成に向けて国が平成29年に制定した保育所保育指針の中から、家庭でぜひ実践して頂きたい乳幼児期の養護と教育について紹介します。
 養護で最も大切なことは「生命の保持」と「情緒の安定」です。子どもが親の思う通りにならないからと言って、行き過ぎた躾や虐待などは論外、子どもの人権を最優先しなければなりません。0歳児では、まず生理的要求が満たされ、快適に過ごせるようにします。適度な運動や昼寝など子どもの生活リズムを守りながら、食事、排泄、着替え、身支度、手洗い、歯磨きなどを支援し、発達段階に応じて徐々に自立に導きます。過保護は、子どもの成長の芽を摘んでしまいますので、できるだけ自発性や意欲を尊重します。情緒の安定には、子どもをしっかり受容して応答的な触れ合いを大切にします。それが、親子の強い絆と情緒的な繋がりを強め、安心感をもたらします。また、褒められることは、子どもの自己肯定感を育てます。
 乳幼児期の教育とは、「子どもが健やかに成長し、その活動がより豊かに展開されるための発達の援助」を指します。この教育は、遊びを通して養護と一体的に展開することが大切です。3歳までに大人の80%の脳ができると言われており、乳幼児期は、視覚、聴覚、味覚などの感覚機能と手、指、足などの運動機能が著しく発達します。心と体、すなわち身体の発育と、精神的な発達をバランスよく促すための保護者の役割は大切です。喃語、笑う、名前を呼ぶと振り向く、はいはいをする、つかまり立ち、一人で歩き始める、バイバイなどの手振りができる、発語など、特に乳児の1年間の発達には著しいものがあります。育ちには個人差がありますから、一喜一憂せずに、伸び伸びと育つよう見守ることも大事です。子どもへの働きかけ、一緒に遊ぶ、親の語りかけや挨拶、絵本の読み聞かせ、歌を唄って聞かせる、一緒にリズムをとるなども子どもの発達を促し、意欲を高めます。身の周りのモノを見て形や色を認識する、触れる、つまむ、引っ張る、たたく、探索するなどは感覚や感性を磨きます。乳幼児にとって自分の周りのものはすべて教材、玩具よりも生活用品に強い関心をもち、大人の真似をしたがります。
育児は大変ですが、本当に短いあっという間の期間ですから、愛情をかけ、親として自信をもって養護と教育を楽しんでいただけたらと思います。
 

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いのちってなあに
かつらぎ保育園 園長 舘野 清子 氏

一、「いのち」ってなあに なんだろな
  おっぱいのんでる赤ちゃんの、かわいいお目々とほっぺかな
二、「いのち」ってなあに なんだろな
  仲よしこよしが握手した、あったかいお手々かな
三、「いのち」ってなあに なんだろな
  父さん母さんくださった、ぼくの大事な宝もの
 
 毎朝、0歳から年長児さんまでこの歌をうたってからの保育の始まりです。すべての乳幼児は、家庭以外の保育園・幼稚園等の児童福祉施設などでそれぞれの環境の違いを活かした保育を受けることができます。こうした意図的な保育が充実しているとしても、すべての乳幼児にとって家庭での育児の重要性は無視できません。
 家庭にはさまざまな機能がありますが、第一に、子どもの情緒の安定が保障される場であるべきです。先日、園庭で転倒してしまった3歳の男児は、私が言葉をかけても泣き止みませんでしたが、お母さんが痛いところに手を当てて撫でてあげると、痛みが薄らいだのでしょう、途端に泣き止んでいました。「お母さんが撫でれば治る」と信じている事と、安心感が特効薬なんですね。
 世の中では父母による幼児虐待の報道が日常茶飯事です。自己中心的で他者への思いやりに欠ける今の世の中、お父さんやお母さんは毎日とても忙しいと思います。せめて心にだけは余裕を持ちましょう。心の余裕とは、やはり希望や夢を持つ事ではないでしょうか?
 今、子ども達に必要なものは夢や希望です。子ども達を元気に育てていくことこそが人生の目的です。「子どもがいつも笑っている国はいい国だ」と誰かが言っていましたが、国の宝である子ども達が楽しく安心して暮らしている国こそ、本当の平和の国であると思います。
 一日中、散々てこずらせたのが嘘のような穏やかな寝顔は、他の何よりもお母様方の心を癒してくれる事でしょう。この世の中で一番美しいものはと尋ねられたら、私は思わず「我が子の寝顔」と答えていました。
 幼児教育は、環境による教育です。(かつらぎ保育園では)仏さまのいる環境の中で、朝の登園の時「おはようございます!」と挨拶する時に、その道筋に仏さまがいらっしゃる。お兄さんやお姉さんがお辞儀をする場所の先に、仏さまがいらっしゃる。「いただきます」のご挨拶にいつも手を合わせること、元気よくボールで遊ぶ姿も仏さまが見守って下さっていること。そんな数々が“環境”といえるのではないでしょうか。
 お母様方から一番多く質問を頂くのはトイレトレーニングについてです。1歳から3歳頃の排泄の習慣については、一人一人の排尿間隔等を踏まえ、おむつが汚れていないときに便器に座らせることにより、少しずつ慣れさせるようにしてみようとする気持ちが大切です。
 乳児も考える事のできる存在である、という事が注目されています。心の安定が必要とされており、温もりと微笑み、言葉がけを大切にしながら育てていきましょう

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子どもと上手にコミュニケーション①(0歳頃)
常磐短期大学 幼児教育保育学科 准教授 木村由希 氏

 生まれて間もない赤ちゃんが、目をつぶったまま突然にっこり笑うことがあります。これは「生理的微笑」といって、生まれつき赤ちゃんに備わっている能力の一つです。赤ちゃんににっこり微笑まれると、誰もが「愛おしい」「かわいいな」「大事にしてあげたい」という気持ちになり、声をかけてあげたくなります。これが赤ちゃんとのコミュニケーションの始まりです。 
この生理的微笑は成長と共にだんだん消えていき、その代わりに、大好きな人からあやされたり、目が合ったりすると笑う「社会的微笑」が見られるようになってきます。そうなると、ますます赤ちゃんをあやすことが楽しくなり、たくさん話しかけてあげたくなります。
 このように赤ちゃんは「微笑む」ことで、他人とのコミュニケーションをスタートさせます。この微笑みに対して、親が微笑み返したり、言葉をかけたりすることによって、赤ちゃんとの愛着関係が育まれていくのです。
 生後2~3か月頃になると、機嫌のよい時には「アー」「ウー」と声を出す姿が見られるようになってきます。これは、はじめは誰かに向けての発声ではありませんが、その「アー」「ウー」に対して、大人が「アー」「ウー」と同じ音で返したり、「○○ちゃん、ご機嫌だね」「うれしいね」と言葉で返したりするのを続けていくことで、次第に大好きな人に向けての「アー」「ウ―」になっていきます。
 たくさんミルクを飲んだ後に「お腹いっぱいだね」、オムツを交換した時に「きれいになったね、さっぱりしたね」、持っているおもちゃを振って音が鳴っていたら「楽しいね、きれいな音がするね」等々、その時に子どもが経験していることや、感じているであろう気持ちを想像し、言葉で返してあげるのです。
 生後半年くらいになると、赤ちゃんの表情も反応も豊かになり、赤ちゃんとのコミュニケーションがより楽しくなってきます。「ちょうだい」と言って手を差し出すと、持っているおもちゃを渡してくれたり、「おいで」と言いながら両手を出すと、抱っこしてもらおうと近づいたりしてきます。なめてほしくないものをなめている時に「ダメよ」と言うと、様子を窺うように親の顔をのぞき込んだりもします。
 このように、言葉が言葉としてはまだ出ていないこの時期でも、赤ちゃんはちゃんと言葉を理解しているのです。ですから、赤ちゃんの声や動きに対して、親や周囲の大人がたくさん言葉をかけてあげること、働きかけてあげることが、言葉の土台を作っていく上で非常に大切なのです。たくさん話しかけたパパやママの言葉は、しっかり赤ちゃんの心にため込まれていきますから…。

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子どもと上手にコミュニケーション②(1歳頃)
常磐短期大学 幼児教育保育学科 准教授 木村由希 氏

 0歳後半になると、はいはいや歩行により、行動範囲がぐんと広がります。自由に動き回れるようになると、子どもは好奇心が旺盛ですから、あちこち移動しては、いろいろと試してみたくなります。そして時には、親がしてほしくないこともするようになります。つい「ダメよ」と取り上げて終わりにしてしまいがちですが、その時に少しだけ心がけるとよいことがあります。それは言葉と共に表情や声色、雰囲気も一緒に伝えるということです。
 善悪の判断が未熟な子どもは、どうしたらよいか迷った時、困った時、親しい大人の表情や雰囲気から「していいこと」と「してはいけないこと」を学んでいきます。これを社会的参照といいます。ですから、この時期は、言葉と共に、豊かな表情や雰囲気で伝えることがとても大切になってきます。
 もし「これはやっちゃダメ」と言いながら顔はニコニコしていたら、子どもは混乱します。昨日は「ダメ」と言ったことが、今日は許されたら、やはり子ど  もは混乱します。
 「ダメ」ということを伝えたい時には、子どもと目を合わせ、言葉だけでなく、表情や声色、雰囲気と一緒に伝えること、そして、一貫性をもって、根気強く知らせ ていくことが大切です。
  1歳を過ぎて、少しずつ単語が出てくると、単語+指さしや表情などから、子どもの気持ちを少しずつ理解できるようになってきます。それでもまだ、語彙も少なく構音機能も未熟ですから、言いたいことがちゃんと言えるようになるには時間と経験が必要です。時には、伝わらないもどかしさから、泣いたり、かんしゃくを起こしたり、「もういい」と話すのをやめてしまうことがあるかもしれません。そんな時には、子どもの言いたいことを、前後の状況や表情、身振り手振りなどからヒントを探しつつ、丁寧に言葉にしてあげることが必要になってきます。「○○ちゃんが言いたいのはこういうことかな」「~って言いたかったんだね」などと、親が代わりに言葉にしてあげることで「分かってくれた」「伝わるって嬉しい」という気持ちを積み重ねていけるのだと思います。
 子どもが言葉を話せるようになるのはあっという間。可愛らしい言い間違いや舌足らずな話し方も、ほんの一時期のことです。子どもが自分の思いを一生懸命に伝えようとする姿を、楽しみながら向き合っていけるといいですね。
 

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「抱っこされているととっても安心」
認定こども園 納場保育園長  萱場 良江 氏

 赤ちゃんの寝顔って泣いたり笑ったり…見ていても飽きない愛らしい姿。子供の笑顔って,いいものですね。どんな人でも子供の笑顔に癒され、ついこちらも笑顔になります。魔法のような子供の笑顔。
 生まれて間もなく自分を守ってくれる人、優しく抱いてくれる人としてお母さんを認識します。お母さんの行動・言葉・微笑みすべてをじっと見て自分の周りの環境をしっかりと見つめ一生懸命覚えていきます。
 物を掴むことが出来、腹這いが出来るようになり赤ちゃんの興味はどんどん広がっていきます。四つ這いになりハイハイ…。目に入るものが知りたくて自分の力で周囲の行動を真似しようと成長していきます。歩くことが出来るようになる前から赤ちゃんは、自分で何かをしたいという意思の表れです。
『自立の出発点』 
 自分の足で思い通りに歩ける段階になったら、自立到達行動の始まり。自分の行きたいところに行くことが出来、視界も広くなり近寄ったり触ったりじっと見つめたり、新しい行動範囲に広がります。いわゆる探索活動期、こうなると大人たちは子供に振り回されることが多くなり「少しもじっとしていない」「「危なかっしい」「周りに何も置けない」など心配事が増え、禁止用語が増えてきてませんか? 
 赤ちゃんは周囲の人たち(お母さん・お姉ちゃん・お兄ちゃん・お父さんなど)を観察して、自分でできるように行動しているのです。「なにをしたいのかな?」「誰かのまねかな?」少しお子さんの行動を観察してみてください。ここはお子さんの行動を「ああこうしたかったのね」「そうか○○がしていたものに触りたかったのね」と解釈して共感してみましょう。  自分でできるようになりたいという自立への出発です。
 『子供のわけがわからない行動』
 お話が出来るようになってきた1歳半~2歳になると「イヤイヤ期」の始まりです。イヤだイヤだと泣き叫ぶ・駄々をこねる・違う等々言うことを聞かないことが多くなります。
こうなるとお母さんたちは困り何パターン化に分かれます。 「やめて」「駄目よ」「なんでそんなことするの」と禁止ばかりしてしまう。「はいはい、わっかたよ」「お母さんがやってあげるよ」となんでも容認してしまう。「大きくなれば出来るから」と全てのことに手を出してやってあげてしまう。
 大人が理解できない子供の行動には、子供なりの理由があることをわかってください。
自分のペースで・自分の順番で・自分のこだわりで…など、年齢的に自分を中心にした行動で物事を獲得していきます。
『できたよ。見ててね』
 大人の選択を子供に委ねてみましょう。1才くらいなら2択で、大きくなるにつれて選択肢を増やしていく。(子ども自身の自主性を育てよう)
 こどものペースを知って、行動がスムーズに行えるよう大人が環境を準備しましょう(こどものなりの順序が確立され考える力が伸びていきます)
 大人が子供に何かを教えるときはゆっくりと順を追って見せてあげましょう。言葉とジェスチャーは一緒にしない(失敗しても何回かやり試行錯誤することで困難を乗り越える力が付きます)
 子供にちょっと手伝っても「出来た」時は達成感を得られるように「ホント出来たね」と声かけて認めてあげましょう。そしてギュッとハグしてあげると共感できます。
 0歳から3歳までの3年間で、身体能力・考える力・心(感性)はすざましい勢いで成長します。私たち大人は、子供が自分で出来ることが増え「できた!」「やってみる」の心の自立と体の発育を促すように上手に手助けをしてほしいと思います。
 
参考
 マリーア・モンテッソーリ モンテッソーリ教育「子どもの発見」
神成 美輝  モンテッソーリ流の子育て
 

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タ・ン・ポ・ポ ~子どもとことば~
茨城大学 教授 神永 直美 氏

ある春の日、こんなことがありました。
 園庭でタンポポの花をしきりに摘んでいる2歳児がいます。「タ・ン・ポ・ポ」と口ずさんでは一輪、「タ・ン・ポ・ポ」と口ずさんではまた一輪と、タンポポに走り寄ってはちょこんとしゃがみ一輪ずつ摘んでいるのです。その声はちょっとぎこちない感じはするもののリズミカルで、何だかこちらも楽しくなってくる感じです。タンポポ摘みに夢中になっているその子の様子を、こちらも時を忘れて見入ってしまいました。
 その光景があまりにも印象的だったので、お迎えのときにお母さんにその話をしました。「タンポポのお花が好きなんですね」と言うと、「そうなんですよ。つい2、3日前にタンポポっていうことばを覚えたばかりなんです。それからは、車の中からも道端のタンポポを見つけるとずっと『タンポポ、タンポポ』って言っているんですよ」と楽しそうに話してくれました。
 私はその話を聞いてはっとしました。その子は、自分に名前があるように、黄色い小さな花にも「タンポポ」という名前があることをはじめて知ったのでしょう。それが嬉しくて、誇らしくて、お花摘みをしながら「わたし知っているよ、これはタンポポっていうお花でしょ」と、物知り博士にでもなったような気分を味わっていたのかもしれません。また、「わたしの好きなお花なのよ。黄色くて小さいの。かわいいでしょ」と親愛の情を込めながら名前を呼んでいたのかもしれません。あるいは、「たくさん摘んでママにプレゼントしたいな」と好きな人が喜ぶ顔を想像しながら、お花摘みを楽しんでいたのかもしれません。その子の「タ・ン・ポ・ポ」ということばには、そのときの思いが込められていたように思います。
 「日本の幼児教育の父」と呼ばれている倉橋惣三氏(18821955年)の「子どもと懇意な草」という文章のなかに次のような一節があります。
 「草ほど気がおけないものはない。低く小さく、地にくっついて生えている草に、だれも遠慮も感ぜず、気がねもない。それは、草が気どらないからである。謙遜というのも言葉が過ぎる。ただ、いつでもだれにでも、極くらくらくと平気でいる。だから、こっちも気がおけない。子どもにとって殊にそうである。(中略)その気のおけない、いつから親しくなったというでもない懇意な草に、それぞれの名前があると知った時、子どもは一層なじみ深いものになる。又、その無頓着な草に、一つ一つ個性があり、種々の習性さえあると知った時に草への銘々の交わりが一段と濃密なものになる。草は草でも、いろいろと、それぞれに違ったお友達になってくれるからである。草の名を子どもに知らせるのは、植物学の知識のためではない。友達の名を知って、一層懇意を加えるためである。子どもが親しい友達の出来た時、君の名なんていうのとすぐ聞きたがる。あの親しさに他ならない。」
 この子にとって、タンポポはもう懇意な花でありお友達です。そして、これから先「タンポポ」ということばに触れるたび、暖かい陽ざしやタンポポが咲き乱れてている園庭の様子、車窓からタンポポを見つけて嬉しかったことなどを思い出すことでしょう。ひとつのことばの中には、子どもの体験やその体験で得た感情、イメージが隠れています。
 だからこそ、子どものことばを聞くとき、それがどんな思いをもって発せられたことばであるかを理解しようとすることが大切です。子どものことばはそれを受け止めるおとなによって意味あるものになっていくのです。
「子どもと懇意な草」倉橋惣三『子どもの心とまなざしで』,1996,フレーベル館,p.122-125
 

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新米ママの子育て応援団!!
茨城女子短期大学 講師 綿引 喜恵子 氏

 ママになったのだから「良い母親になろう」と無理をしている新米ママさんいませんか?
 どんなに疲れていても赤ちゃんの前では笑顔でいよう、思うようにしてくれなくても、怒らないようにしようと自分の感情を無理に抑え込んで頑張ろうとするお母さん。ところが溜め込み続けたマイナスの感情は臨界点を越えると一気に爆発します。
 スマホに子守りをさせている新米ママさんいませんか?スマホと一緒に育ってきた若いお母さん。赤ちゃんが泣きだすとスマホの画面を見せておとなしくさせる。おっぱいを飲ませている時も空いている方の手はスマホのメール打ち。よいことではないと分かっていても日々の忙しさから、なのでしょうね。

お母さん、私を見て!
お母さんのおっぱい おいしい。でも お母さん、わたしを見て!  どこを見てるの?
手に持ってるもの なんなの? なんで そればかり見てるの?
お母さんの お腹のなかにいたとき、お母さんは あったかかった。 ぜんぶ 包んでくれた。
なつかしい。
お母さん、わたしを見て! わたしは ここよ。
わたしを ひとりぼっちにしないで! お母さんが手のなかで ピコピコ動かしているもの そんなにだいじなの?
「みんな、絵本から」 柳田邦男 著
 赤ちゃんが感情豊かに育つためには、パパ、ママなどの一番近くでお世話をする人の対応が重要となります。赤ちゃんは20~30センチの範囲を五感で受け止めていて、授乳時の顔をのぞき込んで語り掛ける母親の表情と声を感じ取ると言われています。パパやママが笑顔なら赤ちゃんも笑顔。難しい顔をしていたら、赤ちゃんも難しい顔。赤ちゃんの感情表現は、パパとママの鏡のように忠実なのです。育児に奮闘中は、一日中笑顔でいることは難しいかもしれませんが、気持ちに余裕をもって育児を楽しんでみてください。0歳児~3歳児未満向きの絵本について,茨城キリスト教大学の原口なおみ先生が「教職教育に関する研究」の中で紹介しています。
『ぽぱーぺぽぴぱっぷ』 (おかざきけんじろう画・谷川俊太郎文、クレヨンハウス)
『いない いない ばあ』(松谷みよ子文・瀬川康男絵、童心社)
『まるてん いろてん』 (中辻悦子 作・0,1,2,えほん 福音館書店)
『くっついた』    (三浦太郎 作、こぐま社)
 これらの絵本は,1歳にならない乳児でも,お母さんが赤ちゃんに語り掛けるように読み聞かせをすると、絵が表情をもって動き、赤ちゃんが、人と触れ合う喜びを味わうことができるような絵本です…と,原口先生は実際に読み聞かせをしてきた経験から語られています。是非読んで上げて下さい。
 
 核家族化が進む中、赤ちゃんとお母さんの2人だけの生活の中で、ストレスを抱え込んでいる新米ママさんたち。現在,各市町村や保育園・幼稚園などでは,様々な子育て支援を実施しています。専門知識をもったベテランの保育士さんがおりますので,子育てに対しての相談に応じてくれています。お母さん同士の触れ合いの中で、悩んでいるのは自分だけではないということも分かり、子育てに前向きになれるのではないでしょうか。
 幼稚園の未就園児の会で、短い時間でしたがお茶とお菓子を用意しティータイムをとってもらったことがありました。その間、子どもたちは幼稚園の先生たちが見てくれていました。最初はぎこちないお茶会も打ち解けて話が盛り上がり、最後には嫁・姑の話にまで及び、同じ悩みをもつお母さん同士意気投合し、笑い合って時間があっという間に過ぎてしまいました。どうぞ、孤立しないで一歩外に踏み出してみてください。
子育て応援団はあなたのまわりにたくさんいます。

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子どもとのかけがえのないひととき
阿見町立南平台保育所 所長 友部 恵美子 氏

皆さんは、小さかった頃どんな時が楽しく心が満たされましたか。
 もしかしたら、大好きなお母さんやお父さんの優しい声で聞いた、絵本やお話ではなかったでしょうか。
 つい忙しくて後回しにしてしまいがちな絵本の読み聞かせですが、子どもはもちろんのこと、お母さんやお父さんにとっても楽しく心満たされる時間になりますね。
 現在、多くの市町村ではブックスタート(新生児等の健診時に配布)が行われています。
これは、お母さんと赤ちゃんが、絵本を介してゆっくり心触れ合うひとときをもつきっかけを作ることを目的として始まりました。「まだ、小さくて言葉も分からないのに。」と、思うかもしれませんが、言葉のリズムは赤ちゃんにも分かるのです。大好きな信頼を寄せる人からの読み聞かせは,とても心地よい時間となり、読んであげる優しい声の響きが伝わり,絵本を楽しむことができます。
 絵本の中に知っているものや大好きなものが出てくるとページをめくる手を押さえて絵をじっと見たり、指をさしてみたりして読んでいる言葉の繰り返しを楽しみます。
 絵本を読んでくれる人と面白さや喜びを味わうことで、赤ちゃんは心豊かに育つでしょう。
 繰り返し読んでいると赤ちゃんは待ちきれずにページを次々めくったり、本を引っ張ったりして思うように読んであげられないこともあります。そんな時は、「次は、どうかな。」や「大事、大事ね。」と、それとなく本を大切にすることも知らせながら一緒に見ていくといいですね
 子どもは、読んでもらった絵本の中から、好きな絵本や気に入った絵本を見つけていきます。その中には、好奇心をかきたてる内容だったり、自分に重ねて主人公になってみたりいろいろです。そんな絵本を見つけると何度も「読んで」と、せがんできます。「また同じ本」と、思わずに繰り返し読んで、一緒に絵本の世界を楽しんでみてください。
 この時、子どもは大好きな人と大好きな絵本を通して、楽しい気持ち、面白い気持ち、ドキドキ感などを味わうことができ、心が満たされ、ますます絵本が大好きになります。
 絵本を選ぶことに迷ったときは、自分が子どものとき読んでもらったものや大好きだったものを選んでもいいですね。同じ絵本の読み聞かせをすることで、絵本の世界が広がります。まさに心満たされるひとときではないでしょうか。
 このように大好きな人に大好きな絵本を心ゆくまで読んでもらった子どもは、感性豊かで想像力豊かに育つことでしょう。そして、読み手の愛情もしっかり伝わります。このかけがえのないひとときを大切にしていきたいものですね。

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子どもは,自然を体いっぱい感じています。~一緒に発見を楽しもう!~【パート1】
国立磐梯青少年交流の家 事業推進室長 室井修一 氏

        
 気持ちの良い青空ですね。大人もそう思うように,子どももそう思っていますよ!特に3歳ぐらいまでは,諸感覚を通して全身で自然を感じます。大きな目で良く見ています。太陽の光をまぶしく感じ,風をほほで感じ,鼻で様々な匂いを知り,耳で風の音を聞き,手でいろいろなものを触って確かめます。
 小さい子どもは,“直接触れて感じる”のです。自然の中で子どもと一緒に,ゆったりと子どもの時間に合わせて過ごしてみてください。子どもと一緒に草の上に座ってみてください。子どもは,草や土に視線が近い分,よく小さな昆虫や植物を見つけますよ!楽しいですよ!
 このとき,子どもの感性を豊かに育むポイントが3つあります。
 ①子どもと一緒に,発見や感動を分かち合う!
 ②ありのままの子どもの発言や姿を受け入れる!
 ③教える必要はありません,一緒に発見を楽しんでください!
 3歳ぐらいまでは,環境と関わりながら様々なことを認知していきます。
初めて見る空,初めて見る昆虫,初めて見る植物などなど…。初めてのものに出会うのですから,好奇心いっぱいです!触りたくて,口で舐めてみたくて,どうなっているのか知りたいのです!自然界は多様な環境ですから,子どもの興味に即した対象物がその子,その子にあるはずです。自分の興味があることにじっくりと関われるのは,とても重要なことです。特に2歳ころは「知的好奇心」がとても高まります。
 そして,保護者との愛情をベースに,より積極的に環境と関わっていきます。「危ないからダメ」ではなくて,安全が保障される範囲で子どもに任せてください。子ども自身の力で関わり,その事象に触れた満足感を得ていきます。この満足感が更なる「知りたい」,「触ってみたい」などの意欲につながっていくのですね!
 

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子どもは,自然を体いっぱい感じています。~一緒に発見を楽しもう!~【パート2】
国立磐梯青少年交流の家 事業推進室長 室井修一 氏

 小さい子どもは,感性が豊かな時期ですから,「絵本」でイメージを膨らませることも良いでしょう! 絵本でイメージが持てると,自然の中で知っている,見たことがある安心感につながり,より積極的に自然界と関わるきっかけにもなるでしょうね。
 また,大好きなお父さん・お母さん・きょうだいの皆さんも自然の中で楽しく遊んでくださいね。皆さんの遊ぶ姿を真似したくなりますし,楽しそうだなと肌で感じていますよ!
 ここで0歳~3歳の発達の特徴を押さえておきましょう。子どもの発達を理解しておくことで,無理なく楽しい自然体験ができます。 
 ☆視覚や聴覚が著しく発達する。
 ☆自立歩行が確立し,行動範囲がひろがり,好奇心旺盛。  
 ☆「つかむ」など手先が器用になる。
 ☆積極的に自然や人と関わるようになる。
 ☆自分の体が思うように動かせるようになる。
 ☆知的好奇心や関心が高まり「なぜ」「どうして」などの質問が盛んになる。  
  【出典:幼保連携型認定こども園教育・保育要領解説】

≪0歳~3歳までの自然体験活動の意義(3つのポイント)≫
 ①豊かな感性を育む
 ②豊かな自然環境と関わる中で,知的好奇心が関心・意欲が育まれる。
 ③お父さん,お母さん,きょうだいと一緒に遊ぶ喜び,体を動かす心地よさを感じる。
 最後に,安全に自然体験を楽しむために…  ~口や手は出さず,子どもの姿をよく観察してください~
 ①子どもは,口に入れて感触等を確かめる時期ですので,誤飲などしないよう注意する。
 ②高い,低い等の認知が無い時期なので,落下などに注意する。
 ③危険な動植物(うるし,蛇,ハチなど)に注意する。         
 

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子育て法、何が正しくて何が間違いなの?
茨城キリスト教大学文学部児童教育学科 准教授 中島美那子 氏

目の前にわが子が現れるまで、小さい子どもと関わったことがほとんどなかった。これまで赤ちゃんの育て方はもちろんのこと、接し方も教えてもらったことがない。自分の親に育て方を尋ねてみるものの、「それって最近の子育て法とは違うんじゃない!?」と納得がいかない。それならインターネットがあるとばかりに覗いてみると、その膨大な情報に溺れそうになる…


実はこれらのコメントは、赤ちゃんを育てているお母さんたちと最近おしゃべりをしているなかから拾った言葉です。赤ちゃんとの日々は、幸福感や充実感で満ちていることが理想ですが、なかなか現実はそうとばかりも言えません。どうして良いかわからずにオロオロしたり、不安になってしまったりすることも多々あります。
「子育ての仕方の何が正しくて何が間違っているのか」
赤ちゃんを育てている方にとって、多かれ少なかれ突きつけられる問いでしょう。
では実際には、子育ての正解というものはあるのでしょうか。
1つの例として、離乳食について考えてみたいと思います。まず、今から2、30年前の乳児の食について奨励されていたのは、①生後3〜4ヶ月からは果汁を与えてもよい、②離乳食は遅くとも生後5~6ヶ月頃には始める、③離乳(当時は「断乳」と呼ばれました)は1歳までに完了するのが望ましいなどです。
これらを現在の子育てと照らし合わせてみるとどうでしょうか。①から③まで、現在ではどれも「適切」とは言えないかもしれません。
次に、世界の離乳食に目を向けるとどうでしょう。例えばアメリカ等の先進国では離乳食を3食全て手作りすることはなく、離乳食といえば市販のベビーフードが中心です。また、日本のように離乳食を「初期・中期・後期・完了期」と数ヶ月単位で分けて、段階を踏んで食材や調理法を変えていくといった国は、あまり他にはみられません。
このように、正しいとされる子育ての方法が、実は時代が違ったり文化が違ったりすることで変化するということがわかります。
それでも、これまでの研究や実践のもとに築き上げられた成果が、今の日本で奨励されている離乳食のあり方であり、信頼性の高いものだということは否定しません。ですので、「現在の日本の離乳食のあり方は素晴らしいじゃない。自分はそれに沿ってやってみたい」「アレルギーが心配だから、現在の日本の離乳食の考え方に沿ってやるのが無難そう」と考え、納得する方はそれを進めれば良いのだと思います。一方、「育児書通りに手作りしてもうちの子が食べてくれず、イライラする」「心身ともに疲れていて、1日3食も手作りすることはできない」という方は「正解」を追求せずに、自分流やわが子流を模索しても良いのではないでしょうか。
ここでは1つの例として離乳食を取り上げましたが、「唯一無二の正解はない」ということは子育て全般に当てはまることだと思います。
私たちは一人ひとり生活環境や価値観が異なります。それは子育てに対しても同様です。たとえ周囲の友人とその子どもさんがうまくいっているからといって、高名な専門家の著書に書いてあるからといって、売れっ子のブロガーが紹介しているからといって、それが自分そしてわが子に合う子育て法とは限りません。
わが子を観察して、いろいろな方法を試して、自分の価値観と向き合って。そしてわが家流の子育て法を確立していけば良いように思います。

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みんなの力で楽しく子育て【パート1】
県西総合病院病院長・小児科医 中原 智子 氏

 母子手帳の各月例・年齢の左ページには、通常その月齢であればできるようになることが書いてあります。3~4か月で声を出して笑い、6か月で寝返りし、7か月でお座り、9か月でハイハイ、10か月でつかまり立ちやバイバイ・しょんしょん(手叩き)、1歳で片言を喋り歩き始めます。2歳で走り、2語文を話し、3歳では三輪車をこげるようになり、〇も描けます。
これらの発達は皆、家族があやしたり、声をかけたり、運動を補助したり、道具を与えたりしてできるようになっていきます。授乳するとき、おむつを替えるとき、散歩するとき、お父さん・お母さんはお子さんの顔を見て、お話しながら行動していますか? 次にできるであろう運動や言葉の発達を考えて、与えるおもちゃや本を選んでいますか?
 お母さんがいろいろやっても、通常できる時期に首が座らない、寝返りしない、ハイハイしない、立とうとしない、歩けない、片言をしゃべらない等のお子さんもいます。少し奥手の場合もありますし、まれに筋肉や脳の病気が隠されていることもあります。
 最近、1歳児健診で片言が出ていないお子さんが多くなっているように感じます。スマホなどで指の運動が忙しく、お母さん自身が実際に声を出していない、あるいはお子さんの顔を見て話しかけていない両親が多くなっていることが影響しているのかもしれません。テレビやDVDを見せると子どもは静かなので、長い時間見せっぱなしになっているかもしれません。正しい言葉を教えようとして、言いやすい言葉よりも、最初から発音の難しい言葉を教えようとしている方もいます。
 

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みんなの力で楽しく子育て【パート2】
県西総合病院病院長・小児科医 中原 智子 氏

 お母さんが考え方を少し変えて一生懸命やっていても、2~3か月後に全く進歩が見られない場合もあります。視線が合わない・表情が乏しい場合には自閉症の可能性もあります。こだわりが強く、特定の物ややり方にこだわり続ける場合もあります。反対に、環境や接し方を変えることで言葉がどんどん出てきて、たくさんのお友達と遊べるようになることもあります。
 子どもの発達にはかなり幅(個人差)がありますが、お子さんが一般的な発達のどのあたりにいるかを全体的にとらえ、遅れている点があれば素直に認め、対応を見直してみましょう。それでも、心配なときには、早めに医療機関や、保健師さん、保育園の先生等に相談しましょう。
 通常の短い診察時間で、しかも1回の診察だけでは、お子さんの全体像が見えないこともよくあります。何度か経過を見ることで全体像が見えてきます。何度も見ていただくことが、とても重要です。たとえ遅れがあったとしても、早期に適切な対応をすることで、障害の部分を少しでも軽くすることができます。家族の力だけではなく、周囲の力も得て、楽しく子育てすることが、お子さんの発達にも心理にも必ず良い影響を与えます。一人で悩まず、どんどん相談しましょう。
 

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新聞ビリビリで、ママのストレスも飛んでいけー
つくば市教育委員 鷲田 美加 氏

子どもは遊びをとおして成長します。いろんな遊びを、親子一緒に体験しながら、親子の絆を深めましょう。

子どもがよろこぶ、『新聞ビリビリ』遊び
子どもに人気でおもちゃがなくてもできる『新聞ビリビリ』で遊びませんか?
新聞紙を、子どもと一緒に、好きなだけ、ビリビリと裂きます。はじめは親の私たちが裂くところを見せてあげましょう。小さくなった新聞紙を、子どもの頭上からパラパラパラ~とやってあげると、子どもは喜んで、そのうち“自分でも”と、親の真似をして遊び始めます。新聞紙の切れ端を両手でつかんで、自分の頭の上に、パラパラパラ~、っと(笑)。

ママのストレスも、飛んで行け~
新聞紙を裂くところでは、楽しく、というより一心に裂いてみましょう。やっているうちに、どんどん熱中していきます。どんなに素敵なパパ・ママでも、イライラしたり、ストレスがたまって辛い気持ちのときがありますよね。そんなときは、新聞紙を思いっきり裂いて、自分のストレスも、どこかに飛んで行け~! 子どもは何よりも、パパ・ママの笑顔が大好きです。

「遊んだらお片付け」の練習にもぴったり
裂いた新聞紙で遊んだあとは、ボールづくりです。ビニール袋に新聞紙を詰めて、ガムテープで口を閉じれば、新聞紙ボールの完成。軽いので、小さな子でも自分で持って遊ぶことができます。
実は、ボールにするのはお片付けのためでもあるのですが、子どもは紙きれ集めが楽しくなってきて、黙っていても片付いていくので、一石二鳥です。子供は遊びの中で、想像力を豊かにしていきます。こんな風にのびのびと遊びながら、何もないところでも、自分で工夫して遊びを作り出せる子に育ってくれたら素敵ですね。

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命をありがとうございます
茨城キリスト教大学 准教授 飛田 隆 氏

ご出産おめでとうございます。お父さん、お母さんが赤ちゃんに命を与えて下さいました。
 お父さん、お母さんは毎日赤ちゃんのことを考え、幸せになることを願って色々なことを実行しています。
 例えば、お父さん、お母さんは毎日赤ちゃんのことを考え、安全・安心を与えて下さっています。
 お父さん、お母さんは赤ちゃんのことを考え成長・発達にとって必要なことを毎日行っています。
 お父さん、お母さんは少し大きくなった子どもに生きるために必要な知恵を伝えて下さっています。
 お父さん、お母さんは子どもの健康を毎日考えて下さっています。
 お父さん、お母さんは子どもにとって良い環境を意識して整えて下さっています。
 ご両親はすでに立派に子育てをして下さっていると思います。しかしながらときどきは困ったり、悩んだり、心配になることがあると思います。その時はどうぞご遠慮なく茨城県や市町村で紹介しています相談窓口に直接尋ねられるのもよいと思います。忙しい場合や難しい場合は電話でも親身になって話しを聞いて下さいます。またお近くの保育所や認定こども園、幼稚園でも相談に乗ってくれます。
 ひとりで抱え込まないことが大切です。私たちは赤ちゃんが生まれてから親になりますから、子どもが小さいうちは親としても初心者です。ときにはベテランの先輩のお父さんやお母さんにご相談してもよいと思います。
 子どもはお父さん、お母さんが大好きです。触れられたり、抱っこしてもらったり、目を見て話を聞いてもらえたり、遊んでもらうのが大好きです。お父さん、お母さんがかわいがってくれると子どもは幸せです。
 子どもが幸せならお父さん、お母さんも幸せだと思います。そしてご家族が幸せだと地域の皆さんも幸せを感じることが出来ます。子どもは地域の中でも見守られ、愛され育っていきます。お父さん、お母さんも地域の一員ですから、他のお子さんも可愛がっていただけましたら幸いです。
 親としてときどきする失敗は未来への成功の道です。反省すべきことは反省してもあまり気にせずどうぞゆっくり親になっていってください。

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子どもの安心感を育むために【パート1】
認定こども園大野めぐみ保育園長 中西 三千子 氏

<0歳から3歳は人に対する安心感・信頼感の基礎作り>
0歳の時期は,人に対する絶対的な信頼感を獲得する時期です。「オムツがぬれたよー」「おなかがすいたよー」「さむいよー」「だっこしてー」など赤ちゃんの泣きは言葉に代わる言葉です。「おしっこでたのね」「お腹がすいたのね」「さむいのね」「だっこしてほしいのね」と,この泣き(言葉)に応答してあげることが,人への絶対的信頼感を獲得することにつながります。応答せずに泣かせっぱなしにしていたら,サイレントベビー(泣かない赤ちゃん)になってしまいます。つまり,「どんなに泣いても応えてもらえない,自分は意味のない存在だ」と諦めます。泣いたら(話したら)応えてくれる人がいることが大切です。
<夜泣き>
妊娠中お腹の中の赤ちゃんは,夜,動き出しませんでしたか?それは胎児が日中のお母さんに負担をかけないよう寝ていて,お母さんがゆっくりした夜中に何回も目を覚ましているのです。そのリズムが出産後も続くため夜泣きとなるのだそうです。赤ちゃんはお母さん思いなのですね。そのサイクルを徐々に変えていくために,日中は戸外に連れ出して,お日様の光を浴びたり,戸外の空気に触れさせてあげましょう。気持ち良いです。
<いたずらは赤ちゃんの卒業証書>
「這えば立て 立てば歩めの親心」と先人はよく言ったものです。親は子どもの成長を待ち望んでいます。でも焦ることはありません。歩くようになった子どもはいたずらもするようになります。なんでも口に入れたり,引き出しをあけたり,ティシュをひっぱりだしたり,あれ何だろう・触ってみようと心が動いて行動になっていきます。この行動が好奇心を高めていきます。危険もいっぱいなので,フィルムケースより小さなものは手の届くところに置かない・鋭角のある家具やコンセントにはカバーをつける・ガスコンロを押せないようにするなど安全対策などをしておくと良いでしょう。

参考
明橋 大二「子育てハッピーアドバイス」一万年堂出版

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子どもの安心感を育むために【パート2】
認定こども園大野めぐみ保育園長 中西 三千子 氏

<指さしは言葉のでる第一歩>
ワンワン・ぶーぶー・パパ・ママなど出てきたら,この一語文の中に隠れている「ぶーぶー行っちゃったね」など言葉に隠れている思いを言葉にしてあげましょう。
<悪魔の2歳児>
なんて思ってしまうこの時期,子どもも「ママは僕の事わかってくれているはずなのになんでダメなのー」いや・ダメ,この自己主張は成長の過程で通らなければならない道です。2歳児は前頭前野が未発達なために,衝動を抑えられないのです。なんで我慢できないのとイライラせずに,脳が未発達なんだから仕方がないと肩の力を抜きましょう。葛藤なくして子どもの成長はありえない,思うようにいかない経験が大事で,涙は心の清浄作用だと思って落ち着くまで見守りましょう。甘えと反抗は行ったり来たり,きれない子に育てるにはきれない親になることです。かんしゃくの「く」をはずしたら「かんしゃ」ですね。
<母親は子育てできて当然は間違い>
育児体験をすることで母性を育む脳が活発化していくのです。しかも,子育て中はオキシトシンホルモンが出て,子どもへの愛情を強くし,反対に攻撃性も強くします。オムツがうまく変えられない・あやすことが下手な夫にイラついている時は,子どもを守りたい一心でのオキシトシン発生中なんてことになります。

参考
明橋 大二「子育てハッピーアドバイス」一万年堂出版

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