0~3歳の子をもつ保護者の皆様へ

.

子育て法、何が正しくて何が間違いなの?
茨城キリスト教大学文学部児童教育学科 准教授 中島美那子 氏

目の前にわが子が現れるまで、小さい子どもと関わったことがほとんどなかった。これまで赤ちゃんの育て方はもちろんのこと、接し方も教えてもらったことがない。自分の親に育て方を尋ねてみるものの、「それって最近の子育て法とは違うんじゃない!?」と納得がいかない。それならインターネットがあるとばかりに覗いてみると、その膨大な情報に溺れそうになる…


実はこれらのコメントは、赤ちゃんを育てているお母さんたちと最近おしゃべりをしているなかから拾った言葉です。赤ちゃんとの日々は、幸福感や充実感で満ちていることが理想ですが、なかなか現実はそうとばかりも言えません。どうして良いかわからずにオロオロしたり、不安になってしまったりすることも多々あります。
「子育ての仕方の何が正しくて何が間違っているのか」
赤ちゃんを育てている方にとって、多かれ少なかれ突きつけられる問いでしょう。
では実際には、子育ての正解というものはあるのでしょうか。
1つの例として、離乳食について考えてみたいと思います。まず、今から2、30年前の乳児の食について奨励されていたのは、①生後3〜4ヶ月からは果汁を与えてもよい、②離乳食は遅くとも生後5~6ヶ月頃には始める、③離乳(当時は「断乳」と呼ばれました)は1歳までに完了するのが望ましいなどです。
これらを現在の子育てと照らし合わせてみるとどうでしょうか。①から③まで、現在ではどれも「適切」とは言えないかもしれません。
次に、世界の離乳食に目を向けるとどうでしょう。例えばアメリカ等の先進国では離乳食を3食全て手作りすることはなく、離乳食といえば市販のベビーフードが中心です。また、日本のように離乳食を「初期・中期・後期・完了期」と数ヶ月単位で分けて、段階を踏んで食材や調理法を変えていくといった国は、あまり他にはみられません。
このように、正しいとされる子育ての方法が、実は時代が違ったり文化が違ったりすることで変化するということがわかります。
それでも、これまでの研究や実践のもとに築き上げられた成果が、今の日本で奨励されている離乳食のあり方であり、信頼性の高いものだということは否定しません。ですので、「現在の日本の離乳食のあり方は素晴らしいじゃない。自分はそれに沿ってやってみたい」「アレルギーが心配だから、現在の日本の離乳食の考え方に沿ってやるのが無難そう」と考え、納得する方はそれを進めれば良いのだと思います。一方、「育児書通りに手作りしてもうちの子が食べてくれず、イライラする」「心身ともに疲れていて、1日3食も手作りすることはできない」という方は「正解」を追求せずに、自分流やわが子流を模索しても良いのではないでしょうか。
ここでは1つの例として離乳食を取り上げましたが、「唯一無二の正解はない」ということは子育て全般に当てはまることだと思います。
私たちは一人ひとり生活環境や価値観が異なります。それは子育てに対しても同様です。たとえ周囲の友人とその子どもさんがうまくいっているからといって、高名な専門家の著書に書いてあるからといって、売れっ子のブロガーが紹介しているからといって、それが自分そしてわが子に合う子育て法とは限りません。
わが子を観察して、いろいろな方法を試して、自分の価値観と向き合って。そしてわが家流の子育て法を確立していけば良いように思います。

.

みんなの力で楽しく子育て【パート1】
県西総合病院病院長・小児科医 中原 智子 氏

 母子手帳の各月例・年齢の左ページには、通常その月齢であればできるようになることが書いてあります。3~4か月で声を出して笑い、6か月で寝返りし、7か月でお座り、9か月でハイハイ、10か月でつかまり立ちやバイバイ・しょんしょん(手叩き)、1歳で片言を喋り歩き始めます。2歳で走り、2語文を話し、3歳では三輪車をこげるようになり、〇も描けます。
これらの発達は皆、家族があやしたり、声をかけたり、運動を補助したり、道具を与えたりしてできるようになっていきます。授乳するとき、おむつを替えるとき、散歩するとき、お父さん・お母さんはお子さんの顔を見て、お話しながら行動していますか? 次にできるであろう運動や言葉の発達を考えて、与えるおもちゃや本を選んでいますか?
 お母さんがいろいろやっても、通常できる時期に首が座らない、寝返りしない、ハイハイしない、立とうとしない、歩けない、片言をしゃべらない等のお子さんもいます。少し奥手の場合もありますし、まれに筋肉や脳の病気が隠されていることもあります。
 最近、1歳児健診で片言が出ていないお子さんが多くなっているように感じます。スマホなどで指の運動が忙しく、お母さん自身が実際に声を出していない、あるいはお子さんの顔を見て話しかけていない両親が多くなっていることが影響しているのかもしれません。テレビやDVDを見せると子どもは静かなので、長い時間見せっぱなしになっているかもしれません。正しい言葉を教えようとして、言いやすい言葉よりも、最初から発音の難しい言葉を教えようとしている方もいます。
 

.

みんなの力で楽しく子育て【パート2】
県西総合病院病院長・小児科医 中原 智子 氏

 お母さんが考え方を少し変えて一生懸命やっていても、2~3か月後に全く進歩が見られない場合もあります。視線が合わない・表情が乏しい場合には自閉症の可能性もあります。こだわりが強く、特定の物ややり方にこだわり続ける場合もあります。反対に、環境や接し方を変えることで言葉がどんどん出てきて、たくさんのお友達と遊べるようになることもあります。
 子どもの発達にはかなり幅(個人差)がありますが、お子さんが一般的な発達のどのあたりにいるかを全体的にとらえ、遅れている点があれば素直に認め、対応を見直してみましょう。それでも、心配なときには、早めに医療機関や、保健師さん、保育園の先生等に相談しましょう。
 通常の短い診察時間で、しかも1回の診察だけでは、お子さんの全体像が見えないこともよくあります。何度か経過を見ることで全体像が見えてきます。何度も見ていただくことが、とても重要です。たとえ遅れがあったとしても、早期に適切な対応をすることで、障害の部分を少しでも軽くすることができます。家族の力だけではなく、周囲の力も得て、楽しく子育てすることが、お子さんの発達にも心理にも必ず良い影響を与えます。一人で悩まず、どんどん相談しましょう。
 

.

新聞ビリビリで、ママのストレスも飛んでいけー
つくば市教育委員 鷲田 美加 氏

子どもは遊びをとおして成長します。いろんな遊びを、親子一緒に体験しながら、親子の絆を深めましょう。

子どもがよろこぶ、『新聞ビリビリ』遊び
子どもに人気でおもちゃがなくてもできる『新聞ビリビリ』で遊びませんか?
新聞紙を、子どもと一緒に、好きなだけ、ビリビリと裂きます。はじめは親の私たちが裂くところを見せてあげましょう。小さくなった新聞紙を、子どもの頭上からパラパラパラ~とやってあげると、子どもは喜んで、そのうち“自分でも”と、親の真似をして遊び始めます。新聞紙の切れ端を両手でつかんで、自分の頭の上に、パラパラパラ~、っと(笑)。

ママのストレスも、飛んで行け~
新聞紙を裂くところでは、楽しく、というより一心に裂いてみましょう。やっているうちに、どんどん熱中していきます。どんなに素敵なパパ・ママでも、イライラしたり、ストレスがたまって辛い気持ちのときがありますよね。そんなときは、新聞紙を思いっきり裂いて、自分のストレスも、どこかに飛んで行け~! 子どもは何よりも、パパ・ママの笑顔が大好きです。

「遊んだらお片付け」の練習にもぴったり
裂いた新聞紙で遊んだあとは、ボールづくりです。ビニール袋に新聞紙を詰めて、ガムテープで口を閉じれば、新聞紙ボールの完成。軽いので、小さな子でも自分で持って遊ぶことができます。
実は、ボールにするのはお片付けのためでもあるのですが、子どもは紙きれ集めが楽しくなってきて、黙っていても片付いていくので、一石二鳥です。子供は遊びの中で、想像力を豊かにしていきます。こんな風にのびのびと遊びながら、何もないところでも、自分で工夫して遊びを作り出せる子に育ってくれたら素敵ですね。

.

命をありがとうございます
茨城キリスト教大学 准教授 飛田 隆 氏

ご出産おめでとうございます。お父さん、お母さんが赤ちゃんに命を与えて下さいました。
 お父さん、お母さんは毎日赤ちゃんのことを考え、幸せになることを願って色々なことを実行しています。
 例えば、お父さん、お母さんは毎日赤ちゃんのことを考え、安全・安心を与えて下さっています。
 お父さん、お母さんは赤ちゃんのことを考え成長・発達にとって必要なことを毎日行っています。
 お父さん、お母さんは少し大きくなった子どもに生きるために必要な知恵を伝えて下さっています。
 お父さん、お母さんは子どもの健康を毎日考えて下さっています。
 お父さん、お母さんは子どもにとって良い環境を意識して整えて下さっています。
 ご両親はすでに立派に子育てをして下さっていると思います。しかしながらときどきは困ったり、悩んだり、心配になることがあると思います。その時はどうぞご遠慮なく茨城県や市町村で紹介しています相談窓口に直接尋ねられるのもよいと思います。忙しい場合や難しい場合は電話でも親身になって話しを聞いて下さいます。またお近くの保育所や認定こども園、幼稚園でも相談に乗ってくれます。
 ひとりで抱え込まないことが大切です。私たちは赤ちゃんが生まれてから親になりますから、子どもが小さいうちは親としても初心者です。ときにはベテランの先輩のお父さんやお母さんにご相談してもよいと思います。
 子どもはお父さん、お母さんが大好きです。触れられたり、抱っこしてもらったり、目を見て話を聞いてもらえたり、遊んでもらうのが大好きです。お父さん、お母さんがかわいがってくれると子どもは幸せです。
 子どもが幸せならお父さん、お母さんも幸せだと思います。そしてご家族が幸せだと地域の皆さんも幸せを感じることが出来ます。子どもは地域の中でも見守られ、愛され育っていきます。お父さん、お母さんも地域の一員ですから、他のお子さんも可愛がっていただけましたら幸いです。
 親としてときどきする失敗は未来への成功の道です。反省すべきことは反省してもあまり気にせずどうぞゆっくり親になっていってください。

.

子どもの安心感を育むために【パート1】
認定こども園大野めぐみ保育園長 中西 三千子 氏

<0歳から3歳は人に対する安心感・信頼感の基礎作り>
0歳の時期は,人に対する絶対的な信頼感を獲得する時期です。「オムツがぬれたよー」「おなかがすいたよー」「さむいよー」「だっこしてー」など赤ちゃんの泣きは言葉に代わる言葉です。「おしっこでたのね」「お腹がすいたのね」「さむいのね」「だっこしてほしいのね」と,この泣き(言葉)に応答してあげることが,人への絶対的信頼感を獲得することにつながります。応答せずに泣かせっぱなしにしていたら,サイレントベビー(泣かない赤ちゃん)になってしまいます。つまり,「どんなに泣いても応えてもらえない,自分は意味のない存在だ」と諦めます。泣いたら(話したら)応えてくれる人がいることが大切です。
<夜泣き>
妊娠中お腹の中の赤ちゃんは,夜,動き出しませんでしたか?それは胎児が日中のお母さんに負担をかけないよう寝ていて,お母さんがゆっくりした夜中に何回も目を覚ましているのです。そのリズムが出産後も続くため夜泣きとなるのだそうです。赤ちゃんはお母さん思いなのですね。そのサイクルを徐々に変えていくために,日中は戸外に連れ出して,お日様の光を浴びたり,戸外の空気に触れさせてあげましょう。気持ち良いです。
<いたずらは赤ちゃんの卒業証書>
「這えば立て 立てば歩めの親心」と先人はよく言ったものです。親は子どもの成長を待ち望んでいます。でも焦ることはありません。歩くようになった子どもはいたずらもするようになります。なんでも口に入れたり,引き出しをあけたり,ティシュをひっぱりだしたり,あれ何だろう・触ってみようと心が動いて行動になっていきます。この行動が好奇心を高めていきます。危険もいっぱいなので,フィルムケースより小さなものは手の届くところに置かない・鋭角のある家具やコンセントにはカバーをつける・ガスコンロを押せないようにするなど安全対策などをしておくと良いでしょう。

参考
明橋 大二「子育てハッピーアドバイス」一万年堂出版

.

子どもの安心感を育むために【パート2】
認定こども園大野めぐみ保育園長 中西 三千子 氏

<指さしは言葉のでる第一歩>
ワンワン・ぶーぶー・パパ・ママなど出てきたら,この一語文の中に隠れている「ぶーぶー行っちゃったね」など言葉に隠れている思いを言葉にしてあげましょう。
<悪魔の2歳児>
なんて思ってしまうこの時期,子どもも「ママは僕の事わかってくれているはずなのになんでダメなのー」いや・ダメ,この自己主張は成長の過程で通らなければならない道です。2歳児は前頭前野が未発達なために,衝動を抑えられないのです。なんで我慢できないのとイライラせずに,脳が未発達なんだから仕方がないと肩の力を抜きましょう。葛藤なくして子どもの成長はありえない,思うようにいかない経験が大事で,涙は心の清浄作用だと思って落ち着くまで見守りましょう。甘えと反抗は行ったり来たり,きれない子に育てるにはきれない親になることです。かんしゃくの「く」をはずしたら「かんしゃ」ですね。
<母親は子育てできて当然は間違い>
育児体験をすることで母性を育む脳が活発化していくのです。しかも,子育て中はオキシトシンホルモンが出て,子どもへの愛情を強くし,反対に攻撃性も強くします。オムツがうまく変えられない・あやすことが下手な夫にイラついている時は,子どもを守りたい一心でのオキシトシン発生中なんてことになります。

参考
明橋 大二「子育てハッピーアドバイス」一万年堂出版

Loading