回答(小学校1・2年生)
習慣・しつけ
Q1. 体力のある子に育てたい
小学生の娘は特に病気はありませんが,最近太り気味で動作が遅く,力強さにも欠けるように思います。もっと体力をつけさせたいと思いますが,家庭ではどのようなことを心掛ければよいでしょうか。
Answer
体力をつけるためには,栄養・運動・生活の面からの改善が考えられます。栄養の面では,「とり過ぎ・不足・偏り」は禁物です。
「腹八分」と言われますが,特に「とり過ぎ」には気をつけましょう。菓子類やジュース類などの与え方も見直しましょう。
運動の面では,「子どもは風の子」といわれるように外遊びが大切です。友人関係や場所の問題など外遊びをするための環境もさまざまだと思いますが,場所をとらない縄跳び・鉄棒などの運動とともに,親子で公園で遊んだり気分をさわやかにする散歩をするなど,日常生活の中で娘さんが自然に体を動かせるような工夫をしてあげましょう。
生活面では,のびやかな家庭環境づくりを心掛け,規則的な生活習慣を身につけさせることが大切です。特に,「早寝早起き」は生活の基本ですので,家族全員で実践してみてください。
一般的なことを述べましたが,体力は成長の過程において個人差があります。あまり心配なさらないで,焦らず励ましながら娘さんの成長を見守ってあげてください。低学年は体力をつける時期というより楽しく身体を動かすことの喜びを味わわせる時期です。
Q2. ゲーム中心で生活する息子
小学校低学年の息子は,帰宅するとゲームに夢中になり,家庭学習をやらないこともしばしばです。休みの日は朝からゲームばかりで,しかってもその場限りです。どうすればよいでしょうか。
Answer
ゲームは本来,遊び道具の一つです。しかし,度を超したゲームへの執着は,家族との交流や触れ合いの時間を少なくしてしまいます。また,友だちとの遊びや体験活動の機会を奪い,学校の成績不振につながることもあります。
子どもがゲームに長時間熱中し,自分を抑えられないということは,すでにゲーム中心の生活リズムになっていると考えられます。家族との団らんや読書,スポーツ,さまざまな体験活動など,ゲーム以外のものに興味,関心を向けるようにすることで,ゲーム中心の生活を変える努力が必要だと思います。
なお,息子さんの場合にも,急にゲームを禁止するのではなく,本人とよく相談して,ゲームの時間やルールを決め,守れた時には褒めてあげたり,家庭学習が終わった時には成果を認めてあげたりしたいものです。
Q3. 内気で何事にも消極的な娘
小学生の子どもが,内気な性格のため何事にも消極的です。3か月ほど前に転居してきましたが,いまだに近所の人の顔や名前が分からない状態のまま,一人で通学していて心配です。何か良い方法はないでしょうか。
Answer
子どもの心身の成長には,子ども同士の交流だけではなく,地域の幅広い年代の人とふれあい,豊かな人間関係を経験することが大切です。まず,親自身が地域との関わりを大事にする生活を心掛けることが重要です。子どもは親の付き合い方を見て学び,また,親の交流を通して地域や学校での人間関係が広がっていきます。転居したばかりで地域の人との接点を持つことが難しいと思われますが,まずはお子さんの不安な気持ちに寄り添いながら,お子さんと一緒に地域の行事などに参加することから始めてみてはどうでしょうか。
転居や転校など,新しい生活に慣れるのは誰にとっても大変なことです。人間は一人一人性格が違い,対人関係が得意な人もいれば,苦手な人もいます。お子さんは内気な性格ということで,新しい生活に慣れるのに多少の時間が必要なのだと思われます。このようなときに大切なのは「親の愛情」ではないでしょうか。日頃から親に愛され,信頼されているという実感を持つ子どもは,学校や社会で胸を張って生きていけます。多少のつらさや苦しさがあっても,自分で乗り越えていけると思います。
また,転校後はなかなか新しい環境に溶け込めず,学校でも孤立している心配がありますので,学校の様子について担任の先生にも相談してみましょう。
学習
Q1. 乱雑な字を書く子が心配
小学校低学年の我が子の学習ノートを見ると,文字が乱雑で形が整っていません。消しゴムを使う回数も多く,正確さにも欠けています。本人は気にならないらしく,書き直しさせられることを嫌がります。最近,よく耳にする「学習障害」ではないかと疑ったりもします。
Answer
画数の多い漢字が増えるにつれて,文字が乱雑になってしまうお子さんもいます。しかし,書く基礎・基本を学ぶ低学年では,丁寧な文字を書く習慣を身につけさせることはとても大切なことです。まず担任の先生に相談し,学習の様子などを聞いてみることが必要でしょう。
また家庭では,特にお子さんの悪いところばかりを指摘するのではなく,「この字,とても上手に書けているね」と,認めて褒めてあげることでやる気と自信を与えるよう心掛けてください。あわせて,たとえば,マス目の大きなノートを使って練習するなど学習しやすい環境を整えてあげてください。
さて,ご心配の「学習障害」ですが,これは全般的な知的遅れはないが,聞く,話す,読む,書く,計算する,推論する能力のいずれかに著しい遅れが認められる場合をいいます。お子さんが「学習障害」であるかどうかの判断は,このご相談だけでは難しいので,担任の先生とよく相談して対処してください。
交友・学校生活
Q1. 落ち着きのない子ども
小学校低学年の子どもは,幼児期から落ち着きがなく,また友だちにもとけ込めず引っ込み思案でした。現在でも,やはり自分勝手な行動を取り,先生の指示にも従わないことが多く,注意されても平気です。友だちをからかう態度を取ることもあり,仲間に入れてもらえないようです。甘やかした育て方を反省しています。これからどのように接していけばよいでしょう。
Answer
小学校で友だちができなかったり,トラブルが増えたりするのはご心配でしょう。
甘やかして育てたとのことですが,甘やかしは人を思いやる気持ちや我慢する力を育てる機会を少なくしてしまう場合があります。人に親切にできた時や我慢ができた時は,褒めて喜んであげましょう。学校生活で集団にうまく適応できない場合は,担任の先生に相談し,仲間に入っていけるように支援してもらうとよいでしょう。
また,子供会活動や地域の催し,青少年教育施設などで実施しているさまざまな交流体験活動などに親子で参加することも一つの方法です。日常とは異なる開放された場所,人々,活動の中で,多くの人々とかかわることで,新たな人との接し方を学び,友だちとも自信を持ってかかわることができるようになるでしょう。
Q2. 息子の同級生の振るまいが気がかり
近所に住んでいる息子の同級生の男の子が,ほとんど毎日家に遊びに来ます。男の子は,息子に命令したり,息子の持ち物を勝手に持ち出して使ったりするなど,自由気ままに遊んでいるのが気になります。注意したい気持ちはありますが言えません。どのように接すればよいのでしょうか。
Answer
子どもにとって,友だちは対人関係を学んだり,社会性を身につけたりするのに大事な存在です。最近は,学校以外で友だちと遊ぶ機会が少なくなっていますので,友だち同士がお互いの家に行ったり来たりするような交流があることは喜ばしいことです。 同級生の男の子は,遊びに夢中になって,つい自分の家にいるような気持ちになってしまうのかもしれません。しかし,友だちの家では,自分の家と同じように振るまうことはできないということを,小さい頃から礼儀として身につけておく必要はあるでしょう。
最近,よその子を注意したりしかったりする大人が少なくなっていますが,子どもはみんなで育てていくという姿勢が大切です。息子さんの同級生のお母さんと何でも話し合える環境をつくりながら,ためらわずに礼儀などを教えてあげてください。
Q3. 自分で解決する力
普段,元気な娘なのに,最近元気がありません。理由を尋ねると,「今まで仲のよかった友だちからヒソヒソ話をされたり,クスクス笑われたりして,あまり遊んでくれない。」とのことでした。娘がとてもかわいそうで,相手の親に話したほうがいいのか迷っています。
Answer
娘さんの元気のない理由が友だちとの関係にあると,親として何とかしなくてはと思うのは,当然でしょう。
まず,このようなことになった経緯,娘さんの考えや今,感じていることなどに,じっくりと耳を傾けることが大切です。そうすれば,元気のない理由の全体が見えてくるはずです。また,担任の先生に相談することも考えてよいでしょう。
小学生という時期は,まだ親への依存度が高く,心も不安定なので,娘さんはお母さんに辛いことや悲しいことをわかってもらえると,安心した気持ちになります。そして,お母さんの話すことを,素直に聞き入れることができます。
今,娘さんは,この問題を早く解決したいと思っているはずです。解決のための励ましや助言などをしてあげることによって,娘さん自身で問題解決のきっかけを見いだせると思います。勇気を持って娘さんが自分で解決することができるように,小さな背中を押してあげてください。
Q4. 集団の中で遊べない子ども
息子は,一人っ子で育ったためか,集団の中へ自分から進んで入り,遊ぶことが苦手です。どうしたら集団の中で遊べるようになるでしょうか。
Answer
一人っ子で,家族以外との関わりも少ない環境で育ったお子さんの中には,子ども同士の交流が少ないまま学校での集団生活に入り,集団の中で楽しく遊べなかったり,引っ込み思案になる場合があります。
子どもの性格の形成には親の関わり方も重要な要素です。積極性や社会性を身に付けさせるためには,幼い頃から子ども同士の交流はもちろん,社会とのかかわりを多く持たせることが大切です。地域の活動に参加させたり,幅広い年代の人とふれあう機会を提供するなど,親自身も積極的な交流を心掛けましょう。この時,親の考えで遊びを制限してしまうと,友達と遊ぶ機会が減り,友達を作る力が育ちません。子どもは,友達との遊びや交流を通して,友達づき合いに自信を持ち,自分から友達を求める行動ができるようになります。多少の心配があっても,見守ることが必要です。大らかな気持ちで子育てを行いましょう。
家族・地域
Q1. 集団登校で迷惑をかける我が子
小学生の子どもは毎朝,集団登校班で小学校に通学しています。6年生の班長さんは真面目で責任感が強く,班員をきちんと整列させて出発していきます。しかし,私の子は時々列から離れ勝手に歩いたり,他の子たちと仲良くできなかったりと班長さんを困らせているようです。このままでは,今後も迷惑をかけそうで心配です。近所付き合いのこともあり,親としてどのようにしたらよいのか悩んでいます。
Answer
まずはお子さんが集団登校で班長や他の子に迷惑をかけていることを親として心苦しく思い,それでも面倒を見てくれていることに対する感謝の気持ちを班の子どもたちや親に伝えることが大切です。
子どもは成長とともに,自分に対する我慢や友だちに対する気配りを覚えていきます。思いやりの心や我慢の心が育っている子は,友だちのことを考えながら行動するので友だちからも好かれます。しかし,子育て次第では,子どもが自分の思い通りにしたがる心を強め,友だちとのトラブルの原因にもなります。
まずはご家庭でお子さんに安全のために集団登校をしていることをきちんと話し,列から離れないことなど約束を決めましょう。また,集団登校のことだけでなく,日々の生活の中でも,子どもの言いなりになることを少しずつ減らしていくことが大切です。そして,小さな我慢ができたらお子さんを褒めてあげてください。
我慢することを体験し,親から褒められたり,叱られたりすることで,子どもは我慢することの大切さを理解していくものと思います。
Q2. 口答えや反抗的な態度への接し方
小2の子どもがいます。この頃、口答えや反抗的な態度が多くみられるようになり、感情的に𠮟ってしまうことがあります。どのように対応したらいいのでしょう。
Answer
小学校低・中学年の子どもに反抗的な態度が見られる時期があります。2~3歳ごろのイヤイヤ期と呼ばれる第一次反抗期、思春期の第二次反抗期、その間の小学校低・中学年ごろにも口答えや反抗的な態度が表れやすく、これは「中間反抗期」と呼ばれています。
中間反抗期は、自我の発達や友だち関係の広がりなどの環境面の変化が原因となるもの。「干渉されることを嫌がる」「口答えをする」「保護者の注意を無視する」「親より友だちを重視するようになる」「隠しごとをするようになる」「一人でやりたがる」ようになります。我が子の突然の変化に戸惑ってしまうこともあるかと思われます。
中間反抗期が来るのは、第一次反抗期や第二次反抗期と同じように心の成長のプロセスの一環です。保護者への依存が大きかったこれまでの自分から、自らの意思で考え、行動していこうという自立心の芽生えの表れともいえるもの。自我が育ち、自分で考えて行動しようとする気持ちが強まり、親の言いつけに従うことを嫌がるようになるのです。
中間反抗期の原因は、「自我の発達」「友だち間での葛藤」によるものと考えられています。子どもには、友だちとの関係性に楽しさを覚える一方で、行き違いが生まれたり、喧嘩になることを怖がったり、友だちに合わせて自分の気持ちをうまく伝えられなかったりといったストレスや葛藤も多く生じます。
学校などで友だちと一緒にいる間は、これらのストレスで心が落ち着かないため、家に帰ってきたときに反抗的な言動でストレスを解消しようとするわけです。心が育っている証であると共に、心のコントロールに苦労しがちな繊細な時期であることも理解しておきましょう。
この時期の子どもの心は、自信と不安、自立心と甘えと相反するものが共存する繊細な状態です。そのため、頭ごなしに叱ったり、言い分も聞かずに命令的に従わせようとしたり、「勝手にしなさい」と突き放したりするのはNG。子どもは「保護者は自分の気持ちをわかってくれない」と心を閉ざすようになってしまいます。
反抗的な態度を向けられると、つい叱りつけたくなることもありますが、「今はそういう時期なんだよね」とおおらかな気持ちで受け止めることが大切。どうしても譲れない一線以外は、大目に見るというくらいの余裕のあるスタンスを持つようにしましょう。
「中間反抗期」を迎える時期には、保護者自身が変わる必要があることも忘れないでください。小学生になったとはいえ、低学年のころは幼児期の延長のような子どもっぽさがあり、保護者としてべったりと世話をすることに喜びを感じていたかもしれません。しかし、子どもが大きくなるにつれて、自立心を育てるためには、時には手を離して一定の距離を置き、見守る態度が大切になります。親子の距離の持ち方を見直すいい機会と考えていきましょう。
問題行動
Q1. 子どもの万引き
息子が近所の友だち三人と玩具店で万引きをしてしまいました。帰宅後に分かったので母親三人で子どもを伴い,お店に謝罪に行きました。私たちは「すみませんでした。私たち,親の責任です。よく指導します」と謝りました。金額の大小に関係なく,万引きは大きな犯罪です。今回はこれで済みましたが,「またこんなことをしたら」と心配でなりません。今後,親としてどのように対処したらよいでしょうか。
Answer
お母さんの言うとおり万引きは犯罪です。子どもが悪い行いをした時,同じ間違いを繰り返すかどうかは,直後の親の姿勢や導き方にあるといわれています。
今回は母親三人が同じ気持ちで息子さんと一緒に出向き,お母さん自らが謝ったことは大変良かったと思います。親の謝っている姿を見て,息子さんたちはもう二度としないと幼い心に誓ったことと思います。
万引きの動機はさまざまです。善悪の判断が甘く,安易な気持ちから盗んでしまった可能性もあります。ここで真剣にしかることで,「万引きは絶対に許されない犯罪である」という気持ちをしっかりと自覚させることが大切です。お父さんが本気になってしかることも,息子さんの心に強く響かせるために極めて効果的です。この時を絶好の機会ととらえ,非行の芽を摘んでおくことが大切です。
お子さんが同じことを繰り返さないために,両親や友だちの親同士が同じ方向で子育てができたら,こんな望ましいことはありません。今後も親同士の人間関係をさらに深めていってください。
Q2. お金を持ち出す息子
最近,息子が私の財布からお金を二回ほど持ち出しました。友人の母親からの情報では遊ぶ際に使っているようです。小遣いは普通に渡しているつもりですが,このままでは他人の金銭も盗るようになってしまうのではないかと心配です。
Answer
子どもがお金を盗る時には,自分で欲しいものがある,スリルを求める,親や友達の関心を得ようとする…などの理由が考えられます。
息子さんは,友達と遊ぶ際にお金を使っているようですが,友達に強要されているのか,自分から持ち出しているのかが気になります。まずは,ただ叱るのではなく,どのような気持ちでお金を持ち出したのか,心の内面に向けて話を聞いてみましょう。子ども気持ちを気持ちを理解したうえで,親が心配していることを温もりのある言葉で伝えてはどうでしょうか。
また,息子さんの場合,お金の扱いについての善し悪しの判断がつかないのかもしれません。この機会に,他人のものはもちろん,親のお金であっても黙って持ち出してはいけないという社会のルールをしっかりと教えておきましょう。