保護者におすすめの本

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カッパーノ
森くま堂 文/いわさき さとこ 絵
 頭には素敵なお皿、目元は甘くハイセンスな佇まい。みんなが憧れるイタリアンテイストの伊達男、その名はカッパーノ。ところがある日、頭のお皿をカラスに盗まれてしまいました。途端に人気は急降下。かわいそうなカッパーノですが、自信に満ちた伊達男顔と悲しみに暮れた顔とのギャップには思わず笑ってしまいます。お皿とカラスを追いかけ旅立った先では、苦難の連続。人の街では話すら聞いてもらえません。果たして、カッパーノは頭にお皿を取り戻すことができるのか。物語は理想のハッピーエンドとはいきませんが、後半に登場する人物によってカッパーノは復活をします。若いカッパーノの話に耳を傾け、自信を取り戻すきっかけをくれるのです。
 この絵本は実際には、もう少し幼いお子さんから楽しめます。今回、小学校低学年生に「おすすめ」としたのは、『カッパーノ』は伊達男の面白おかしい物語なだけではなく、自分の在り方に悩んでいる人を励ましてくれる絵本でもあるからです。勿論、大人にも手に取ってほしい。表紙から其々の場面の隠し絵、裏表紙まで余すことなく楽しんでください。絵本を閉じた後も、カッパーノの物語が続いていくことを感じられると思います。
BL出版 1,650円
読み聞かせ屋サチエ

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ねえ だっこして
竹下文子 文/田中清代 絵
 まず、表紙の猫の表情が印象的な絵本です。 飼い主に赤ちゃんが生まれて、猫は面白くありません。大好きなお母さんのお膝を、赤ちゃんにとられてしまったからです。猫は知っています。お母さんのお膝は世界一素敵な場所だってこと。赤ちゃんって何にも出来なくて、つまらない。わたしは自分で食べることも、顔を洗うこともできるのに。悔しい気持ちはあるけれど、猫は赤ちゃんのことが嫌いなわけではありません。「わたし もう おおきいから」と、お母さんのお膝を赤ちゃんに貸してあげることにした猫。本当はお母さんに抱っこしてほしいのに、強がって我慢をする猫のいじらしさに切なくなります。猫の目線から語られる甘酸っぱい想いは、小さなお兄ちゃんやお姉ちゃんたちの心にも深く響くようです。この猫は、上の子の気持ちの代弁者でもあるわけです。結末も、とてもあたたかくて素敵。動物と暮らす人、お子さんが二人いる方にも読んでもらいたいお話です。
金の星社 1,430円
読み聞かせ屋サチエ

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ペイント
イ・ヒヨン 著、小山内園子 訳
子どもが親に望むことは。もし、親を決める選択権が全面的に子どもにあったら。大人になるまでの期限が迫る中、親候補の面接=ペイントに臨むジェヌの出した答えは…?自分とは何者か、自分を構成するものは何か、と考えたくなるティーンに刺さります。
イースト・プレス 1,650円
青少年家庭課

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水を縫う
寺地はるな 著
「男なのに」刺繍が好きな清澄は、「女なのに」かわいいもの が苦手な姉の水青のためにウエディングドレスを作ることになった。世の中の「普通」を踏み越えて、自分らしく幸せを追求していく優しい人たちの、家族をテーマにした物語。
 
集英社 1,760円
茨城県青少年家庭課

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わたしはいいこ?
えがしらみちこ 作
「いいこにしていてね」「いいこはできるよね」と、パパもママも言うけれど、いいこって何だろう?いいこは、お片付けが上手で大きな声で挨拶をして友だちに遊び道具を貸してあげられて…それから、それから。「いいこ」って不思議な言葉。お友だち同士では使わない。いいこじゃないとパパとママは私を嫌いになるのかな?大人は子どもたちに何気なく「いいこ」という言葉を日常の様々なシーンで使いがちです。この絵本の主人公は未就学児ですが、小中高校生にも「いいこ」を大人から自分への評価と捉え、悩んでしまう子たちがいます。何気なく使う言葉だからこそ、改めてその意味について考えてみてはいかがでしょうか。本当の「いいこ」とは何か、子どもたちの気持ちを見つめさせてくれるお話です。
 
小学館 1,650円
読み聞かせ屋サチエ

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夜明けのすべて
瀬尾まいこ
月に一度のPMS(月経前症候群)でイライラが抑えられない美紗は、転職してきたばかりの山添君に当たってしまう。山添君はパニック障害になり、生きがいも気力も失っていた。互いに友情も恋も感じていないけれど、おせっかい者同士の二人は、自分の病気は治せなくても、相手を助けることはできるのではないかと思うようになる。生きるのが少し楽になる、心に 優しい物語。
水鈴社 1,650円
茨城県青少年家庭課

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ころべばいいのに
ヨシタケシンスケ 作
「自分がされていやなことをしてくるようなあの人も、いやなことを言ってくるこの人も、みんな石につまずいてころべばいいのに」と思ったけれど…。
そんなときは、発想を少し変えるだけでスッキリできるかもしれません。前向きな気持ちになれるアイディアがたくさん。親子で読みたい本です。
ブロンズ新社 1,400円
青少年家庭課

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ママのスマホになりたい
のぶみ
ぼくは,ママが大好き。
ぼくは,一番ママにぼくのことを見て欲しいんだ。
ママ,ぼくの気持ち,わかって。

お母さんも自分を振り返ることのできる本です。
WAVE出版 1,400円
認定こども園大野めぐみ保育園長 中西 三千子

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親業・ゴードン博士 自立心を育てるしつけ
トマス・ゴードン
「しつけ」で悩んでいる方にお薦めです。子どもが産まれ、成長と共に親は「どのようにしつけたらいいか」「年齢によって何をしつけたらいいのか」と戸惑い困惑します。しつけのポイントは親の価値観によって異なります。人によっては「しつけ」は厳しくしないと駄目だとか?許容する事が大事とか?でも、優し過ぎると上手く行かない等、悩みは尽きません。
そこでゴードン博士は、子どもを評価したり、賞賛したりする親の言動に着目しました。親の評価や賞賛を気にする子どもに本当の自立心は育たないと言っています。コミュニケーションをベースとした子育てメソッド『子どもが考えて行動する力』を育てる接し方が分かりやすく書かれています。
小学館 1,900円
子育てアドバイザー  安 のり子

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子どもはみんな問題児。
中川季枝子
絵本「ぐりとぐら」の生みの親である著者が、17年間保育士として関わってきた子どもの姿が描かれています。「問題児」という言葉は奇抜ですが、子どもらしくて無邪気な様子やつい笑ってしまう微笑ましいエピソード、心が温かくなる内容が満載です。親は時として我が子を「問題児」と感じることがあります。しかし、子どもは全く悪気がありません。ただ素直に感じたことを行動にしているだけです。子ども同士の会話では「ママ自慢」のシーンもあり、集団的な子どもの様子を垣間見られるのがこの本の良さです。
子育てが思うように行かない時、子育てに疲れた時、イライラした時、子どもを思いっきり叱りたくなった時、是非この本を読んで、本来の子どもの姿に触れてみて下さい。
新潮社 1,000円
子育てアドバイザー  安 のり子

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Be Your Best 自分らしく生きるための人間関係講座
リンダ・アダムス エリナー・レンズ
著者のリンダ・アダムス氏は「女性の為の人間関係講座」を米国で提供していました。「女性らしく」「母親らしく」「妻らしく」「嫁らしく」と女性の伝統的な役割や期待にとらわれ、自分を偽って生きていく事が本当に望んでいる事なのか?と問いかけています。ところが、男性も同じ様に「家族を背負い」「弱音を吐かず」「泣いてはいけない」と要求され「自分らしく生きていない」と訴えます。
自分が本当に望んでいる事は何か、自分の姿や内面を冷静に見つめ、ありのままの自分を表現し、さわやかに生きる姿は、何より子どもの生き方の模範となります。自分の人生を自分らしく生きる為に真の自己表現について学びたい方にお薦めの1冊です。
大和書房 2,000円
子育てアドバイザー  安 のり子

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続「心の基地」はおかあさん
平井 信義
おじいちゃん子育てで有名な平井信義氏の「心の基地はおかあさん」の続編です。前編では「叱らない子育て」を提唱し、孫を育てながら平井氏が実践された内容に続き、続編はさらに「おじいちゃん・おばあちゃんの子育て」について書かれています。やりがちな孫との関わり方から受ける悪影響をきっぱりと言い切っています。
平井氏が実践された内容は、笑いを誘い、家庭の中で忘れかけていたほのぼのとした情景を思い起こさせてくれます。医師として、児童心理学者としての観点から、子どもの発達段階を経た関わり方が明確に書かれています。
親が『子どもの今を知る』と叱り方も伝え方も変わります。親自身がステップアップしたい方にお薦めです。
新紀元社 1,200円
子育てアドバイザー  安 のり子
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