金澤正弥教諭(常陸大宮市立大宮北小学校)
令和2年11月24日掲載
心を動かす地域の宝

▲金澤正弥教諭
大宮北小学校には、歌舞伎がある。正確に言うと、毎年4年生がこの地域に古くから伝わる伝統芸能を体験し、継承していく『こども歌舞伎』と呼ばれているものがあるのだ。
昨年4年生担任になった私は、否応なくこの『こども歌舞伎』に関わることになった。『こども歌舞伎』には毎年定番の演目がある。お師匠さんが奏でる三味線の音色に乗せて謡い、舞い踊る「常磐津(ときわづ) 子宝三番叟(こだからさんばそう)」と、五人組の盗賊団が、一人ずつ堂々と名乗りをあげる名台詞で有名な「白浪五人男(しらなみごにんおとこ)」の二つだ。
公演から遡ること4か月前、3人のお師匠さんを招き、本格的な稽古が始まる。稽古を重ねるごとに、子どもたちの声に張りが出てくる。動きに大胆さと艶が出てくる。子どもたちの成長が、見ていてとても心に沁みる。
昨年は、「西塩子の回り舞台」で公演をさせていただいた。長時間かけて化粧や着付けをしてもらい、出番に備える。控え室を包む緊張感と高揚感・・。さあ、出番だ。否が応でも心が奮い立つ。なぜか子どもたちよりも自分の方が。拍子木の乾いた音と共に開く幕。舞台に響き渡る口上の声からいよいよ始まる。割れんばかりの拍手喝采。おひねりの雨あられ。子どもたちは大舞台に立って一層輝きを増し、自信たっぷりに役を演じきる。(どうだ、これが北小の『こども歌舞伎』だ!)子どもたちを誇らしく思う。満足気な笑みを浮かべた子どもたちの輝く横顔。なんとも言えない最高の一瞬、最高の気分だ。
大宮北小学校には、歌舞伎がある。この地域に古くから伝わる伝統文化。支えてくださるお師匠さん方と保存会の皆さん。受け継いでいく子どもたち。なくしてはならない地域の宝だ。『こども歌舞伎』を支えてくださる方々に、感謝してもしきれないほどの感謝の気持ちを伝えたい。
常陸大宮市立大宮北小学校
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