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茨城県中高一貫教育研究会議報告書

公立中高一貫教育における利点及び課題について

中高一貫教育の構想

 上述の中教審答申において示されている中高一貫教育の構想については大まかには以下のように整理できる。

 

  • 中高一貫教育にはいくつかの利点や問題点が予見できるが、「ゆとり」ある学校生活を送ることを可能にすることや中学校と高等学校との間のハードルを低くすることができることなどの大きな利点がある。
  • 現行の6・3・3制を一律に6・6制に改めるのではなくて、子どもたちや保護者などの選択の幅を広げ、学校制度の複線化構造を進める観点から選択的導入を行うことが適当である(それぞれの学校段階での「縦の多様化・複線化」)。
  • 子どもたちや保護者の選択のみならず、学校設置者が自らの創意工夫によって特色ある学校を展開する際の裁量の範囲を拡大することとなる。
  • 中高一貫教育が過度の受験競争に拍車をかけることがないような具体的な取り組みが必要である。
  • 中高一貫教育の実施形態を画一化するのではなくて、保護者のニーズ、地域の実情、設置者の主体的な判断によって多様な形態を選択できるようにすること(3形態の例示、特色ある教育に関する類型の例示)。
  • 入学者の決定にあたっては学力試験は行わず、学校の個性や特色に応じた適切な方法によること(抽選、面接、小学校からの推薦、調査書、実技検査などの多様な方法の組合せ)。
  • 高等学校段階に進む時点での入退学等についての配慮を行うこと。

 

中高一貫教育の利点

 この点に関しては上記中教審答申においても指摘がなされているが、それを踏まえつつ検討を進めた結果、本研究会議としては以下のような諸点に整理することができる。

 

  • 受験競争のストレスから解放されることに伴う多くの利点を期待できる。
  • 解放されたそのこと自体ではなくて、解放されたことに伴ってどのような教育を工夫し展開していくかという点が重要である。
  • 全般的に見れば6年間を見通した教育課程の編成や学習の展開が可能になる。
  • 高等学校入試の圧力がないことによって、ゆとりをもって、教科外の活動、部活動、ボランティア活動に取り組むことができる。
  • 高学年生徒の指導にあたっては、低学年段階の学習(既習)状況をきめ細かに点検することができるし、低学年生徒の指導にあたっては、高学年生徒のつまずきの状況から反省や新たな工夫のための契機(きっかけ、実例)を直接に得ることができる。
  • 6歳の年齢幅での異年齢交流を有効に活用することで、リーダーシップや仲間づくりを学ぶことができる。
  • 「進学を目指さない中高一貫教育・中高一貫教育校」が生徒たちの興味や関心に十分に適合できるような特色をもつことができるならば、自分のやりたいことを自分で決めるという能力を現在の子どもたちは持っているので、たくさんの生徒たちの関心を引くことができ、必ず生徒が集まるであろう。
  • 受験や進学といった視点からは学力差という一本化された尺度が有効であり、その尺度による学校間格差は深刻である。また、一方高等学校の内部にあっては生徒たちの考え方や進路は多様になっている。その生徒の多様化に対応して中学、高等学校の教育を多様化していく必要があるので、中高一貫教育は学校間格差への対応というより生徒の多様化への対応として有効な意味を持つと思われる。

 

中高一貫教育の課題

 本研究会議の検討においては中高一貫教育に対する期待と同時に、以下に示されているように、不明確さや不安に対しても強い関心が向けられた。

 

  • 中学校段階及び高等学校段階における地域間の多様性や格差、普通高校と職業高校の間における多様な格差が存在していること、しかもそれらが長年指摘され是正の努力が続けられながらも十分に克服されていないことが中高一貫教育によって達成しようとする目標を阻害することになるのではないか。
  • のみならず、逆に、中高一貫教育の実現がそれらの克服是正につながるとの展望を必ずしも得られてはいない。
  • 6年間を見通したゆとりのある、個性的な教育という点については私立学校において長年経験されてきているが、入学者の厳しい選抜、大学受験への有効な準備、個性的な特徴ある校風といったことがその支えになっている。(緩やかな入学者の決定を行うこと、受験校とはしないことを前提とした)公立学校での中高一貫教育においては、私立と異なるような特色や魅力を生み出せるのか(公立中学校・高等学校における一貫教育において何をセールス・ポイントとして生徒や保護者を引きつけられるのか)。
  • 中高一貫教育の魅力の一つは高等学校進学の際のハードルを低くすることであるが、このことは当該の高等学校へ多様な学力や興味を持った生徒が進学してくることを導くことになる。このような状況の下では、
    • (a) 6年間の学校生活における「中だるみ」を生むことにならないか。
    • (b) 6年間の間に生徒間の学力を始めとした多様な「格差」が大きくなってい く。
    • (c) 特色ある学校を作るとしても、多様なカリキュラムに対応したり、進学や 就職における生徒たちの多様な要望を支援したりといった新たな課題が浮かび上がってくる。
    • (d) 教員数や施設・設備の充実に十分な配慮が必要となる。
  • また、このような困難に対処するためには、例えば6年間を「基礎・充実・発展」といった新たな段階区分を工夫するとか、習熟度別の学級編成とか、6年間にわたってのきめ細かな生徒観察・生徒理解の体制を作るとかについては、学校や教師が既設校の例などを参考にしながら、新たな研究開発を進めることが必須となろう。
  • 小学校を終えた時点で中高一貫教育の学校を選択することになるが、将来の進路を確定することが難しい時期にあると考えられることから、生徒自身はもとより保護者も「特色ある一貫教育」を選択することはきわめて困難である。そのため、入学後に大きくなる生徒の個性、興味及び進路の広がりに対応するために幅広い教育を用意しておかなければならず、したがって「特色ある一貫教育」があいまいになるおそれがある。
  • 中高一貫教育では中学校と高等学校の連携が強く求められるが、中学校は義務教育であるがゆえに高等学校との連携や一体化が困難である事項をどのように区分し整理していくかという課題がある。

 

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