三昧塚古墳出土品修復
文化庁の助成を受けて、三昧塚古墳出土品を修復しています。
三昧塚古墳出土品は、国の重要文化財(美術工芸品)に指定され、茨城県立歴史館と明治大学博物館(寄託)に保管されています。金銅馬形飾付透彫冠をはじめ、金属製品、砥石、玉、竪櫛、石棺、ガラス小玉、埴輪などで構成されています。
▲砥石、玉、たてぐし竪櫛、石棺、ガラス小玉、埴輪など
▲金銅馬形飾付透彫冠
三昧塚古墳出土品は、現在は元興寺文化財研究センター(奈良県)に運ばれ、修復作業が進められています。修復作業は令和元年度より3年計画で実施されています。
【金銅馬形飾付透彫冠】
BTA処理(銅の防錆処理)を施し樹脂を塗布しました。裏面は和紙で裏打ちして補強しています。
顕微鏡観察で裏面から布と炭化毛が確認されました。アクリル樹脂で強化して復元の方法を検討しています。
▲形象埴輪の接合作業
上の写真は令和2年6月に撮影したものです。下の写真は、令和3年3月の撮影。破片を接合して家形がわかるようになりました。さらに補強と補彩を行います。
【ガラス小玉】
小玉を一つずつていねいにクリーニングと強化を施します。修理前は合計「407点」とみていましたが、外側から数えて347番目と348番目の小玉が欠損して2つになったことがわかり合計「406点」としました。欠損したガラス小玉は接合します。
【銅鏡】
コーティングを施し修理が完了し、保存箱の検討を進めています。
【鉄地金銅鏡板付轡】
さびぶくれを除去し、コーティングを終了しました。残っている金銅板の端部を補強して仕上げます。
元興寺文化財研究センターでは、文化庁、県文化課、県立歴史館、明治大学博物館の職員が協議を重ねながら慎重に修復作業を進めています。人間にたとえるならば、修復作業は「難しい手術」、修復前の協議は「医師の診断および手術方法の検討」にあたります。
▲修復作業の検討
金属でできた遺物は土に埋まっている間に、さびが出てぼろぼろになっています。遺物をアルカリ性の薬液に浸けて錆の原因となる塩分を溶け出させます(脱塩処理)。さらに、空気中の酸素や水分との接触をなくし強度を高めるため、遺物全体にアクリル樹脂を染み込ませます(樹脂含浸)。この後、割れた遺物をエポキシ樹脂や接着剤で接合したり、欠損部を必要に応じて復元し色を付けます(接合・復元)。
▲含浸装置
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