中教審答申及び1998(平成10)年11月に改正された学校教育法施行規則においては、中高一貫教育を実施する際の入学者決定の方式について、それが学力検査によらない方 法を工夫するべきであることを強調している。それらを踏まえつつもさらに以下につい て考慮がなされなければならないであろう。
 
中高一貫教育の趣旨を生かすためには、入学者の決定にあたっては、例えば学校側はこのような教育をしたい、生徒の側はこのような教育を受けたいといった双方の意志を明確にし、そのうえで対等な関係での約束として教育を進める(入学許可ではなく教育契約)といった、従来とは異なった新しい原理が考えられるべきである。

中高一貫教育の学校に生徒を引きつけるためには、そこでの教育の在り方が魅力的であることが重要であるけれども、さらにはその学校がどのような教育を進めようとしているのかについての広報(情報公開)が積極的、効果的になされなければならない。

中高一貫教育が推進されれば現在進行している選抜方法の多様化と評価尺度の多元化がいっそう進展することになるが、そのことは同時に選抜に関わる事務の煩雑化をもたらすことになるであろうし、また選抜制度に対する信頼性を弱めてしまうおそれもある。

学力試験による選抜がないと中学校の生徒の学習意欲がそがれるのではないかという危惧が教師や保護者の間に存在する。これはもっともなしかも強固なものであるところから、これを解消するための手だてを注意深く真剣に考えていかなければならない。

中学校と高等学校との教員の連携や交流が緊密であれば、高等学校の教員が中学校の生徒に対してきめ細かな理解を進めることが可能となることを十分視野に入れて入学者の決定方法を工夫する必要がある。

連携型の場合、高等学校への入学にあたって連携中学校から進学する生徒とそれ以外の中学校からの生徒とでは決定方式が異なることになるが(それに伴ういくつかの困難についてすでに指摘してきたが)、この点についての当該の生徒や保護者の理解はもとより、地域住民や県民全体の理解を得るための努力について具体的に検討する必要がある。

中高一貫教育が本格的に実施されれば、「厳しい入学」と「緩やかな入学」とが高等学校間であるいは同一高等学校内で多様になるという状況が促進されると思われるが、それが新たな格差の要因とならないような手だてが考えられなければならない。


 
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