1997(平成9)年6月に中央教育審議会は「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」を答申し、その中において一つの章を割いて中高一貫教育について積極的な提言を行った。これはそれまで続けられてきた中高一貫教育に関する論議を集大成するもので、「子どもたちが心身の成長や変化の著しい多感な時期にある中等教育の在り方については、その改善の必要性が指摘されてきている。中学校教育と高等学校教育とを入学者選抜を課すことなく接続し、6年間の一貫した教育を行う中高一貫教育については、・・・・・・・・幅広く社会的な関心が集まっており、その導入の是非は今日的に極めて重要な課題となっている」と述べている。 この答申を受けて、翌1998(平成10)年に学校教育法が改正されて、中学校と高等学校を一体化させた「中等教育学校」が正規の学校(いわゆる1条校)として創設された。この学校教育法の改正を受けて、同年に、学校教育法施行令、同施行規則が改正され、中高一貫教育を実施するための制度上の整備が進められた。さらに、同年、文部省告示「中等教育学校並びに併設型中学校及び併設型高等学校の教育課程の基準の特例を定める件」が出され、中高一貫教育を実施する際の教育課程編成に関する特例措置が定められた。 文部省は、このような法令上の整備と同時に、各都道府県に中高一貫教育研究会議を設置して専門的観点から調査研究を行うこと及び実践研究協力校を設けて中高一貫教育について実践的な研究を行うことを内容とした「中高一貫教育実践研究事業」を開始した。 本県においても、この研究事業の委嘱を受け、同年から、県北西部に位置する緒川村立緒川中学校、美和村立美和中学校、県立小瀬高等学校を中高一貫教育実践研究協力校(平成11年度から中高一貫教育推進校)に指定して研究を続けるとともに、中高一貫教育研究会議を設置して検討を続けてきたところである。 ●本報告の趣旨 本報告は、1999(平成11)年1月27日以来5回にわたって行われた「茨城県中高一貫教育研究会議」において検討が進められた内容を整理したものである。 本研究会議において検討を進めるにあたっては、一つには中高一貫教育に関する全般的な事項を研究・検討すること、二つには実践研究協力校における実践や研究について報告を受けながらアドバイス等を行うことといった主要な二つの柱を設定した。本報告書の記述は前者に関する内容が中心となっている。 また、本研究会議の役割に関して、本県における実践研究は連携型のタイプの中高一貫教育を中心として行われているが、茨城県としての政策方針がこのタイプを決定しているものではないこと、さらには本研究会議は中高一貫教育を実施するとの方針の下での論議を行うのではないことを確認して検討を開始した。開催された5回の本研究会議においては基本的な資料を収集配付し、それらを踏まえながら、中高一貫教育に関わる全般的な内容に関して各委員が自己の見解を展開することを中心に討論を続けた。 さらに、上述のような本研究会議の役割設定により、本報告書は、「答申・建議」ではなく「整理・指摘」の性格を有するものであるところから、本報告を取りまとめるにあたっては個々の事項に一定の結論を出すのではなくて、本研究会議の席で各委員から出された意見や問題指摘を中心として取りまとめることとした。
|