追記―答申を終えるに当たって―茨城県高等学校審議会
本審議会は,県教育委員会から諮問された「生徒減少期における県立高等学校の質的充実を図るための学校の適正規模・適正配置について」及び「社会の変化や生徒の能力・適性等の多様化に対応する学校・学科の在り方について」の2つの事項について審議を進め,ここに委員の総意により意見をまとめるに至ったところである。2つの諮問事項に対応させて第1次答申及び第2次答申としてまとめたが,第1次答申は県立高等学校の質的充実を図るための要件としての学校の適正な規模と配置についての報告であり,第2次答申はそれらの要件に基づいて考えられる学校・学科の在り方の基本的な方向性を示した報告となっている。しかし,それぞれの答申が独立したものではなく,互いに密接な関連を持つものであり,不可分の関係にあることをここに強調しておきたい。
先行き不透明ながらも物質的には豊かな時代が続き,その一方で情報化,国際化,少子化が急速に進み,高校生の生活や行動の様式,価値観は大きく変化している。社会での実体験,生活体験は著しく不足はしているものの多様なメディア環境の中で仮想体験だけは肥大化している。その中で生徒の能力・適性,関心等は多様化する一方で類型化も見られ,自我や進路意識,さらに社会性も未成熟であるなど,高等学校教育の成立に関わる社会的文化的基盤の大きな変化は,様々な問題や困難な課題をも生み出している。
そうした変化を受けて,本県においても,これまでにも様々な改革や改善が実施され,一定の成果を収めてきたところである。今回の諮問は,それに加えて,長期にわたって生徒の減少が続くという新たな予測に基づき,国における高等学校教育に関わる制度上の改正を踏まえて,今後の新しい時代と社会を見通した本県高等学校教育の新たな枠組みの提示を求めたものであった。
本審議会では,そうした今回の諮問の基本的な趣旨をどう具体化するかについての様々な議論を,資料の収集や高等学校教育の現場からの意見聴取などを行いながら積み重ねてきた。
各委員とも,高等学校教育の現状に対しては,多くの高校生の現実の姿と重ね合わせて,希望や期待だけではなく不満や危惧の念も強いため,このままではという思いは強い。とはいえ,それでは高等学校教育が抱えている問題の原因をどう認識するか,さらに問題解決に当たっての方向性ととりうる選択肢をどうするかについては,各委員の考え方や判断は,その基礎になっている座標軸も教育についての原体験も同じではないため,必ずしも一致しているわけではない。
加えて,県民に対して責任ある県立高等学校の再編整備をどう進めるかという観点からすれば,今回は直接の審議内容ではなかったが,現在,国,地方をあげて進められている厳しい行財政改革にも目を向け,限られた教育資源をどう有効に再編,活用して質的充実を図っていくかも考慮すべき重要な要素であったことも事実である。
本審議会において,今回,本答申のとおり意見の集約をみるに至ったのは,各委員が,それぞれの立場や考え方の違いを超えて,本県の高等学校が,高校生一人一人にとって,切磋琢磨することにより自己の適性を発見し,21世紀の時代を希望をもって生きていくのに必要な様々な資質や能力の基礎を身に付けられる豊かな学びの場になってほしいという高等学校教育の質的充実への思いを共有していたからである。
これにより県立高等学校においては,今後,教職員が一丸となって本格的な学校改革を進めることが期待され,また教師と生徒が一緒になって学校・学級づくりに取り組むことが望まれる。前述したように,今回の答申は,そのための枠組みを提示したものである。
今後,県教育委員会においては,県立高等学校の統廃合も含めた再編整備の将来構想が立案され,その具現化が図られるものと考えるが,本審議会の以上のような答申の趣旨が十分に生かされ,高等学校教育の質的な充実に向けた具体的な施策が展開されることを強く期待したい。その際,高等学校教育に対しては県民の関心も高いことから,具体案の作成に当たっては,関係各方面からの十分な理解と協力が得られるよう最善の努力をすることも併せて望むものである。
平成12年2月8日
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