検討を依頼された事項は,制度的な面の見直しと実際の評価尺度の見直しの2点である。この2点それぞれについて具体化策を提言するというやり方も考えられるが,両者は密接に関係しているので,それにこだわらないで具体化策を述べることが望ましいと考え「学力検査について」,「調査書について」,「合否判定について」,「その他の関連事項について」の4つの項目別に,見直しの具体的方向をまとめた。 見直しの具体化策を検討するにあたって,全体として次の4点に留意した。 (a) 各高等学校の裁量幅を拡大する。 (b) 考える力や表現する力を一層重視する。 (c) より多元的な方向へ制度や合否判定方法を見直す。 (d) 不登校生徒等が不利にならないように配慮する。 これらは,生徒の多様な能力を多面的にみるという観点,各高等学校の特色づくりに対応するという観点などから,必要と判断したためである。具体的なことは,具体化策の各項目にわたっているので,それぞれの項目を参照願いたい。 以下,具体化策について述べることとする。 学力検査について 学力検査については,現行と同様,5教科各100点満点を基本としながら,次のように見直すことを提案するが,具体的制度及びその実施時期を検討するにあたっては,受験生,中学校及び高等学校に混乱が生じないよう配慮することを望む。 学力検査の問題作成にあたっては,中学校学習指導要領に基づき,考える力や表現する力をみることをより一層重視することが望ましい。 選択問題については,現行は5教科すべてにおいて実施しているが,教科の特性に留意した選択制のあり方を考えた上で,本人選択の形式で存続させることを検討する必要があると考える。 調査書について 調査書については,現行と同様に,生徒の多様な能力を多面的にみるという観点から活用することとするが,推薦入学と一般入学の両方に用いられることに留意しつつ,次のように見直すことを提案する。 調査書はA4判1枚(片面)とする。 各教科の学習の記録のうち,観点別学習状況の評価は第3学年のみ記載する。 その他の見直しを含めて,実際の様式を検討する際には,本報告書13ページの資料−1を参考にすることが望ましい。 なお,調査書は中学校生徒指導要録に基づく記入が原則であるから,今後,指導要録が変更される場合は,それに応じて調査書について検討する必要があると考える。 合否判定方法について 一般入学における合否判定は,現行と同様に,学力検査の結果と調査書の記載内容の両方を用い総合的に判定することとするが,次のような方法で合否を判定することを提案する。 受験生をより多面的にみて判定するという視点から,合否判定方法として,14ページの資料−2のようにすることが望ましい(以下に述べる,A群,B群とは,資料−2の中のものをいう)。なお,資料−2に示した具体的数値は,後述の点検評価システムによる検討の結果,変更されることを想定しているものである。 具体的制度を策定するにあたっては,高等学校の裁量幅を拡大させるという観点,より多元的な方向へ制度や合否判定方法を見直すという観点及び不登校生徒等が不利にならないようにするという観点に配慮することが望ましい。特に,B群における判定の方法については,より丁寧に合否を精査する制度とすることが望ましい。 合否判定における調査書の使い方については,各高等学校の裁量幅をさらに拡大する観点から,次のように見直すことを提案する。 A群の合否判定においては,調査書に記載された評定(3年間)等を用いる。 B群の合否判定における調査書の用い方は,調査書に記載された評定以外の項目も必ず使用することとするが,その方法については,各高等学校の裁量に任せる。 不登校生徒等への対応については,調査書の外に,自己申告書や担任の所見等を添付することなどにより,合否判定において,不利が生じないよう配慮したものにすることが望ましい。 学校教育法施行規則の改正により,特別の事情のあるときは,学力検査も調査書も用いない選抜方法が可能となった。しかしながら,先に一般入学における合否判定方法において述べたように,本委員会としては,当面,学力検査と調査書の両方を用い判定することを原則とすることが適当であると考える。 その他の関連事項について 1 点検評価のシステムについて 入試制度に限らず,制度は安定性が求められるとともに,不断の見直しが必要である。このような観点から,次のようなことを提案する。 入試制度について検討したり,一定範囲の改善について提案する総合的な点検評価のシステムを作ることを検討する必要があると考える。 このシステムは,幅広い観点から継続的に入試制度の内容を点検評価したり,提言したりする役割が考えられるが,具体的には次のようなものがあげられよう。 ●問題作成に関する検討 ●制度が趣旨通り機能しているかの点検評価 ●制度の骨格を変えない程度の変更の提案(たとえば,各高等学校に任せた具体的数値の見直し等が考えられる。) ●諸方面からの入試制度に関する意見の集約 なお,現行でも高校入試の円滑な運用を図るため,入学者選抜方法協議会を設置して上記の役割の一部を果たしているところであるが,今後さらに,このシステムの機能を意識して入学者選抜方法協議会等が運営されることを期待する。 制度の骨格が変わるような大きな変更については,別途に委員会を設置して検討することが適当である。 2 受験機会の複数化について 各高等学校の特色づくりへの対応及び受験機会の複数化という観点から,次のことを提案する。 現行の第2次募集の時期に,あらかじめ一般入学とは別の人員枠を設定して募集することを検討する必要があると考える。 具体的制度を検討するにあたっては,次のことに留意することが望ましい。 ●「推薦入学,一般入学,第2次募集」という現行制度の形態を大幅に変えないようにすること。 したがって,一律に全校で実施することは適当でないと考えられること。 ●関連する諸問題を整理し,実施の現実的影響を検討すること。 ●受験生,中学校及び高等学校に混乱が生じないようにすること。 3 推薦入学について 推薦入学については,現在,推薦書,調査書,面接の結果及び小論文等をもとに総合的に判定しているところであるが,小論文等の用い方については,各高等学校の裁量で,より一層工夫することが望まれる。 その際,中学校側が推薦入学の趣旨について十分理解できるよう,各高等学校で説明することが望まれる。 なお,具体的制度を検討するにあたっては,受験生,中学校及び高等学校に混乱を生じさせないよう留意することが必要である。 |