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県指定文化財 天然記念物
さかつらいそざきじんじゃのじゅそう

酒列磯前神社の樹叢 38,837m2

 酒列磯前神社の創建は斉衡3年(856)と伝えられています。本社が現在地に遷宮したのは元禄15年(1702)で、これは元禄3年(1690)に本社を参拝した水戸光圀が遷宮を命じたことによります。遷宮は光圀の死によって一時中断されますが、綱條(粛公)の時に遷宮が完了し、以後、本殿や拝殿を囲む境内地内や一の鳥居から拝殿まで続く参道両脇の樹叢は手厚く保護されてきたものと考えられます。特に、本殿背後の樹叢は人の手がほとんど入っておらず、禁足地的に保護されてきたようです。なお、この境内林内部には7世紀頃に造営されたと考えられる古墳も点在しています。
 当該樹叢の対象区域は、本殿まで続く約300mの参道両側とそれに連なって本殿背後に広がる自然林であり、面積は38,837㎡です。ひたちなか市の磯前海岸に面する台地上にあり、南北に連なる茨城県の海岸線のほぼ中央に位置します。
 関東地方の太平洋岸沿いの台地斜面などには、海洋による温暖な気候によって生育が促された暖帯性樹叢がしばしば見られるが、酒列磯前神社の境内林もそのような樹叢の一つと位置づけられます。タブノキ、スダジイ、ヤブツバキ、ヒサカキ、ユズリハ、モチノキ、シロダモ等の常緑広葉樹が主要な構成樹種です。一部にエノキ、ケヤキなどの落葉広葉樹やスギ、クロマツ等の針葉樹が点在していますが、これらは人為的に植栽されたものや、周辺植栽地から侵入したものと考えられます。
 ヤブツバキが優占する参道両側には、樹齢300年をこえるといわれるヤブツバキの古木に加え、枝振りに特有の奇観を呈するタブノキの古木が点在し、さらに、オオバイボタ、スダジイ、ヒサカキなどの常緑広葉樹が生育しています。特に、ヤブツバキの開花・落花時の景観は見事です。また、本殿脇から背後に広がる境内林は、スダジイ、タブノキなどが樹高15~20m程の高木層を、さらにユズリハ、モチノキ、ヤブツバキ、シロダモなどが亜高木層~低木層を構成しています。比較的自然度が高く、壮観ともいえる独特の林相を呈しています。さらに、この区域から太平洋側に面する斜面には、上述の常緑広葉樹に加えて、ハマギク、ラセイタソウ、シャリンバイなどの海辺植物も混生し、海辺地特有の自然林が形成されています。
 このような暖帯性樹叢を含む常緑広葉樹林は、かつては関東地方にも広く分布していましたが、古来から人間の生活の場とされてきたため、薪炭林としての利用や土地開発など様々な人為の影響によって、そのほとんどが破壊され、また、落葉広葉樹林へとその姿を変え、現在では台地斜面や社寺林にささやかに点在するに過ぎません。
 一方、天然記念物指定の暖帯性樹叢としては、日立市北部の海岸に形成された「いぶき山イブキ樹叢(国天然記念物)」がありますが、樹叢内部のイブキの現在の生育本数は9本に過ぎず、規模的には本樹叢はこれをはるかに上回ります。さらに、このような面積規模で保存されている例は、県内の他の市町村指定の樹叢に見ることはできません。
 以上のことから、酒列磯前神社の樹叢は、この地域における本来の自然植生の姿を一定の面積規模でとどめた自然林として学術的にも貴重であると考えられます。
 当該樹叢は茨城県立自然公園内にあって、酒列磯前神社・氏子組織の努力もあり、大変良好な状態で保存されています。今後の保護・管理についても、引き続き適正に保存されていくものと思われます。ただし、現在、ササ類が鳥居から参道脇に続く左側の区域に侵入しており、その繁茂が拡大すると樹木類の更新を妨げるおそれがあります。これらのササ類の駆除管理に配慮する必要があります。

 

地図

 

酒列磯前神社の樹 叢 38,837m<sup>2</sup>

 

指定年月日 平成17年11月25日
所在地 ひたちなか市磯崎町4607番地2
管理者 酒列磯前神社

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